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人生に絶望していたら異世界のデスゲームに巻き込まれました~ヤンデレ悪魔を召還したので、最期まで楽しもうと思います!~  作者: 雨宮 叶月


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7/19

最高の朝

結論から言おう。

目覚めると、ディーと目が合った。


「…………」

「おはよう。」

「…おはよう」

今は眠いという気持ちが勝つ。まだ寝ていたい。どうしてファーストは7時という早い時間に設定したのかと腹が立ってくる。


私は目元を触りながらのそのそと起き上がった。


「伊澄、今日も可愛いね」

「え?ありがとう…ディーもかっこいいよ」

ディーが変なことを言っているような気がするが眠気であまり意識できない。


時計を見ると、6時20分だった。

「先に着替えてくるね」

そう言って、脱衣所へ向かった。


「……ここか」


顔を洗い、昨日制服を入れた引き出しを開ける。

丁寧に畳まれていた。


私は制服を着用し、ヘアブラシで髪をすいた。

ヘアゴムで一つに結ぶ。


(……うん)

完全に目覚めた。


ドアを開ける。


「ディー」

「うん、俺も着替えに行くね」


数分後、ディーが戻ってきた。改めて見ると、スーツが似合いすぎている。


「じゃあ行こうか。」

「うん。」


私たちは部屋のドアを開けた。


「わっ、眩し…」

白い太陽の光を浴びる。外の景色は見えないが。


階段でひとつ下の階に移動する。

ワイワイと話す声がかすかに聞こえた。


私たちが大聖堂に入ると、既に集まっていたクラスメイト達がしん、と黙った。中心には成宮さんと天使のルア。

しかし次の瞬間には話し始める。一部の女子はまだディーを見ていた。


「7時までもう少し時間があるから、あそこに座ろう。」


ディーが手を絡めてきた。


(……ん?)


これは所謂、恋人繋ぎというやつか?

朝起きたときもこの状態だったと思い出すが、嬉しいのでディーの手を握り返した。


置いてあったソファーに座る。


私はディーと他愛無い話で時間を潰そうと試みた。


「朝食って何が出ると思う?私は味噌汁が飲みたい」

「いいね、俺はデザートに甘いものが出てきたら嬉しい!」

「分かる……。もうデザートのことまで考えちゃう」


そこで、私は近づいてくる4人の女子達を捉えた。


「成瀬さん、おはよう!急にデスゲームに巻き込まれたって、意味わかんないし怖いよね…。」

「こんなことしてないで早く帰りたい~!」


「おはよう!ね、何なんだろうね!」

癖で笑顔を浮かべる。

席が近くなったら話す程度の女子達。猫を被っている感が強い。


「でも、成瀬さん昨日凄かったね!悪魔…さん?を召還したの!びっくりしちゃった!」

リーダー格と思われる女子、江南美緒(えなみみお)がディーを見ながら喋った。私はあまり好きではない。


「お話聞いてもいいかな…?」

「うん、まあ」

私はディーをちらりと見る。


「初めまして。私はディオラルと申します。」

ディーがにっこりと笑う。


江南たちは手で口を覆い、顔を赤らめた。


「え!素敵な名前!良かったらもっとお話ししてください…!」

「お断りします。」

「…え?」


ディーは笑顔を崩さず、きっぱりと断った。


「何でですか?もっと仲良くなりたいんです!」

「私は、彼女にしか興味がありませんから。」


ディーは私を見て、繋いだままだった手を握りしめた。


「あ…」


江南達はどうしていいか分からずたじろいでいた。ちらちらと助けを求めるようにこちらを見ている。

仕方がないので話を終わらせてあげることにした。


「えっと…ごめんね。……ていうかさ、朝食って何が出るのか楽しみだよね!何食べたい?」

何を言えばいいのか分からなかったので、先ほどディーと話した朝食の話を繰り返す。


「量少なめがいいかも……あと嫌いなものが出ないでほしい!」

「私朝はパン派だからさぁ、パン食べたいんだよね~」

「同じ同じ!」

何とが誤魔化すことができたようだ。


私は時計を見る。

「もうすぐ7時になるね。」

「本当だ、じゃあ私たちはあっち戻るね!」

手を振って別れる。


私はキープしていた笑顔を、スッと真顔に戻した。



その時、昨日と同じようにファーストが前に現れた。


「皆さん、おはようございます!用意した部屋はどうでしたか?気に入っていただけたら嬉しいです!

 さて本日は、ルール説明と朝食の後に、デスゲームをしていただきます!まず簡単にルール説明をしますね。」


ファーストは軽くお辞儀をした。

「まず、認められた場合を除き、暴力・殺生は禁止となります。敷地からは出られませんよ!…あ、安心してくださいね!最初から皆さんバタバタと死んでいくわけではございません!私たちは皆さんを殺したいだけではありませんから。…もっとも、後半は分かりませんが。」


「あの…ルールを破ったらどうなるんですか?」

西川が質問した。


「ルールを破ったら…ですか。もちろん、ペナルティーが科せられます。内容は……ふふっ、聞かない方がいいと思いますよ?ただ言えるのは、ルールを守れば皆さんが死んだ方がマシだというようなペナルティーは科せられないということです。」

女子の軍団から恐怖の声が上がる。


「ええっと…ほかに何かあったでしょうか……また思い出したら言いますね!次は食事についてです!」


とても不安なことが聞こえた。大丈夫なのだろうか。


「朝食、昼食、夕食は、基本食堂で摂っていただきます。朝食は7時から8時、昼食は13時から14時、夕食は18時から19時です。すべて、このように……バイキングとなります!各自、好きなように食べてくださいね!デザートもありますよ!」


ファーストは腕を横にスライドさせ、数々の料理を映した。

私は心の中で歓声を上げた。


(最高すぎる!朝食が待ち遠しい…!)


「食堂は左の通路を真っ直ぐ行った先にあります。早く食べ終わった人は自由にしていただいて構いません!7時40分になったら説明を、8時にはデスゲームを行いますので、食堂にいるようにしてください。今日昼食はないので、たくさん食べてくださいね。では、また後ほどお会いしましょう!」


ファーストはそう言って、映像と共に消えた。


私はディーと同時に立ち上がり、真っ先に食堂に向かった。



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