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ボクっ娘幼なじみが本命の最強美少女パイロット、女心を学ぼうとして全部間違える 〜女の子とデートしまくれば百合が理解できるよね(???)〜  作者: そらいろきいろ
002 / 配達人は二度泣く

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#7 レクセル、常識を知る

「おっ! レクセルさん、いいことでもあったんすか?」


 次の日。

 遊便任務とは別に、隣町までの配達を終えて戻ったレクセル。

 すれ違ったシューメーカーに声をかけられた。


「特に……ありませんけど」

 

「そっすかー! いやぁね、なんか楽しそうな感じだったんで! お疲れ様っす!」

 

「ええ、シューメーカーさんも」

 

 片手をピッと上げて去っていくシューメーカー。

 その後ろ姿を見送ってから、レクセルはぺたり、口角を指で触った。


「楽しそうな感じ……」


 レヴィとは、今夜も会う約束をしている。

 軽くご飯を食べに行く予定だ。

 確かに楽しみだけど、顔に出るほどだったのか――――とレクセルは他人事のように思った。






「あっ、レクさんーっ! ここですー!」


 ぴょんぴょん飛びながら手を振るレヴィを見つけて、レクセルは少し歩みを速める。

 待ち合わせに指定されたのは、ファーストの中心に位置する噴水の前。

 人気スポットらしく、2人の他にも待ち合わせと思しき人々がちらほらと見受けられた。


「お待たせ。……待たせた?」

 

「いぃえ、今来たところです♡」


 にこにことレヴィが答える。

 そのまま連れ立って噴水を後にした2人だったが、なんとなく後ろが騒がしい気がする。

 

 思わず振り返ってみれば、歩いて来た道に沿って、少なくない人々が立ち止まっていた。

 彼らに邪魔だと突っかかった通行人がいて、軽くトラブルになっていたようだ。

 首を傾げるレクセルに聞こえてきたのは――――。


「わぁ……なんて美人」

 

「ちょっとなに立ち止まって――――おぉ」

 

「レベルたっか!」


 ――――もしかして私たちのせい……?

 申し訳なくなったレクセルに、レヴィはいたずらっぽく笑う。


「ふふふ、美人さんは大変ですねぇ。でもちょっとうらやましいです♡」

 

「……なにいってんの。レヴィだってかわいいじゃん」

 

「かわっ!? ………………うぅ」

 

 あれ? かわいい路線で通しているのだと思ってたけど、違ったか。

 突然静かになったレヴィに、そんなことを思う。

 レクセルはやっぱり鈍感であった。






 歩いているうちに、レヴィはなんとか復活した。

 ようやくふわふわした雰囲気を取り戻し、こっちですー! とレクセルの先を行く。

 案内されたのはこじんまりとしたカフェだった。


 メニューが書かれた黒板を横目にドアを開ける。

 柔らかな明かりに照らされた店内には、すでに何組かのお客さんで賑わっていた。

 がら空きでもなく満員でもない、いい塩梅の混み具合の中、2人は窓際のテーブルへ通された。


「――――ここはぁ、キッシュがおいしいんです。わたし毎回頼んじゃうくらい!」


 メニュー表を指差すレヴィ。

 スープとキッシュ、ドリンクのセットがおすすめらしい。

 ただ、セットも何種類かあるようで。


「いつもはどれ食べてるの」

 

「そうですねぇ――――今はほうれん草のキッシュですね」

 

「今」

 

「わたし飽きるまで同じの頼むんで♡ ちなみに全メニュー2巡してます♡」


 尖ってんなー、とレクセルは思った。


「あ、お酒は未履修ですよ? 本当のメニュー制覇にはまだまだ遠いです……」

 

「あんま変わんないと思うよ」


 まぁ、レヴィが選んだのなら間違いないだろうし。

 レクセルは言われたセットを頼むことにした。


「ほうれん草のキッシュとトマトスープ、ドリンクはコーヒー……うん、私はこれで」

 

「じゃあわたしはぁ、きのこのキッシュとコンソメスープのセットにしよっかな〜」

 

「……今はほうれん草って言ってなかった?」

 

「たった今飽きました♡」

 

「…………」

 

 自由なヤツ……とレクセルはため息をついて、店員を呼んだのであった。






「ねね! レクさんって、付き合ってる人いるんですか?」

 

「――――いないけど」


 唐突に聞かれて、レクセルの眉がぴくりと動く。

 えぇいがーい、とレヴィはコロコロ笑った。


「いるように見える?」

 

「見えるっていうかぁ……レクさんほどの美人さんなら当たり前にいそうだなって♡ ……あ、わかった!」

 

「なに」

 

「本命の子がいないってイミで、遊びの子はたくさんいるんでしょ!」

 

「いないっての!」


 遊びだなんてとんでもない、と強く否定するレクセル。

 片足を突っ込んでいることに自覚はなかった。


「てか子って…………なんで女の子相手が前提? 女性同士ってそんないる?」

 

「いや普通に――――てか最近のカップル、ほとんど女同士ですよぉ」

 

「…………え」


 レクセルは固まった。

 だって戦争で男子減っちゃったじゃないですか、とレヴィは当たり前かのように言う。


「男との恋愛ってどうしたって結婚前提になっちゃうんですよぉ。もし別れたら他の男なんて捕まらないしー」

 

「男が少ないから?」

 

「ですです。恋を楽しみたいなら女同士のほうが気楽で――――ってなんでレクさん知らないんですかぁ? 今までお仕事一筋だったとか?」

 

「…………まぁね、そんなとこ」

 

「ふふ、真面目な人ってステキです♡」


 衝撃だった。

 ハレーの想いを非常識みたいに言っておいて、私のほうが常識知らずだったのか……?

 レクセルは頭がくらくらしてきた。


「――――そういえば、待ち合わせの噴水のとこ、やけに女の子同士のペアがいるなと思ったけど……」

 

「そうですよぉ、だいたいカップル♡」

 

「マジかぁ……」

 

「じゃあわたし、レクさんの初カノに立候補しちゃおうかな♡ 恋のこと、たくさん教えてあげますよ?」

 

「…………却下」

 

「うふ。ちょっといいかなって思っちゃいました?」

 

「思ってない」


 教えてあげる、に関しては図星だったレクセル。

 ちょうど店員が料理を持ってきたのが見えて、ほっと息を吐いたのだった。

読んでいただき、ありがとうございます!

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