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旅立ち。

 朝だ……。


 次の街へ移動するまであと6日程、時間があるので何かしら仕事をしてお金を貯める必要がある。

 今日は朝イチから、ギルドへ向かった。


 所持金はあまりなくても、次の街の教会へいけば生活はできるだろうが、自由がない。

 それは、サラリーマンと変わらないので正直な所おもしろくない。


 短期間ではあるが仕事をしておいて、自由の為に資金をためておく。

 そんなことを考えながら、受付の列に並んでいた。


「はいっ!!次の方どうぞ〜」と、ティーゼさんの声で呼び出しがかかった。


 ティーゼさんが受付しているカウンタ―の前へ移動した。


「あら、サトウさん。

 おはようございます。今日はどんな用ですか?」


「えーっと、来週でこの村を離れるんで、ティーゼさんには挨拶をしておきたかったんですよ」


「あっ、そうなんですか……」と、言って少しティーゼさんが表情を陰らせる。


「ティーゼさん、また来ますんで、そんな顔しないでくださいよ。

 それと6日間あるんで、僕にできるお仕事ありませんかね?」


「あっ、スイマセン心配させてしまいましたね。

 今は狩りに出れるんですよね?」


「はい、出れますよ」


「それなら、また魔光り草を取ってきていただけませんか?」


「何個程、必要なんですかね?」


「10個あれば十分ですね。

 達成報酬は1000ゴールドでどうでしょう?」


「ティーゼさん、その依頼1時間もかからないで終わるとおもうので、別の依頼を探しといてもらえませんか?」


「えっ!? ど、どういうこと?」と、困惑していたティーゼさんをスルーしてギルドをあとにした。


 そして、[転送魔法]を使い南の森の洞窟の中の魔光り草のある水辺へと移動してきた。

 とりあえず、魔光り草を10個程集めて、再びギルドへ戻った。


 再び受付の列に並んで、順番を待った。

 順番がきたので、カウンターの前へ移動して、「ただいま戻りました」と言った。


「え!? 佐藤さん、1時間どころか30分かかってないんだけど?

 どうやって、行ってきたの?」


「あぁ、言ってませんでしたっけ?

