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10、先生の秘密

あんなメールしなきゃよかったかなっと、

後悔しながら学校に向かった次の日。


学校に葛西先生の姿はなかった。

職員室に行ってみたが、

前から有休が出ていたらしい。


でも葛西先生は帰り際『また明日』って、


学校を休むなら、

なんで『また明日』と言ったのだろうか?


葛西先生に電話をかけてみたが、

全然繋がらない。


私はなんだか胸騒ぎがした。


やっぱり色々思い返してみても、最近の葛西先生の様子はおかしかった。


こんなことになるなら、気になってること思ったまま伝えて、きちんと話をしておけばよかった。



下校の時間になった。

「麗ちゃん、帰ろうぜ」

健ちゃんが私に声をかけてきた。



やっぱり連絡できないようなことが

葛西先生の身に起こったのかもしれない!



「ごめん、健ちゃん、私寄りたい所あるから」



私は葛西先生と偶然会った病院へむかった。


そこにきっと手がかりがあるはずだから。



病院に向かう途中、携帯電話が鳴った。

知らない番号だったが、葛西先生に関係があるかもと思い、

私は慌てて出た。


「もしもし?」

「あら、その声、やっぱり麗ちゃんじゃない」

聞き覚えのあるその声は、

私が小さい頃からお世話になってる病院の看護師さんだった。


「どうして私の番号知ってるんですか?」

すごく嫌な予感がする。

「落ち着いて聞いてね。それがね……患者さんが持ってたドナーカードに、

水城麗さんへ、心臓提供と書いてあって、電話番号が……。

同じ名前だし、もしかして……と思って」


そんなことするのは、葛西先生だけだ。


「持ち主は?……葛西先生は?!大丈夫ですか?!」

「麗ちゃん、とりあえず、詳しくはこっち来てから話すわ。

今から……病院来れる?」


病院にかけつけると、

葛西先生は人工呼吸器をつけられた状態で、

病室のベッドの上で眠っていた。


昨日、病院に運ばれた時には

意識がなく、すぐに緊急手術を行ったらしい。


葛西先生は2ヶ月程前のあの日、

脳の病気が見つかり、

もうすぐその手術を控えていたようだ。


葛西先生の様子がおかしかったのは、

このせいだったんだ。


体育祭の日の目眩もきっと……。

あの日に限らず、本当は度々、

同じような目眩が起こっていたのかもしれない。


だから、葛西先生は心配で病院に検査に行った。


結果を聞いて、葛西先生は、

誰にも言えず一人で悩んでいたのだろうか?


自分の身に何かあった時、

私に心臓を託そうと、

ドナーカードまで書いて……。


「麗ちゃん、これ」

看護師さんに葛西先生のドナーカードと、

四つ折りにされた紙を渡された。


「葛西先生助かりますよね?私……先生がこのまま目を覚まさなかったら、

どうしたらいいかわかりません。……先生は私に心臓を託す気だったんでしょうか?」


「うーん、どうなのかなあ?

ハッキリとはわからないけど……でも、彼はきっと死にたくないハズだと思うわ。

だって、……麗ちゃん、その紙、開いてみて」


私は4つ折りにされた紙を広げ、中に書かれた文字を見た。


『笑顔にしたい人』


と、書かれてあった。


「これって……?!」

体育祭の借り者競争の紙だ。


「大事そうにドナーカードと一緒に入っていたの。麗ちゃんのことじゃないかしら?

だとしたら、生きていないと笑顔に出来ないでしょ?」


あの日、私を選んでくれたのは、

この紙を見て、私を思い浮かべたから?って自惚れてもいいのかな。


看護師さんは私の肩に手をあてた。

「大丈夫よ……無事手術も成功したし……麗ちゃんのためにも、きっと目を覚ましてくれるわよ」


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