元最強剣士、入学
イケメンっていいよね。
数ある作品からわたくしの作品をご閲覧いただきありがとうございます!
前書きとかそういうの核の苦手なので簡潔に申し上げます。
この作品はチート、無双大好き人間用です。
誤字脱字やわかりづらい表現、ごめんなさい。
「わぉ、大きいなぁ。」
フードを深くかぶったまま俺は今日から入学する校舎を見上げた。
『市立総合学園』
4つある初心学校のうちの1つ。全ての職業をまんべんなく学ぶことが出来る学校だ。
初心学校はとこも難易度が低く、誰でも入りやすい。卒業までの期間、試験は、入学当初、つまり今日行われる『等級試験』によって変わるとされている。
俺は剣士に【なりたかった】、魔術師なのだ。最強剣士になるために、ステータスをすべて引き継げる新たな魔法まで開発して、転生をしたというのに。
したと言うのに!ここでドジを超えるドジを踏んだ。まさか魔術師に転生してしまうとは。
俺の前世は今から1500年前。主にドラゴンの襲撃に悩まされていたマリオネアル王国の、ドラゴン討伐隊として集められた世界の有力者達のトップとして、訓練や指揮をしていた。
俺はその世界で、狂戦士として、世界最強と謳われていた。だが、なぜ転生をしたのか。
一つは寿命の問題。マリオネアル王国の人間の平均寿命は大体70歳。その中で、筋力や体力がしっかりと付いているのは15〜30歳。
俺が転生したのは、多少の体力の衰え(という名のサボり)を感じたため、若くなってやり直したくなったから。
二つ目はドラゴン討伐が完了し、することがなくなったため。何もすることがないなんて、そんなつまらない人生を生きたくない。
三つ目は、己の限界を超えるため。昔、自分のステータスを測りたいがために作り出した測定魔法。子供の頃は順調に戦士としてのステータスが伸びたのだが、ある程度の強さになってからは弱くもならず強くもならず。
ただし、一度目の転生でステータスの上限のようなものが増えていることに気がついた。だから、転生を繰り返せば、少なからず前世より強くなるのだ。
「…まぁ別に、職の適性検査とかもあるし、戦士としては前世のまま、今世では魔術師ステータスで成長するから…全職万能者になる可能性が高いな…。」
『-お知らせします。市立総合学園へ入学される方は、等級試験が始まりますので、地下の該当階へお集まり下さい。繰り返します-』
入学者への呼びかけだ。
該当階は、入学前に事前配布された小さなハガキ、そこに自分の行くべき階が書いてある。
「えーっと…。俺は8階か。」
とりあえず校舎内に入るが、ロビーが広い。迷ってしまいそうだ。
しかし、地下への転送魔法がロビーに広がっている。魔法陣に乗ると自動的に自分の行くべき階へ転送してくれる。既に魔法の組み込まれた学生証が配布されているから、それを読み取るのだろう。
魔法陣に乗ると、シュン、と光景が切り替わる。自分の転送魔法ならまだしも、他人が作り出した転送魔法だと酔う。というよりも、転送魔法の術式が前よりかなり雑なものに変わっている。これでは転送速度、再構築時間等で酔っても仕方がない。
「…っと、とりあえずはいいのかな。これで。」
男女で分かれているので、男の列に並ぶ。並んでいる人は全員学生証を持っているので、おそらくそれを使う。順番を待っている間でも、ざわつきは収まらない。おそらく、既に友達になったものや、元から友達だったり兄弟だったりと色々いるんだろう。
前世では一目置かれていたのかなんなのか知らないが、狂戦士という職であることに一線置かれて結構な壁ができていたから、どうにかして友達が欲しい。
「(今世では何としてでも普通でいてよ、俺。ぼっちなんてもういやだよ。)」
今世の両親はなかなかいい人だった。ただ、心配なのが、ちょっと頭のネジが飛んでいる。そしてえげつないほどのドジである。しかし、両親共々一応この学校を首席で卒業したらしい。
「と言っても、この学校かなり底辺っぽいんだよね…。」
「…そ〜でもないよ?」
「っわ。びっくりした…。」
俺の小声の独り言に話しかけてきたのは、隣で並んでいた女子列の女の子。紫…?の髪。黄色の目。とても可愛らしい姿をしている。肩からは2本の刀をかけている。おそらく、侍志願者だろう。
しかし珍しい。侍を目指すものは主に長い太刀と短い脇差の二本差し。二種類の刀を持ち歩くことが多いのだが、この子は両方長い太刀。前世の俺と同じ持ち方だ。
「どーしたの?ジロジロ見て。」
「いや、ごめんね。太刀の二本差しが気になって。」
「そーなのか!私は侍を目指してるアリス・ルイナーというの、よろしくね。君は?」
彼女が名前を名乗った途端、周りがざわつき始めた。最初からかなりざわついてはいたのだが、いまは一層、ざわついている。
彼女の自己紹介の声はさほど大きくなかったはずだ。何故だろう。
とりあえず名乗ってもらって名乗らないのもあれなので、挨拶だけでもしておこう、と思う。
