092話 完全なる罠
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扉を開けたその先には、ラルが言っていた様に物置き部屋というに相応しい雑多な物に溢れた空間が存在した。
ここは外と繋がっているというのにも関わらず、扉には誰も見張りがいなかったし、中にも人がいる気配はない。
リキテッドもここから侵入される可能性があると分かっているはずだ。
にも関わらず、何も策を講じていないのは不自然な感じもする。
だからと言って、今更もう一度外へ出て侵入経路を探すというのは大変だろう。
今は何も起こっていないのだから、有り難く先へ進ませてもらうか。
「この部屋、かなり埃っぽいねー。やっぱり色々と道具がおいてあるからかな」
ベリーを少し部屋を散策しながら、どんな物が置いてあるのかと色々触れてみる。
「武器とか、防具とかが大半みたいだな」
貸し出し用に用意された武器だと思うが、闘技場に足を運ぶ人間が武器を持っていないはずがない。
だから、何年もここで眠っていて埃だらけなのだろう。
かく言う俺達も武器に困っている訳ではないので、武器を拝借する必要もない。
それより先を急ぐべきだ。
「ん?あれ?可笑しいな。逆側から鍵でも掛かってるのか」
「どうしたのシロー?扉開けない?」
押しても引いてもびくともしない。
押し引きではなくスライドかとも疑ったが、やはりそんなことは無かった。
ドアノブを観察しても鍵を掛けられるようには見えないが、一体どうなっているのか。
「ちょっと貸して貸して!ベリーが開けるから」
「じゃあ、頼む」
「よーし、ってあれ?本当だ開かない」
「「後ろない!後ろ!」」
リルとラルの焦った声で後ろを振り向くと、何故か宙に浮く剣が見える。
俺の目がおかしくなったのかと思っている内に、1本、2本とこちらに目掛けて飛んで来た。
「こんな狭い空間でいきなり戦うことになるとは!」
文句を言っている時間はないと分かっていても口から溢れる言葉を止められない。
遅れながらもこの状況に気付いたベリーを庇いながらも必死に避ける。
「これ!やばいんじゃない!?」
「あぁ、そうっぽいな。完全に嵌められた」
最初からこの場所に来ると踏んで罠を仕掛けていたのか。
狭い部屋で見えざる敵からの一方的な攻撃は不利だ。どうにかして部屋を抜け出せる方法を探したいところだけど、悠長にそんなことをさせてくれるとも思えない。
リルとラルも飛び交う武器を華麗に避けているが、それで精一杯。
周りに気を観察する余裕は無さそうだ。
「こうなったら多少荒くなるけど仕方ない!リル、ラル!ベリーの近くに寄ってくれ!」
「ご主人様、それでは的を絞ってしまいます!」
「かなり強い力で動いているので正面から受け止めるのは危険ですよ!」
「頼むッ!!!」
「「了解です」」
言っている事はリルとラルの方が正しい。
散らばった方がその分武器や力を分散出来る。
ただそれでは消耗戦になるだけ。
見えない戦力と消耗戦を続けるのは得策とは思えない。
だから、一気に片を付ける。
カタカタと動き回っている様々な武器が、壁を背にした俺達へ襲い掛かって来た。
この瞬間に溜めた力を解放する。
「【剣術】"抜刀・韋駄天"!」
刀に力を伝えることだけ全神経を注ぐ。
大量の武器とはいえど、所詮は貸し出し用の鈍刀。
進化を経て強くなる特殊な刀に勝てるはずもない。
次々と甲高い音を立てながら刃が折れ、地面へと落ちていく。
次の武器が浮遊するまでには時間が掛かるようで、何も起こらないタイミングが生まれた。
逃げるとしたら今しかない。
「今だ!全員、扉に向かって攻撃しろ!」
俺の合図を聞いて、意図を察した3人が後に続いて動き出す。
何かの細工で硬くなっている扉だが、元々の素材は木。
4人で一斉に衝撃を与えれば壊れないはずがない。
バキバキッと木が軋む音を立てながら、粉々になる扉。
勢い余って転びながら外へ出る。
「いたたー、ちょっと勢い付けたすぎたか?」
「わ、わ、わぁ!そんなこと言ってる場合じゃないかも!」
同じく床に倒れ込んでいたベリーが慌てて俺の肩を掴み揺らす。
状況を把握しようにもこれだけ体を揺らされたら視点が定まらない。
ただぼやけた視界で分かることは、明らかに人の形をした何かが数え切れない程立っている事だ。
落ち着いて来たベリーが揺らすのをやめてくれたので、ようやく状況を理解する。
物置きにあった武器や防具よりも何倍も値が張りそうな装備を身に付けた警備員。
1人1人の戦力は大した事が無さそうで安心だ。
懸念点があるとすれば、この中に紛れているであろう念力系のスキルが使える相手。
物置きに閉じ込めたのも、武器を浮かしていたのも恐らくは念力系のスキルだろうからな。
「まずはある程度人数を削っていくか」
「どうやって!こんだけ敵がいるのに!」
指を立てくいくいと動かす。
これだけで意味を理解する者もいるだろう。
顔を真っ赤にする警備員。
誰一人として冷静さを持ち合わせていないようだ。
「ストップストップ!だめだめ!」
有象無象の後ろからヒョコッと現れた女の子。
リル、ラルと同じぐらいの背丈で手にはクマの人形を持っている。
「彼らは強いんだから、突っ込んでも死ぬ死ぬ。ここはキュートなアタチに任せる任せる」
「自ら出て来たってことは相当な自信があると思って良いのか?」
「自信?何馬鹿な事言ってるの言ってるの?当然の様に殺す殺す」
成人しているであろう警備員達が軽々と宙に浮く。
1人60キロから70キロは平均してもありそうだが、それでも汗を掻く様子すら見せずにやってのける。
「何かの魔物の力を持った半人半魔か?」
「半人半魔?そんなのと一緒にするなするな。アタチはただの天才よ【念力】”ポルターガイスト”!ほらー、無駄死にさせなくて良かった良かった!その方がお前ら躊躇うでしょ?」
屈託のない笑顔で倫理観に欠けた発言をするイカれた少女。
これは相当手強い相手だと肌で感じた。
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