プロローグ
物心ついた時から好きだった人がいる。
何をするのにもずっと一緒で、大好きだった。
あの子が現れるまでは、あなたも私のことを好きだと思っていた。
言葉にしなくても、思いは通じ合っていると思っていた。
勝手に同じ気持ちだと勘違いしていた。
あの子にあなたから離れるように叫ぶ私に、だれもが不思議そうに言う。
いったいどうしたんだ。と。
それ以上仲良くならないでってお願いする私に、あなたは笑って言う。
やきもちか?お前とあの子は違うんだよ。可哀想な子なんだ、優しくしてあげろ。と。
私の願いに反してあなたとあの子の距離はどんどん縮まっていく。
妹のような存在でほっとけないんだよ。とあなたは言う。
じゃあ、今までそのポジションにいた私は?
家族のような存在って言っていた私は?
あの子があなたを見る目は私と同じだ。
あの子は、あなたに恋している。
それに気づいていてあなたが優しくするってことは、あなたとあの子が同じ気持ちなのね。
いい加減にしろ。そうあなたに怒られて街へ飛び出した私は、死んでしまう。
死ぬ前に強く思った。
あなたなんていらなかった。
あなたに執着せず、もっと色んなことを大切にして生きれば良かったと。