第105話 都合の悪い話と良い話
え?王国に捕まる?なんでそんな話を僕だけに?
「よくお聞き。まず、あの国の果ての街ウェスティンに何故冒険者ギルドがあるのかを説明しないとね。不思議に思っただろ?様々なギルドが存在するのにその下請けみたいな事をするのか?」
まぁ、このギルドなんで潰れないのかって考えたことはある。
「最初の頃はちゃんと新人がいて低難度の依頼もちゃんとあったさ。他のギルドは無かったからね。大分繁盛していて毎日賑わっていた。ある日、あの王国は嫌がらせを始めたのさ。」
成る程、様々なギルド専門ギルドを作る事によって仕事を取り上げたわけか。
わざわざ、嫌がらせをする為に。
「概ねその通りさ。あの国は、まだ人族以外への差別が残ってるからね。」
何でそんな状況でもギルドを運営しているんだろう?
「それかい?王国の兵をエルフィアへ侵攻させない為さ。王都から村までは必ずウェスティンの町を通らなきゃ行けないからね。」
睨みを利かせていたのか。
「そうさ、アタシが亡命しちまったら最悪、森が侵略されて仲間達は死んだり奴隷にされたりしちまう。」
それを僕に話したという事は・・・
「だから捕まるしかないのさ。時が来たら旦那やラック、村のみんなに伝えて後の事を頼むよ。」
・・・・・・
僕は何も言えなかった。
「さて、戻るとしようか。アンタ、マナミが杖の作り方を聞きたいみたいだよ?教えてあげたらどうだい?」
マドリーさんがいつもの調子でジジィさんに話しかけた。
「ん?杖じゃと?教えたえてあげたいのは山々なんじゃが、儂には工房がないからのう・・・。マドリーやラックに渡したものは知り合いの工房を借りて作ったものじゃし・・・。工房を持っとる知り合いやそう行った場所にツテがある同族・・・例えば杖専門店がいるならそちらに聞いてみた方が良いじゃろ。それと魔法使いがいないとできんぞ?具体的にはマジックショップを構えてるようなレベルじゃの。」
エルフの杖専門店、工房を持ってる人、マジックショップを営業している魔法使い、そんな都合のいい場所や人材なんて・・・
「ありますよ、マナミさん!」(義姉)
「ああ、あるな。」(義兄)
え?あったっけ?
「「イースの街ですよ(だ)。」」




