第71話 マネキンではないです
開かなくなっていた扉を開けるとエンさん達が待機していた。
「無事・・・でもなさそうだな・・・。」
「ラックさんの意識がまだ戻ってません。」
「そうか・・・。暫く一緒にいてやってくれ。」
「はい。護衛はどうしますか?」
「俺からの護衛の依頼は都に到着した時点で達成しているからしなくていい。今は俺よりもラックの護衛に専念してくれると助かる。」
「マナミ様、私どもが至らないばかりに奥様を・・・。」
エンさんの後ろから執事のバトさんが現れて頭を下げて来た。
「気にしないでください。」
僕だって、もっと早くダンジョン化に気がついていれば・・・。
なのでエンさんや執事さんを責めることはできない。
「マナミの嬢ちゃん、人形は今から案内する部屋に置いてあるから回収しておけ。ラックの服もその部屋に置いてある。案内を頼むぞバト。」
「はい。我が主人。」
廊下を歩いている時にバトさんから聞いた話だと調査隊の人達や教授は別室に通されてもてなしを受けるようだ。
部屋に着くとリリアンさんとアリシアがいた。
「大丈夫か?姉エルフ。」
「大丈夫ですか?ブラックさん。」
やっぱりそういう認識になるのか。
「僕はマナミですよ。」
2人とも頭に?が出ている表情になっていた。
「魂をラックさんの身体に収めることができるんです。固有魔法の一種だと思ってください。」
2人とも成る程と納得していた。
便利だな固有魔法・・・。
コンコンとドアをノックする。
「失礼致します。」
先程、魔物を解体していた侍女の人だった。
「リリアン様、アリシア様、陛下がお呼びです。付いて来てください。」
そう言われて2人は何処かへ行ってしまった。
残された僕はドレスから着替えて、ある作業をして古代の人形を回収した。
『・・・また助けてもらいましたね。』
ラックさんが意識を取り戻したようだ。
・・・何があったんですか?
『魔物を倒したまでは良かったんですが、侍女に成りすました人に正面から刺されてしまって・・・。』
大蛇の解体をしてた人の言ってた通りだ。
『その時に耳元で囁かれたんです。』
何を言われたんですか?
『「安心して死んで下さい。貴女の全てを壊してあげますから。」』
何それ、怖い。嫉妬かな?
それより顔は見たんですか?
『はい。でも偽装スキルかそれに類似する固有魔法で顔を変えていたみたいなので・・・。』
相手は用意周到か・・・今は捕まえるのは無理そう。
『マナミさん、あの人に会いたいんですけど・・・。ドレスの事を謝んないといけませんし。』
刺されていた時に着ていた白色のドレスは穴が空いて赤くなっていた。
けれど・・・。
僕はステータス画面を開き収納した古代の人形と白色のドレスを取り出した。そして人形にドレスを着せた。
デパートとかでよく見かけるマネキンみたいになってしまったけど、気にしてはいけない。
『マナミさん・・・何をしてるんですか?』
こうするんです。
僕は人形に魔力を送りラックさんの魂を人形に移した。
「ちゃんと説明してください!」
急に色々やったので怒られてしまった。




