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そぞろ煮  作者: 藻雲
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夜想、燐寸、千鳥草

_____________________________

夜想


月明かりの部屋で


白い月の光を両手で掬い

少しずつ呑み込む

呑むと体が鳥肌を立て

脳が覚めていく


その目に映る夜は 透き通っている

街が水で満たされているようで

わたしは夜を泳ぐ魚になって

深く息を吸う

白い月の光が粒となり

肺の中で溶けてゆく


わたしに宿る淡く暗い夜を想いながら

わたしは夜に紛れる

_____________________________


燐寸


ゆらりら ゆらりら あかいほむらが宿る指先


ゆれたれ りらゆら 火を喰うばけもの


ゆらりら ゆらりら 踊る火華やか


ゆららら ゆらゆら 揺らめく瞳孔


ゆらりら ゆらりら 灰散るまにまに


ゆられり ゆられり 脳味噌煙たく


ゆらりら ゆらりら 火照るほつぺが


ゆらゆら ゆらゆら 点る燐寸で


ゆらりら  ゆらりら

_____________________________


千鳥草


その小さな草のてっぺんで

  小さな鳥が囀っている。

その羽は夢の一つも知らずに

  何処迄も青天井を見つめる。


淡い風にさやさや吹かれ

揺れるままに 揺れ

海の向こうへ想いを馳せる


一羽、一羽、また一羽

全てが囀り、見つめ、揺れ、馳せる


かくして、千の花房が飛び立って行く

_____________________________

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