「…俺はアレン・ヴィズタリア。よろしく。」
「あれ、君は驚かないんだね?」
「…うん?何がだい?」
「知ってすら無いんだ、すごい!」
一向に話が見えてこない。驚くとか、知らないとか。知ってる知らないに関しては、1500年の時空
を超えてるんだから、今のことなんて知るわけがない。
言ってしまえば、俺は生後数時間だ。生まれたての赤子が「知ってすらないんだ。」、なんて言われても話がまったくみえてこない。
「…ごめん、話が全く見えないんだ。知ってすらない、ってどういうこと?」
「えーっと、あ、ごめん。わたし順番きたみたい。運よければすぐまた巡り会えるかもね、君とは戦ってみたい。ばいばーい!」
「…。」
奥の部屋に颯爽と消えていったアリス。魔法で形成された扉。術式を読み取るとランダムな転送魔法のようだ。また酔わなくちゃいけないのか…。
そんなことを考えている間に、俺の番が来た。彼女が言っていた。「君とは戦ってみたい。」
…なら、その望みを叶えてやろう。
『00強制魔法』
俺が扉をくくり抜ける瞬間だけ、感知されることのない魔法を組み込み、さらに、彼女、アリスがいる部屋へと転送する魔法に変えた。
空中から舞い降りた俺を見て、彼女はひどく驚いているようだった。
「わーお。本当に会えちゃった。今年の入学者5000人だよ?すごい確率だね!」
「…そうだね。それで、さっきの話の続き、聞いてもいい?」
「あ、えっとね。自分で言うのもあれなんだけど、私剣技に関しては天才なんだ!その他、魔法とかは、からっきしなんだけど…。でも、魔法とか、打たせる前に潰しちゃうから、破壊のアリスとか呼ばれてて。学校入学前に外の魔物とか倒しちゃって、割と騒ぎになって名前がみんなに知れ渡っちゃったんだよね。」
…今どきはそんなことで騒ぎになるのか。つまり、魔法や剣技もかなり衰退した、という事か。
まぁそれも仕方が無い。ドラゴンの襲来からかなり経ったからな。その間に何かあったのかは知らないが、昔よりは断然平和になった。
「へぇ、そんな事があったんだね。」
「…アレン君、全然驚かないんだね。」
「むしろ、なんでその程度のことで驚くんだい?割と普通のことだと思うけれど…。」
「えぇっ?!だっていまは…。」
彼女が何か言いかけたところで、放送が入った。
『入学者全員の入場を確認しました。それではこれより、等級試験を行います。』
地下への誘導者と同じ声。だが機械ではないらしい。機械質な女性の声で発せられた放送の内容はこうだった。
・室内にいる相手と本気で戦う。
・既に軽いステータスは確認済み。能力が近い人と合わせた。
・リーグ戦で、負けたら即退場。
・等級試験により、戦力が均一になるようにクラス分けされる。
「へぇ。もう学校側は俺達のステータスを把握してるんだ。校門に設置されてた感知魔法がその一種なのかな。」
「ええっ、そんなの設置されてたかな…?至って普通だったと思うけど…。」
「そうだね。そこそこ高度な隠蔽魔法を使ってたから、普通じゃわからないよ。」
「その普通じゃわからないものが分かったアレンくんって何者…。」
というか、あの程度の隠蔽魔法が分からなくて、なぜ俺と彼女は同じステータスなのだろうか。
自分のステータスを自分で図ろうとしてふと気がつく。体が新しい体になれきっていないのだ。つまり、転生したてのいまは、自分のステータスはがくんと落ちているのだ。
…ざっと計算して千万分の一…くらいか?いやそんな分けないか。
『それでは、等級試験を始めます。皆様、戦闘態勢にお入りください。』
「よーし、張り切っちゃお。…って、戦闘態勢に入らないの?」
「…ごめん、リーグ戦と聞いてちょっとやる気なくした…。」
「えぇ…。楽しみだったのに。」
「まぁ、少しだけね。」
『では、開始。』
特に前触れもなく唐突に等級試験がスタートした。せめてカウントダウンくらいして欲しい。
だが、等級試験が始まっても、アリスは一向に攻めてこない。俺の様子を伺っているようだ。
「攻めてこないのかい?」
「それもいいと思ったんだけど、ほら、すぐ終わっちゃったらつまらないでしょ?侍って目指す分一撃必殺だから、体力すぐ無くなっちゃうのよ。でも、君杖持ってるってことは聖職者か魔術師希望でしょ?それなら互いに体力少ないからいいんだけど、攻撃的には私の方が強いから!」
…随分舐められているみたいだ。ちょっとカチンと来た。一撃で二度と起き上がれないほどに始末してやろうか。
「(おっとっと、いけないいけない。落ち着け俺。荒れるな荒れるな、相手はただのクソガ…。)」
「ゔぅん゛!!!」
「わっ、ど、どうしたの…?」
「いやごめんね、何でもないよ。じゃあこちらから行くけれど、文句はないかな?」
「うん、いいよ。さぁいつでもおいで!」
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