【第47話-街への再訪】
アリスが学園のベンチに腰掛けて、長い間ミロの帰りを待っていると、突然目の前の空間が揺らぎ、そこに人が現れた。
「お待たせアリス。さぁ、そろそろ行こうか」
空間転移を使って颯爽と登場したのはミロだ。
「ミロ先生、非常時でもないのに往復で二回分も超級魔術を使わないでください…」
「えぇ?そんなの気にしなくていいでしょ、オレ魔力量は結構自信あるぜ」
アリスはそんな口調のミロになんだか負けた気分で、プイッと顔を背けた。
「私も魔力量には自信ありますしー、だ!」
「そりゃあそうだろ、アリスの加護って、オレの加護より魔力増加量多いからな」
大賢者からそんなお世辞を頂いて、大層不服そうな笑顔を浮かべながら、アリスは手に杖を握り、行動に移り始めた。
「それじゃあ行きましょう!」
アリスはこの時、大賢者の立ち振る舞いを見て、ちょっとしたプライドに駆られていた。
そうしてアリスも含めた二人は、空間転移魔術を無駄遣いして、昨日訪れた場所に転移した。
* * *
「ふん!私だってこのくらいできるんだからね!」
フフンと鼻を鳴らし、ミロに喧嘩を売るような言葉を口にするアリス。
そんな言葉には、誰の返答もなかった。
転移してから今まで目を閉じていたアリスは、もしかしてと思い目を開ける。
そして、その光景を見たアリスは落胆した。
「──あぁもう!これただの恥晒しじゃん……!」
目を開けばそこには、学園の闘技場が広がっていた。
落胆しつつも、アリスは再び魔力の無駄遣いをして、やっとの事で昨日訪れた街への転移を果たした。
「アリスどこ行ってたの?早すぎて見えなかったよ」
彼の目を見るに、恐らく本気で言ってるのだろう。アリスが、到着してすぐに、どこかへ駆けて行ったとでも思っているらしい。
「……座標指定に少し、ほんの少し、本当に少しだけ!失敗したんですよ……何ですか?そんなにじっと見て馬鹿にしてるんですか!」
そう言いつつアリスは、両手を腰に宛がえて、ジトっとミロを睨みつける。
「あぁ、座標指定失敗したのか!やっぱり空間転移の一番の難所は、座標指定だよねぇ…当時はオレも苦労したよ」
「えっ?ミロ先生も空間転移使えない時期があったんですか?今はもうこんなにバンバン使っているのに?」
アリスの失礼極まりない発言にもミロは優しい笑顔で対応し、
「誰だって最初は初心者さ。で、ちなみにアリスは今どのくらいの確率で成功してるの?」
アリスは恥ずかしさで、答えるのを途中で躊躇いながらも最終的には折れて、渋々答えた。
「えっと、座標指定は、今のところ40%くらいの確率で成功します…」
「ふぅん、そのくらいか…分かった。この救出作戦が終わったら、ようやくアリスの楽しい特訓が始められそうだ」
そう言うミロの目には悪意が少し感じられて、嫌な予感でアリスは目を逸らした。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ、オレが絶対に成功率100%にしてやるから、な!」
「なんだか私の専属教師になるみたいな言い方ですね、なんか嫌な響き…あぁ、恐怖で体がブルブル震えてきた…」
するとミロは、少しだけ頬を綻ばせ、アリスを見つめてニヤッと笑った。
「…まぁ、近いうちにきっと、分かるさ」




