第51話 教授とその妻
「どなたか、私を今すぐに自宅に送れないでしょうか?義弟夫婦と買った家で、学園の裏にあるので・・・」
・・・自宅が職場から近いなら尚、毎日帰ってあげて下さい。
まぁ、往復するのは問題ないのだけど・・・
「エンさん、一時的に護衛が減りますが大丈夫でしょうか?」
「俺は構わねーよ。依頼出しといてアレだが、自分の身は自分で守るし、ハニー・・・ラックが居れば大丈夫だ。」
エンさん、リリアンさんに睨まれてますよ。
「はぁ、今回だけですよ?
僕は魔法が下手で使うと暫くは動けなくなります。
なので護衛としての戦力にならなくなりますからね。」
消費MPを抑える固有スキルを保有しているラックさんが行えばいいのだろうけど彼女が瞬間移動を行うと僕が使う時よりも発動までに時間がかかる。
合体していれば良いと思うかもしれないけど古代の人形を見られる訳にはいかないし・・・。
「行った事がない所には行けないので近くまでいきますね。『中距離瞬間移動』」
学園の裏は行ったことがないので一番近くの建物まで行き、そこから走って貰う事にした。
「【固有魔導書】とはよく言ったものですね・・・。私に考えがあるのですが、我々の重力を無くして風で操って頂けますか?」
どうして他の固有魔法の事を?
「孫を自慢する手紙も入ってましたので・・・」
何をしてくれてんですか?・・・あのお婆ちゃん。
「調査にいかなくても巻物ができれば、人工的に門 転移門が作れるんですけどね・・・。」
それを言ったら元も子もない。
と言うよりも魔法の初心者なのでまだ巻物等の道具は作成できません。
「調査の道中、巻物の作り方を教えましょう。あ!あの建物です。」
学園の裏は丘になっており、そこには貴族の屋敷とまでは行かないけれど立派な建物が建っていた。
「おかえりなさい、あなた。何ヶ月ぶりの帰宅?」
「3ヶ月・・・いや4かな?」
本当に、どうして自宅が近くにあるの帰らなかったんです?
「おはようございます。ウォールさん。」
「あら、マナミちゃん?大分、MP消耗してるじゃない!貴方!何させたの?」
重力の檻と風を使っているので限界に近いけど中距離瞬間移動1回分は残ってます。平気ではないけど・・・。
「気にしないで下さい。仕事や訓練としてやってますので・・・」
「あ・な・た?私が怖くなって戻って来たんじゃないよね?」
「も・も、も勿論だ。り、離婚されそうだとか考えてないぞ?」
ビビり過ぎですよ、教授。
ウォールさんはため息をついて
「離婚?するわけないじゃない。だって・・・
とにかく、帰ってこない事には怒ってはいない・・・。
けど、マナミちゃんに迷惑をかけてまで戻って来た事には怒ってますからね。
ウチの人がゴメンなさいね。これはお詫びの品。
私特製のイヤリングよ。早速付けると良いわ。」
「ありがとうございます。」
受け取って早速、耳に付けた。
イヤリングの効果を確認。
名称:ネイチャー・サンクチュアリ
ある鉱石を使ったイヤリングに回復魔法を付与した結果、MPの回復を高める装飾品になった。
凄いものを頂いてしまった・・・。
買うといくらするのだろうか?
・・・考えない方がいいかな。
「お金が貯まったので今度、魔法の鞄を買いに行きますね。教授、門に戻りますよ。」
「気をつけてね。」
その言葉を聞き僕は教授を連れ、中距離瞬間移動を使って門へと戻っていった。
「なぁ、リリアン嬢。離婚じゃなくて離魂じゃないか?確か、ウォールの姐さんの固有スキルって物に宿った魂がみたいな内容だった気が・・・。」
「あ!そう言えばそんな感じでしたね。」
後に僕はこれを聞いた。
離婚しようかなと言う発言は勘違いでした。




