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雨の日

 


 僕は彼女と別れた。


 この選択が間違っていたとは思わない。


 彼女には、僕じゃない、新しい(ひと)を見つけてほしいと願う。





 僕が背を向けたときの彼女の表情は手に取るようにわかる。


 それだけ長い年月一緒に居た。


 


 

 陶器のように、雪のように滑らかで白い肌。


 少し厚い唇、ストレートのショートヘア。


 さっぱりしてそうに見えて、ゆるい性格。


 



「僕たちは違う道を歩んだ方が良い。」


 そう告げたとき、彼女の瞳は僕を捕らえて離さなかった。


 絶望、悲しみ、驚き。


 溢れ出そうとする涙を必死にこらえ、無理に笑って見せた彼女。


 そんな顔をさせているのが自分だということが辛かった。








 誰よりも愛して、誰よりも想ってきた。


 僕の為にと、努力をしてきてくれた。


 僕もその気持ちに応えようとした。


 愛が愛を育み、僕たちは一つだった。








 




 夜だというのに、店の明かりが昼を思わせる。


 雨は、ここにいる誰にも平等に降り注ぎ、生命を繋ぐ。


 














 僕はひとり、傘も持たずに佇むだけしかできない。


 最愛の彼女(ひと)を自ら手放し、空っぽになってしまった。














 雨は止まず、僕と彼女に降り注ぐ。












宝塚・花組現トップスターの明日海りおさんがカバー(?)した、BEASTの「雨が降る日には」を意識しながら書きました。

彼にだって、彼女にだって、いつかは晴れの日が訪れるでしょう。

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