第47話 祖母への報告
「内容の確認だ。依頼は一週間後の朝、中央広場に集合。教授のチームが来るから、その団体さんと合流して出発。盗賊や魔物を退けながら遺跡を目指す。遺跡の発掘等の指示は教授の方から聞いてくれ。どうした?ラック?」
「あの・・・明日、学校は休みでお祖母ちゃんとお祖父ちゃんに報告に・・・イタ、何するんですか?マナミさん!」
僕は色ボケお姉ちゃんを小突いた。
まだ仕事中ですよ?後に下さい。
「姉が失礼致しました。陛下、依頼はお受けします。報酬は護衛が終わり次第でお受け取りします。」
仕事の話はこれで終わり。
どうぞお姉ちゃん。
「来て貰えますか?」
「あぁ、も、も、勿論だ。」
随分、震えてるな。たしか、古い知り合いの筈だよね?
「リーダーだったんですよ、お祖母ちゃん。伝説のパーティーの・・・。」
へえー、そうなんだ。
「マナミさんも付いてきてください。」
え?何で?
「私も怖いからです。」
次の日
早朝、寮から瞬間移動でエンさんを迎えに行き、中距離瞬間移動でウェスティンの街に向かった。
(ウェスティンに着くまで僕とラックさんは1人になってます。)
あれ?よく考えたら僕、要らなくない?
元々、MP節約するのはラックさんのスキルなんだし。
何が楽しくて結婚報告についていかないといけないの?
そう思いつつ、冒険者ギルドに着くといつもの強面の受付とギルドマスターが出迎えてくれた。
「皆様、おはようございます。久しぶりですね?元気でしたか?ドット。」
おはようございます。コルトさん。
「よく来たね。可愛い孫たち。それとドットの鼻垂れ小僧。」
孫と他人の扱いの違いが酷い。
それと僕は、貴方の孫ではない。
「鼻垂れ小僧、まさかとは思うが、ウチの孫のどちらかと結婚の報告に来たんじゃないよなぁ?」
凄く怖いんだけど・・・エンさん青ざめてるよ・・・。
「そこの小僧は、解散前の酒の席で『俺は、結婚なんざしない!特に予知に出てきて可愛いと思って一目惚れしたエルフの女の子とはしないぞー』って言ってね。もちろん覚えてるね?」
そりゃ、不用意に発言したエンさんが悪い。
「まぁ、可愛いだなんて♡。それでお祖母ちゃんは何を約束したんです?」
ラックさん、わかりやすい♡はダメだって・・・。
マドリーさん、拳握ってるよ・・・。
「結婚する時にエルフ連れてくるなら闘技大会でアタシらを倒してからにしなって約束さ。まさか自分の孫を連れてくるとは思わなかったけどね・・・」
それ、酒の席でする約束じゃないでしょ・・・
「爺さんから結婚に関する条件を聞いてるね?ラック?」
「・・・はい。」
ラックさんも青くなってるよ・・・。
「お前自身の実力はSランクまで届きつつある。だけど、パートナーとパーティー組んで私ら2人を倒したら良いという条件だ。」
それ孫に課す条件じゃないだろう・・・
というより、勝てるの?
「コォールートォー!例のブツを投函しな。」
コルトさんはギルド内に設置してあるポストに虹色の便箋を虹色の封筒に入れてシュートした。
「まさか、緑炎のばあ様、本当に虹の手紙を使いやがった・・・」
「お祖母ちゃん本気なんだ・・・」
虹の手紙?何それ?
何でだろうか?2人とも更に青い顔をしている。
「虹の手紙、先程の便箋と封筒は魔道具です。
Aランク以上で解散したパーティに送られる代物です。
投函すると書いた内容が元パーティメンバー全員に届くんですよ。
」
笑顔で説明ありがとうございます。コルトさん。
(でも、相変わらず笑うと怖いですね。)
「お祖母ちゃんが出したと言うことは・・・」
伝説のパーティ《国境なき冒険者達》宛てか。
孫の結婚を阻止したい。
そんな下らない理由で来るわけないでしょ?
「幼少の頃に何名か、お祖父ちゃんを訪ねてきた方が居ましたけど・・・来そうな方々でしたよ?」
「絶対、全員来る。結婚相手が俺だって知ったら面白がって絶対来る・・・。あんな宣言しなきゃよかった・・・。」
どういう人達なんだと困惑するマナミであった。
手紙の内容
久しぶりだね。野郎ども。
元気にしてるかい?
ドットの小僧を覚えているかい?
昔、酒の席で『俺は、結婚なんざしない!特に一目惚れしたエルフの女の子とはしないぞー』って言った小僧さ。
その小僧がよりにもよってウチの可愛い孫と結婚するってんだよ。
解散前の酒の席での発言ではあったが、孫娘と小僧の結婚を阻止したい。
次の冒険者闘技大会に来れる奴は来ておくれ。
場所はイーストリア帝国の皇都アールツー。
日時は1ヶ月後だ。
さあ、《国境なき冒険者達》の復活だよ!




