第52話 出発
ウォールさんに見送られて中距離瞬間位で門まで戻って来た。
「大丈夫ですか?MP回復薬を作っておきました。」
ありがとう、ラックさん。
「そんじゃ、出発しますか。」
今回調査する遺跡は皇都アールツーの北側にあるそうだ。
一先ず皇都アールツーを目指す。1日ほどの予定だそうだ。
1ヶ月後に闘技大会が行われるそうなのでついでにブクマしておこう。
そう言えば教授が巻物の作り方を教えてくれるみたいだけど・・・。
「教授、巻物の作り方を教えましえて頂けますか?」
「そうですね。簡単に口で説明しましょう。知っていると思いますが、巻物は紙に文字を書きそこに対応した魔法を撃ち込むんです。実際はそんな簡単に行きませんがね。」
説明だけだと簡単なんだよな・・・。
そんな事を思いながら正面から来た女の子に軽く会釈をした。
この国ではすれ違う人に会釈をするのがマナーの様だ。(隣にいる護衛対象談)
女の子が通り過ぎると教授がこう言った。
「さてと、気がついてますよね?ドット、ブラック君、マナミ君。」
え?何?
「そうですね、教授。気配がかなりあるな・・・用心しろ。」
「完全に囲まれてますね・・・。マナミさん、護衛対象を守りますよ。」
あ、成る程、みんな魔力や気配等の探知を使ってるのか。
あれ?何か視える。
魔眼が覚醒した時と同じ感覚だった。
『くっ、魔力と気配を殺してたのですね。』
教授が背中を切られる未来が視えた。
え?どうして今、視えるの?と言うよりも場所はココだよね?
防ごうにも丸腰なので、魔力で武器を作り出して攻撃を防ぐことにしよう。
片手で持てる剣と盾をイメージして魔力で形にして、すぐさま教授の背後に回り込み不意打ちを防いだ。
「凄いな、マナミの嬢ちゃん。今のは俺でも気が付いたとしても間に合わなかった。」
実際、僕が視た予知では、気が付いて止めに行こうとしたけど間に合っていなかった。
「ドット君、気にすることはないですよ。私でも気が付きませんでしたから・・・。
まさか、街道ですれ違った人が背後から攻撃してくるとは・・・」
そう、襲撃してきたのは先程すれ違った女の子だった。
「今のをよく防いだな!それはそうと、有り金と荷物を全部置いてきな!そうすれば命だけは助けてやるよ。」
ハァ、盗賊ですか・・・。
冒険者ギルドでは殺してしまっても構わないと聞いているけど、極力やりたくないんだよな・・・。
彼女は僕から距離を取り、
「野郎ども出てきな!」と言った。
すると、何処からともなく彼女の部下らしき男達が出てきた。数は50を超えてる・・・。
しかも完全に囲まれてしまった。
「若い人間の女が1人とと若いエルフが2匹いるな。グヘヘ〜女達も置いてきな。」
あー、薄いのが厚くなる展開ね。
他国で奴隷行きの展開もあるかー。
勿論、そんな事されたくないけど・・・。
隣でブチッと何かが切れる音がした。
え?ブチッ?
音のした方を見てみると隣にいた護衛対象の男の堪忍袋が切れた様だった・・・。




