Ch.4 雲の影の中の象
アーチ型の門をくぐると、目の前には蒼鬱そううつとした森林が広がっていた。何層にも重なり合う木々の緑は、やがて無限に黒へと近づく深い墨緑色になっていた。この森林は、退職の日に前の会社から眺めたあの風景を私に思い出させた。大地には陽の光が黄金色に降り注いでいたが、雲の影に覆われた樹林だけは、ひどく暗く、深邃しんすいとしていた。
一本の真っ直ぐな泥道が森の奥深くへと延びており、どこまで進んでもその終わりは見えない。
三年前、私たちが目撃したあの象も、このような道を歩いていた。胸を張り、一歩、また一歩と、確かな足取りで前へ進んでいた。
「あのとき、お前も全く畑違いの技術的な難問を出されただろ?」
友人が不意に口を開いた。
「ああ。私がそれに答えたら、面接官にどうして分かったのかって聞かれてさ。だから、お前が教えてくれたんだって答えたよ」
そこまで言って、私は慌てて付け加えた。
「あ、でも、お前がすごく優秀だってことはちゃんと強調しておいたからね。お前がいなかったら、私は間違いなく一次面接で落とされてたよ」
「俺も面接でその難問を出された。だけど、答えられなかった」
「え……じゃあ、お前は私にその問題を……」
私は、その先を言葉にすることができなかった。
「それに、お前には間違った答えを教えておいたんだ」
友人は言った。
「その結果、俺の内定は取り消された」
「っ――」
次から次へと押し寄せる衝撃に、私は言葉を失った。
「俺は本当に、この日をずっと、ずっと待っていたんだ」
友人は一文字ずつ、噛み締めるようにゆっくりと言った。その顔には、まるで陽の光のように眩い笑顔が浮かんでいて――それが、私の心を底から凍りつかせた。
私は、突如としてすべてを理解した。
雲の影の中にいた象も、国立公園の中にいる象も。
どちらも同じように、あらかじめ引かれた線の枠内に、囲い込まれていたのだということを。
短編小説『雲の影の中の象』、最後までお読みいただきありがとうございました。
自作の物語をAIの補助を得て日本語に翻訳し、投稿してみました。
結末の余韻を楽しんでいただけたなら幸いです。




