表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/99

周栗医むうに関する報告

 周栗医しゅうくりいむうは、シュークリームにストローを差して中のクリームだけを飲む。

挿絵(By みてみん)

 中のクリームを吸い尽くし、皮だけになったシュークリームの残骸は冷蔵庫に入れておく。それはあとで父親が食べる。

 むうの父親は血糖値が高く、数年前から甘いお菓子を控える生活を送っていた。しかし少しくらいなら食べても良いので好物のシュークリームの、その皮だけを食べて我慢している。

 むうも本当はシュークリームをまるごと食べたいのだが「わたし皮きらいだから」と嘘をついて、いつもシュー皮を父親に譲っていた。


 深夜、残業を終えて家に帰ってきた父親が冷蔵庫を開ける。シュー皮がラップにくるまれて冷やしてあり、小さな紙が添えてある。娘からの手紙だった。

「パパへ。しごとおつかれさま。きょうもクリームすっておいたよ。あとでたべてね。」

 父親はシュー皮を肴にして缶ビールを飲む。ビールの苦味と、シュー皮の裏側に少し残ったカスタードクリームの甘さが疲れている体に染み入る。

 娘がクリームをチュウチュウ吸っている姿を想像して、彼はふふっと優しく笑う。

 

 この家ではシュークリームが父と娘の絆を深めている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