女店主とシスターをモデルにする。
コンコンコン……。
宿屋の部屋の扉を誰かがノックしている。
ベッドから起きて扉の前へ移動して、扉の鍵を開けた。
「どちら様ですかね?」
「あの、ライムです。
ハジメさんが、次の街に移動する前にお話があるんです」
「あんた、ちゃんと言えんじゃないの」と、ライムさんと違う人の声も扉越しに聞こえている。
扉を開けて、お客二人を迎え入れた。
朝からの訪問者は、ライムさんと武器屋の女店主さんだった。
「お兄さん、おっはよ〜。
ライムが恥ずかしがったんで私も一緒にきたよ〜」
「武器屋のお姉さんは、ライムさんのお知り合いだったんですね」
「うん。ライムとは友達なのよ。
お兄さんが、来週にはいなくなるから最後にモデルになりたいっていってるけどヌードは恥ずかしいっていってたから。
お姉さんが、ひと肌脱いでやろうと思ってね……ついてきてあげたの」
「えっ? 武器屋のお姉さんもモデルやってくれるんですか?」
「お兄さん、次の街に行くんだよね?」
「だったら、絵を描いてもらう機会なんて今日くらいしかないじゃない。
だから友達のライムの為にもひと肌脱いでやろうってね」と、あっけらかんとお姉さんが言ってきた。
ナニヲイッテルンダ、コノヒトハ……。
お姉さんが言った事を、まとめると二人でモデルになりたいということだろうか?
「あははは、お兄さん。固まっちゃった」
「いえ、話しをまとめるとライムさんとお姉さん二人でモデルになってくれるって話ですか?」
「そうよ〜。
お兄さん、綺麗に描いてよね〜」と、お姉さんが言ってきた。
「ハジメさん。モデルになれる最後の機会ですし、私達を描いてください」と、ライムさんが言った。
そして、
「当の本人は絵を描くことしか興味ないし、描いてもらわないと何もはじまらないし。
なんで、こんな人が気になるのかしら……」と、ライムは聞こえない程度の小声でつぶやいた。
実際は、わかっている……。
自分の姿を綺麗に描いてもらいたい。ただ、恋愛感情等を抜きにそれだけなのである。
「わかりました。二人とも希望はそういう絵ってことでいいですか?」
「「はい」」と、二人が返事してきた。
「身支度してくるんで、しばらく待ってもらっていいですか?」
「は〜い」と間の抜けた返事をお姉さんがしてきた。ライムさんはコクリと頷いた。
それを確認したあと、僕は裏庭の井戸で井戸水を使い顔を洗ってきた。
あの二人をまとめてモデルにするのか。フッ、楽しみだな……と、思わず楽しみすぎて顔がニヤケてしまった。
いかんいかん、平常心でいないとな相手に失礼だ。
もう一度、井戸水で顔を洗い気持ちを落ち着かせた。
よし、行こう!!
二人が待っている、自分の部屋へと戻ってきた。
「お待たせしました。
そういえば、二人は食事は済んでるのかな?
そこそこ、長時間の作業になると思うから、食事代は出すんで一緒に食べにいきませんか?」
「ありがとうございます」
「おごり? ラッキー」
二人は、別々の反応をした。
「それじゃ、二人とも飲食店へ行こうか……」と言って、一緒に飲食店に向かう事にした。
宿屋を出るときに宿屋の店主が、僕のことをみて目を点にさせていたことに気づいた。
それを見て、武器屋のお姉さんが胸を当てるようにして腕組してきた。
あっ、、、柔らかい。
それに張り合って、ライムも腕を組んできた。
お姉さんと違い、ライムの場合はスレンダーなタイプではないので肉感があり、柔らかさが腕全体に、、、!!
こんなの飲食店に着く前に、脳がとろけてしまいそうだ……。
首をブンブンと、振った。井戸水で顔洗って気持ちを落ち着けた意味がないじゃないか。
「二人とも、そういうのは止めてください。
絵を描くときのノイズになっちゃうんで……」
「あれ、気持ちよくなかった?」
最高でしたとはいうわけにもいかず。
「いえ、それはその……」となって、押し黙るしかなかった。
「仕方ないな〜」と言って、お姉さんが組んでいた腕を離してくれた。
それに続いて、ライムさんとの腕組も終了した。
あぁ、至福のふにゅんふにゅんタイムが終わってしまった……。
しばらく歩いていくと、
「はーい。飲食店に到着〜」とお姉さんが言ってきた。
「いらっしゃいませ。三名様でしょうか?」
「あっ、はい。三名です」
「奥の席へどうぞ」と言われ、店員に案内された。
案内し終わった店員は、すぐに調理場へ移動していった。
しばらくすると、飲食店の店長が僕たちの前に現れた。
「おいおい、ギルド長の次は、この二人とデートかい?」と、店長が話をぶっこんできた。
「いいえ、ちがいます。
二人には絵のモデルになってもらうんですよ。
あと、ギルド長の件もデートじゃなくモデルになってもらっただけですよ」
女性二人からジト目を受ける僕……。
ヒドゥイ……僕は何も悪くない冤罪だぁあああ〜〜!!
「あははは、すまんすまん。
そういえば、お客さんが描いてくれたメニュー表が物凄く好評でな。
それの件でお礼を言いに来たんだよ」
「それならそうと、言ってくださいよ。
気が気じゃないですって……」
「今日は、お礼とさっきの件の謝罪もかねて好きなモノ食べていってくれや。
代金はウチの店が持ってやるよ」
「あっ、ありがとうございます」
「あれ? 本当にデートじゃないんだな?
支払いを受けないってことは」
「ちょっと!! 店長、まだ言ってるんですか。
流石に、怒りますよ」
「すまんすまん、注文が決まったら。
スタッフを呼んでくれよ」と、店長が軽口をたたきながら調理場へ戻っていった。
「デートじゃなかったんですね」
「ライムさんまで、何を言ってるんですか」
「あやしぃ〜。
お兄さん、正直なところどうなんです?」
「ハイハイ、そんなこと言ってないで食べるもの選んでくださいね」と、二人の質問を突き返した。
「あっ、メニュー表が解りやすくなってる。
これは、ハジメさんが作ったんですか?」
「そうそう、ここの仕事の利益は弓を買うための資金に消えましたけどね」
「その節は、ありがとうございます」と、わざとらしく武器屋のお姉さんが言ってきた。
3人共、料理を選び、それを食べ終えてから再び宿屋に戻ってきた。
「ハジメさん(お兄さん)、ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして」
三人で宿屋の部屋に入り、邪魔が入られると困るので部屋の鍵を閉めて、昼間だが魔道具の灯りを点けて窓にカーテンをかけて外から見えないようにした。
「さて、それじゃお二人さん。
モデルの件お願いしますね。自分はこの奥で、待ってるから準備が出来たら呼んでください。
描き始めるまでは、そこにあるタオルケットでも羽織ってて下さいね」
「あのぉ……。下だけ下着はつけてもいいですか?」と、ライムさんが聞いてきた。
「はい、かまいませんよ。
上下、下着つけてもらってもいいですよ」
「それじゃ、ヌードにならないじゃない」と、武器屋のお姉さんがツッコミを入れてきた。
「いや、ソコにこだわってるわけじゃないんで」と、建前を言っておいた。
まぁ、流れに乗っていったら脱いでくれるとおもうがね……。(本音)
そんな感じの会話を済ませて、僕は部屋の奥の別室に隠れるようにして移動していった。




