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深夜というのか早朝というのか…。
私は眠剤を飲むと頭から布団を被った。
親が話していた、「この前のこと」というのはこういうことである。
(直近の)入院中、実は麻酔で強制的に寝かしつけられた以外、私は殆ど眠っていなかった。全く眠っていないとまでは言わないが、日に一、二分、或いは三、四分の睡眠が何回かあっただけ――合計でも一日三十分も眠ってはいまい――だろう。私が患っているものの内には不眠症も含まれているのである。入院期間中、看護師に「眠れないから寝られる薬を貰えないだろうか」と頼むと、眠剤を持ってきてはくれるのだが、生憎と青い楕円形の粒――ハルシオン程度を服用したところでは眠くすらならない。とても眠れなどしなかった。故に、退院した時には、本当に疲労でくたくただった。眠れないくせに眠らないと疲労は取れない。全く難儀なものである。だから、下宿に帰り、まず私が最初にやったことは、自分用に処方された眠剤を飲み眠ることだった。兎に角疲労を取らないことには、堪ったものではなかった。ところが、あれだけ寝ていないというのに、速やかに効果が出てくれるものと期待していたのだが、全然眠くなりはしない。そのうちにお腹が空いてきたので、近所のコンビニに行くことにしたのだが、それ間違いだった。久しぶりにコンビニに行った記憶はあるのだが、気が付くと店内で床に腰を落としていた。「あれ?」と思っていると、顔見知りのコンビニのアルバイトが、「ちょっとこちらに来てくれませんか」と言うので、バックヤードに連れていかれることとなった。連行された訳だったのであるが。テーブルの脇のパイプ椅子に座ると、カルピスウォーターと五〇〇ミリリットルの紙パックの低脂肪乳が入れられた買い物かごがテーブルの上に、私の眼の前に置かれた。「あのう、これが一体何なのでしょうか?」という顔をしていたのだろう。実際に何が何だか解らない。店員の説明によると、「入店後間もなく、カルピスソーダを手に取るとフタを開けてから閉じて元に戻し、それから店内を徘徊した後に、五〇〇ミリの低脂肪乳のパックを掴み、棚から取り出すと、手を放し自由落下させた」と言うのである。「何、それ?」と思うと同時に、もちろん、「この私が?」と思った。全然記憶にないし全くやった覚えもない。記憶がぼこぼこと抜け落ちていた。




