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閑話休題。此処でふと思い至ったことがある。裏のお宅も犬を飼っていたことついては既に触れた。裏の長男は自身の家の犬を連れ、よく散歩をしているを目にしたものだが、それは私の庭に於いても、でもあった。何度か出くわしたものだ。どういうことかというと、裏のお宅からすれば、普通に道なりに行くと、表の通りに出るには遠回りなのに対して、私の家の庭を通ればショートカット出来、表の大通りに出るのに回り道をする必要がなく、面倒くさくない、ということであろう。庭でよく犬のフンを見かけたものだが、おそらくその生産者は件の犬であろう。それというのも、お向かいの犬が死んだ後でもそれはなくなることはなかったし、第一、私の家の庭でお向さんが愛犬を同伴した散歩にはお目にかかったことはなかったのだ。無論、“彼女”が単独で徘徊していたりなんぞというのも見たことがない。それ以外は首輪をつけて犬小屋に繋がれている訳であり。無論、庭で見かけたフンに野良猫などのものとかが含まれていないとは断言出来ないのではあるが、おそらくは、この場合の私の推測は妥当であろう。話を戻そう。
実はあちらの家の父親も職業は教師であり、市内にある私立高校で国語を教えていた。この人は中肉中背で落ち着いた感じの方であったのだが、実はこの方とも、私にとって最も印象深かったエピソードは「勧誘」であった。加えるならば、此方は私の弟に対しても「勧誘」をしている。
私の田舎では全ての中学生が受験を義務付けられている模擬試験が二つあった。一つは年に四回行われる地元の新聞社が主催する模擬試験であり、もう一つは向かいの父親が教職を務めている私立高校と系列校が主催する模擬試験である。向上心の高い生徒ならば、幼い頃から此れ等以外にも、県内や県外に留まらず、有名な塾や全国的な予備校に通い、其の先でより以上に、若しくは遥かにレベルの高い、試験や模試を受けてはいたのだろうが、そこまで「意識高い系」でなかった私が受けていたのは、先の二つの、計五回の模試のみであった。
その私立高校の模擬試験が行われてほどなく、部屋で寝転がってマンガを読んでいると、ひょっこり親がやって来て、
「お向かいのおじさんが、『用があるから家まで来てくれ』って」
と告げた。
「…何かした?」
「いや。何にも」
心当たりはない。ましてや、悪事の類など。
お向かいの家まで行き、扉の前に立ちチャイムを押すと内からドアが開き、




