異世界のデスゲーム
目覚めると、そこは知らない世界だった。
癖ですぐに体を起こす。
目に飛び込んできたのは、漫画によく出てくるような、広い大聖堂。
先ほどのことなんて、もう覚えていなかった。
天井は高く、光を受けてステンドグラス風のガラスがきらきらと光っている。
「…あれ、ここ、どこ…?」
「何があったの…?」
「帰りたいよ…!」
クラスメイトが次々と起きる。
「みんな、落ち着いて!」
担任の、森川優里先生。私たちが中学1年生の時に産休を取り、3年生になった今、戻ってきてなぜか私のクラスの担任になった。
……私に、理不尽な扱いをした人。名前とは正反対な性格。
「皆さん、起きたようですね。」
前方に、誰かがスッと現れた。スーツと仮面。主催者だろうかと予測する。
「初めまして、惑星地球、日本の夜風中学校3年4組の皆さん。私はファーストと申します。
さあ、デスゲームの開幕です!」
「…え?」
唖然とするクラスメイト。
「皆さんには、デスゲームをしていただきます!」
「ど、どういうことですか!早く帰らせてください!」
クラスで声の大きい、野球部の西川がそう言った。
「そのままの意味です。皆さんは、これからデスゲームをしていただきます。終わるのは、そうですねぇ………全てのゲームが終わるか、私たちが満足してからですね!」
「そんな…」
「…何の目的でこんなことするんですか!」
担任が叫ぶ。
一部の男子の間でおぉ、となぜか称賛する声が聞こえた。
担任は目立ちたいだけだろうが。
「目的、ですか。そんな大それたことではありませんよ。…刺激が欲しいからです!」
「刺激…?」
「ここは、貴方達にとって異世界。そこで命の危機に晒されたら、人の本性が出る。……人の『正しさ』が壊れていく瞬間って、美しいと思いません?皆さん、楽しませてくださいね!」
「何で私たちだけ…」
誰かが呟く。
「貴方達だけではありませんよ。ほかの中学校を呼んだこともありますし、夜風中学校から、もう1クラス、ええと、どのクラスかは覚えていないのですが、呼んでいますよ!」
「………」
「ふふっ、分かってもらえたようですね。では、今から準備を始めます。」
そう言うと、ファーストはどこからか杖を出し、軽く振った。
すると、私たちはふわっと浮き、体が変化した。
不思議な感覚だ。
「え…どうなってるの?」
困惑した声が飛び交う。
Dが口を開いた。
「皆さんには今、18歳頃の肉体に変化する魔法をかけました。14歳、または15歳の皆さんより体力があるはずですから。制服も皆さんに合わせて大きくなったと思います。基本制服で過ごすことになります!」
「あの~、質問いいですかぁ?」
そこで手を上げた女子がいた。
末吉柚乃。おしゃれに敏感で、優しいところもあるが素行は悪めだ。
「はいどうぞ!」
「ここって、髪型とか、メイクって自由で大丈夫なんですかぁ?」
「大丈夫ですよ!ただ、メイクは自然な範囲でお願いします。」
「はーい」
私は自分の手を見つめた。
特に何も変わっていないが、少し大人になったような感じがする。
笑いがこみあげてきた。
自然と口角が上がる。
(………なんて、面白そうなんだ!)
きっと私は最後まで生き残れない。
それに。
……みんな、絶望すればいい。
痛みに、苦しみに。
生きたいでしょう?生き残りたいでしょう?
ああ、そのときを見るのがなんて待ち遠しいのだろうか。
「では次に移ります!皆さん立って、出席番号順に並んでください!」
私は立ち上がった。




