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闇夜を照らすマジカルミナ  作者: 水瀬はる
「護衛」編
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【第48話-農場】

 長い茶番を繰り広げていたが、二人は気を取り直してツヴァイ救出作戦に向けて動き始めた。


「アリス、どんな作戦で行くつもりなんだい?」


 農場に向けて歩みを進めながら問いかけるミロ。

 その問いにアリスもすぐ答える。


「えっと、出来れば穏便に済ませたいので、このみんなのお金でどうにか解放してあげたいなーって、感じなんですけど…」


 そう言ってアリスが手を出すと、そこには大量の聖金貨が袋に詰められた状態で乗っていた。


「わぁお、これオレの給料の半年分くらいあるよ」


「例えが分かりにくいですし、サラッと自慢するのやめてくださいね」


 アリスが正直な言葉を口にしたため、数秒だけ場の空気が凍る。

 そんな中、静寂を破ったのはアリスだった。

 その顔には、何やらいいことを思いついたような表情が見受けられた。


「ミロ先生、ちょっと相談したいことがあるんですけど」


「なんだい?」


「──お金、ください!」


 ド直球かつ欲望丸出しの、プライドを捨てたアリスの強烈な一撃が、場を再び震わせる。


「アリス、お前っ……!」


「ふっふっふ、お金は有り余ってるぜアピールなんてするのが悪いんです!先生ももちろん協力してくれますよね?」


 悪い顔を全面に出してミロの出方を伺うアリス。

 そんなアリスに端的に一言。


「違う、そうじゃなくて」


「えっ?」


「まず、オレ幻影だよ?幻影がお金持ち歩いてると思う?」


「なっ…」


 その言葉を聞いて、アリスはガクッと膝から力なく崩れ落ちた。

 恐らく、「貸して」ではなく『お金ください』と言っていたところから見て、自分の負担を減らそうとしていたのだろう。


「相手が、悪かった…」


「失礼な、これでも大賢者だぞ」


「あぁ、無一文の大賢者…響きは最悪ですね」


 そうして落胆したアリスだったが、一度手を叩いて、忘れかけていた本題に戻る。


「それで、お金じゃダメだった場合のために、ミロ先生は外で待っていてくれませんか?」


「どうして?そのままオレが行けば解決じゃない?」


「ダメなんです、考えてみてください。自分の店に大賢者を連れて交渉しに来る相手を……」


「うん、問題ないね」


「いや、ありまくりですよ!!!」


 この男は大賢者という地位を、どれほど楽観視しているのだろう。とアリスは思ったが声には出さないでおいた。


「最初からその切り札を見せて交渉するなんて、何かあったら実力行使するって言っているようなものであって…」


「え?それで良くない?いちばん手っ取り早いと思うけど」


「だーかーらー!」とアリスはミロの軽い発言に応じて、


「私は穏便に済ませたいの!ミロ先生の地位を汚さないためにも、私が狙われないためにも!」


「わかったわかった、最初は外で待っているよ」


「約束ですよ!」


「了解した。ただ、交渉決裂したらすぐに呼べよ。あと、防御結界は流石に張るからな?護衛としてこれは流石に譲れない」


 そんなミロを見て過保護だなぁ、とアリスは思いつつも、ひとまずミロが条件を呑んでくれたことに安堵する。


「分かりました。自分で言ったからには、ちゃんと私を守っててくださいね!……あぁ、あと約束も」


「おう!任せろ!」


 そんなこんな話し合っているうちに、ちょうど農場のかなり手前まで来ていたらしい。

 思えば、農場に近付いて来てからは、少し空気が変わったような、張り詰めた雰囲気を肌に感じていた。


「あれが、例の農場か」


 二人の間に少しの沈黙が流れる。


「いよいよ、ですね」


 重々しい空気を、身にひしひしと感じながら、アリスは更に一歩一歩と、農場に向けて歩みを進めて行った。

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