 他の人には言わないでくださいね。ギフトってやつで、魔法を覚えれるんですよ。

 それで、[転送魔法]が使えるんで魔光り草のある水辺を登録してたんです。綺麗な水辺なんで……」


「そうなんですか!! [転送魔法]がつかえるのなら、ギルドでもお仕事が引く手あまたにありますよ」


「転送魔法があるんで、いつでもこの村に戻ってこれますし。

 教会かギルドを通して連絡もらえればいつでもティーゼさんに会いに来れますから」と言って、ギルド内のお仕事は軽くお断りしておいた。


「やっぱり、次の街にいくんですよね?」


「そうですね、せっかくなのでいろんなところを見て回りたいんで」


「それで、何で教会に連絡を入れるとサトウさんに連絡がつくんですか?」と、当然なまでの疑問をぶつけられてしまった。


 ギルド長に、この前の教会のお抱え絵師になった事を伝えた。


「凄いですね〜。

 腕一本で、稼いでいっちゃうんですね。私からみると、冒険者の方が向いてる気がしますけどね」


「あはははは、そうかもしれませんね。

 でも、絵が描けなくなる位なら、冒険者稼業はやりたくないですねぇ。

 そうだ、アイテム提出してませんでしたね」と言って、魔光り草をカウンターに置いた。


 ティーゼさんは明らかに個人の財布から1000ゴールドを出そうとしていた。


「ティーゼさん。

 もしかして、強引に仕事を作ってくれたんですか?」


「サトウさんを応援してあげなきゃねって思ってたし、それに魔光り草の相場からすると安いのよ。

 だから、気にしないで」


 言葉通りに、ティーゼさんのいう事を信じて1000ゴールドを受け取った。


「ありがとうございます」


「ギルドから、サトウさんに依頼できる仕事があったら宿屋に連絡を入れさせるから、それまで待っててね」


「はい、わかりました」と言って、ギルドを離れた。


 暇になったので、宿屋の部屋に戻りいつものように下書きだけ済ませた絵を完成させていった。

 ギルドの仕事をやったり、絵を描いたりして出発の日がやってきた。


 この村の知り合いには挨拶も済ませたし、次の街へ向かうかな……。

 久々に武器と防具を装備して、宿屋を出ることにした。


 宿屋の店主が、「いってらっしゃい、無事に帰って来いよ」と言って送り出してくれた。


「はい、行ってきます。

 1カ月間お世話になりました」と、言って宿屋を出たら。


 知り合いがみんな見送りに来てくれた。


「画家のにーちゃん。

 まだ書いてもらいたい絵があるんだから、またこの村に帰って来いよ」と道具屋の店主が言ってくれた。


 その他も色々と仕事の件を、提案してくれたりとか村の人達に感謝した。


「お兄さん、ライムの事迎えに来てあげてよ。

 あれだけ、あの子頑張ったんだからさ……」


「ハジメさん。またこの村に来てくれますよね?」


「そんな心配しないで[転送魔法]があるから、来ようと思えばすぐ来れるから」と、耳打ちしてライムさんに教えてあげた。


「そうなんですね。

 それじゃ、いってらっしゃい」


「おいおい、ハジメ君。

 ライム君に何を教えたんだい……」


「ダニエル神父、何かとお世話になりました」


「いやいや、私も君を引き留めてすまなかったね。

 各教会には、ギルド証を提示して名前が解れば対応してもらえるようになってるから。

 何かあれば教会を訪ねるといいよ」


「はい、そうします」


 最後にティーゼさんに挨拶をしようと思ったが、彼女は泣いていた。


「スイマセン。旅立ちの日に泣いてしまって」


「心配しないでくださいよ。

 レベル70までは恋愛さえ僕はできないんですから……。

 それに、前いったようにいつでも戻ってこれますから」


「そうですね。

 それなら、私は旅のご無事を祈っています」


「それじゃ、行ってきます!!」と、元気よく言って南の森へ向かった。


 南の森の走破はそれほど難しくはなかった、盗賊スキルと[ライト]の魔法、新しく手に入れた弓のおかげで苦労することなく南の森を抜けることができた。

 それと、前回の探索よりゴブリンの数が圧倒的に少なかった。


 空を見上げると、木々に覆われていない夜空が広がっていた。そう、南の森を抜けたのだ……。

 マップを確認して、この場所をチェックしておく。


 そして、こっそりとゴレッジの村の宿屋に戻った。


「あれっ!! お客さん旅に出たんじゃ?」


「色々あって、一度戻って来たんだよ。

 一泊50ゴールドだったよね?」と、言って50ゴールドを渡した。


「お客さんの部屋まだ空いてるから、そこを使いなよ」


「あぁ、そうさせてもらうよ」


 その日は、誰にも見つからないように早起きして[転送魔法]で前日の森を抜けた所まで移動した。

 さすがに、皆に見送られて宿屋に戻ってきているとかダサすぎるしな。


 更に南下していくと、大きな城壁が遠くに見え始めた。


 道中で何度かオークを見かけたが、一匹だけ弓で倒して実力を見極めた。

(オークは弓を放たれた事にも気づかず、脳天を一発の矢で貫かれた事で、格下と判断した)


 それから以降は[逃走]スキルでガン逃げをして街を目指した。


 城壁の際にまで到着した。

 城壁に沿って歩いていくが、入場口が見当たらない……。

 ゆっくり歩いていたら、このまま日が暮れてまた、ゴレッジ村で宿を取る辱めを受ける羽目になる。


 [スピードアップ]の魔法を使って、城壁の際を歩いていると、城門らしき姿が見えてきた。


 スゴロクの街へ到着した……。

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