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第九十八話 恥じらい

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 フンスッ! と鼻息を荒くして拳を握り僕に近付くクリス。

 

 近い近いっ!


 見えるだろうっ!


 心の中で絶叫する僕。


「どうしました」


 心中の動揺を悟られないように平坦な声を上げる僕。


「この俺に嫁の貰い手がいないだとおっ!」


 拳を握り力説するのは良いです。


 クリス……眼前に立たないで下さい。

 際どい感じで見えそうです。

 鼻血が出る。


「あっ……そこは気にするんだ」

「当たり前だがなっ!」

「でも~~そのままでは貰い手は居ませんよ」

「カイルは貰わないのかっ!」

「貰って欲しいんだ」

「なあああああああああああああっ!」


 真っ赤になって悶えるクリス。

 

 嵌められたあああああっ! という顔をするクリス。


 それはもう激しくそんな顔をしていた。


 良し。

 

 クリスを嫁にする言質は取ったっ!


 後で嫁にならないと言っても証人がいるので言い逃れは出来ないぞ。



「腐……それは~~そうとカイル」

「何です~~サキ姉さん」

「【大気の盾】を重ね懸けしなくて良いの?」

「ふえ?」

「腐……もうすぐ持続時間が無くなるよ」

「あっ……」


 忘れてました。

 羞恥心で頭が一杯で完全に意識に無かった。

 

「我と友を覆い隠し……」


 仕方ないので大急ぎで詠唱する僕。


「おおっ! 邪魔な物がとれたがな」

「ふえ?」


 クリスの言葉に僕は思わず術の詠唱を止める。

















「……」


 全ての意識が眼前のクリスに注がれる。










「だ……」


 僕の眼前に広がる桃源郷。



 大きさが様々な桃がっ!



 

 あう……。


 あう~~あう~~。


 鼻血があ~~。


「どうしたがな? カイル」

「だから……前を」


 そのまま屈み(・・)僕の顔を覗き込むクリス。


 無論クリスは全裸(・・)だ。


 しかも立ち上がり僕の方に屈んでる。


 なので色々見えます。


 もう本当に。






 色々。




 ……。

 ………。

 …………。



 ……もう限界です。

 

 体温が上昇していくのが分かる。


 一気に血が上ったのだ。



 心臓から一気に。



 それは鼻へと集中する。



 鼻血がああああああっ!


「隠し……てよおおっ!」

「おおうがなっ?」




 ブシュウウウウウウウウウッ!



 鼻血が一気に出た。


 噴水のように。


 ……うん。


 不味い。


 この量は致命傷だ。

 女の子の裸を見て鼻血で出血多量死。


 てのは情けないんだが……。

 

 折角の温泉があああ~~。


 どこぞの殺人現場のように~~。


 さて其処の貴方。


 クリスの裸は何時も見てるだろう。


見慣れてるのに何で鼻血を何時も出すんだと思いでしょう。

 

 好きな女の子の裸は特別なんですよ。

 

 何度見ても飽きません。


 というか童貞を拗らせた者を甘く見ないで下さい。

 

しかも僕を直にマリさんが抱っこしてるし。


 直はキツイです。


 直は。


 やわらかいのです。


 はううううううううううっ!


 更には視界の隅には入浴しているシスターやサキ姉さんが居るし~~。

 

 これで無事なはずが無い。


 うん。



 桃源郷ですね。


 はふ。


 桃源郷が僕を殺しに掛かってるんですが……。

 

 これは幸せと言って良いんだろうな……。


 鼻血が止まらん。


「大丈夫がなっ! カイル」

「大丈夫か~~なシスター的に心配してみたけど」

「腐……大丈夫よ男としてこれ以上の死に場所は無い」


 クリス~~。


 君の所為なんだが……。


 分かってるの?


 後は外野が煩い。


 こうして僕は気を失った。


 後には猟奇的殺人事件のような現場を残して。


 なんだかな~~。


 ガクッ。



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