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成績発表
人は本当の暗闇を見ることができないと、どこかの本に書いてあった気がする。科学的にはそうだ。しかし、「力学概論1 不可」という文字が目に入ってきた瞬間だけは、その学説を疑った。
何かの間違いではないか、これは夢ではないか、そんなベタな漫画みたいなセリフが、これほどにも切実なものになりうるなんて知らなかった。「煩悩」「ノイズ」「心の乱れ」「不純な動機」……そんな心当たりしか浮かばないほど尽力したはずだった。
黒板に一番近い位置に座る私に、彼が時折目を合わせてくれた一瞬一瞬を絶え間なく思い出していた。慣性のようにカラダに染み付いたその記憶に、これからどう救いを与えるべきかを知らなかった。
ただ、時間がまた流れだすことを祈るだけだった。




