第七話 服
休みが取れず残業が多くて遅くなりました。
深くお詫びします。
年末ですので遅くなりますが何とか書いていきます。
すみません。
少しばかり寄り道が多い僕。
だが目的の為に努力は惜しまない主義だ。
目的はこの世界を楽しむこと。
次に沢山の嫁を貰うこと
嫁を養うなら今の所、金銭の面では問題ない。
まだ商売のネタはあるし。
後は強さ。
此ればっかりは時間が掛かる。
その為に毎日すべき基本の鍛錬の方法をクリスに聞いた。
「そうだがな……今から教えることを短時間で出来るようにしてからやな」
クルスは鍛錬で流した汗を拭きつつ教えてくれた。
「というか何で目を逸らしながら聞いとるがな」
「気にしないで下さい」
「いや気になるがな」
「い・い・からっ!」
「……おおうがな」
不味いですね。
クリスは年頃なのに人目を気にしなさすぎです。
目のやり場に困りつつ強めに言う僕。
今まで気にならなかったけど服を新調しないと駄目だな。
通気性がよく汗で透けないようにしないと……。
血迷った男が襲わないとも限らないし……。
間違いなく返り討ちにするだろうが過剰防衛になったら不味い。
汗で透けてる服に赤面して僕は考え込んだ。
夏物は透けるからな…。
一人だけ製作するのはあれだし全員の分を作らないと……。
次の商品は女性用の下着と服を作るか……。
などと新しい商売のネタを考えていた。
◇
十日後の孤児院の食堂。
「と言うわけで服と下着を作りました」
目の下に出来た隈を気にしつつその場で宣言する。
ああ……徹夜が続いてきつかった。
皆は食堂で各々暇つぶしをしていた。
というか何でかキキやキルがテーブルに突っ伏して寝ていた。
何でこの二人は居るんだろうか?
まあいいか二人にも用があったし。
「はいなの?」
サラ姉さんは愛用のミスリルの槍を布で磨きながら首を傾げる。
「腐っ?」
サキ姉さんは新しい書物を読む手を止め眼鏡に指を掛ける。
あれは確かこの間、苦労して法王国から盗んだ錬金術の本だ。
内容はアダマンダイトにミスリル、オリハルコンとヒヒイロガネの精製法と加工法が書いてあるんだっけ……。
暗号化されてるから解読してるのか…。
本当は盗まなくても【世界の英知】に書いてあるんだが……。
後でそれとなく教えよう。
「何ががな?」
クリスは二本のアダマンダイト製の剣の鞘の汚れを拭く手を止める。
「カイル。何を言ってるの?」
シスターは家計簿を書いていた。
……後で計算間違いが無いか見とくか……。
「眠いの~」
「ねむねむ」
キキとキルは欠伸をしていた。
この場に居る全員が今日の用事を済ませゆったりとしていた。
昼飯も食べた。
そんなゆったりした時間。
ただし全員だらしない服装だが。
全員首に濡らしたタオルを掛け下着はかぼちゃパンツに胸はタオルや布を巻いただけ。
全員が魔術で作った氷水を入れた桶に足を突っ込んでいた。
……百年の恋も冷める光景である。
はて?
そんな季節なので暑くなり始めてはいたけど……。
食堂は風通しも良くそれなりに涼しいはずなんだが……。
全員、暑さに弱すぎない?
あ……。
【環境適応】と言う【遺失魔術】を使用している僕だけが涼しいのか……。
忘れてた。
【遺失魔術】
……ゲームの設定では最も魔術が発達していた時代。
【古代魔術王国】時代の失われた魔術である。
……と書かれていたな。
確か…外伝Ⅰの世界で始めて登場する魔術だったけ?
まあいいや。
それはそうと全員女を捨ててないですか?
……前世の実母が風呂上りを思い出す。
部屋に全裸で下着を取りに行ってたな……。
かと言って【遺失魔術】を教えるのは問題あるしなあ……。
確か外伝Ⅰの時代は今から百年後の世界の話だし……。
確か大魔道師エイボンが幾つか復活させたんだっけ?
下手に教えたらタイムパラドックスを起して……。
あれ?
やばいっ!
瓶詰めとか料理のレシピとか木炭とか教えたら不味いのでは!?
あっ……駄目神から貰った特典の【世界の英知】に書いてある。
木炭とか料理のレシピは教えても構わないと。
心配して損した。
気を取り直して……。
コホン。
僕は咳を一つする。
「最近我が家の風紀は乱れてます」
「なに言ってるがな」
クリスは作業を再開する。
「あのカイル? 後にしてくれない? 家計簿の計算を間違うから」
質の悪い紙で作った家計簿にペンで計算を書き込むシスター。
「駄目駄目シスター、どうせ計算間違いだから時間の無駄」
「ひどっ!」
「腐っ……さて解読の続きと行きますか」
「「寝よう」」
「スルーしないっ!」
僕は地団駄を踏む。
「貴方達は異性に対して恥じらいを持ってくださいっ!」
「「「「「「異性? どこに?」」」」」」
全員で辺りを見回す。
……この人達は……。
「僕ですっ!」
「暑さで頭をやられたがな」
「腐っ違う……最近徹夜しててボケてるのよ」
「あらあら大変ね」
ひょいと、僕の服を摘みをネコ掴みするシスター。
「なあ!?」
「おやすみ」
シスターは僕を抱っこする。
ひいいいいいいっ!
頭の後ろが柔らかくて良い香りがするっ!。
頭を撫でないでっ!
眠気が……。
スウウウウウウウッ。(睡眠中)
※暫くお待ちください。
一時間後。
「違うっ!」
「あら?」
シスターの布団から起きた僕は叫んでいた。
……名残惜しいが。
「あ……起きた」
「シスター、カイルを抱いてて暑くないの?」
「ううん。ヒンヤリと冷たくて気持ち良かったよ」
「そうなの?」
手をワキワキさせ近づいてくるサラから離れる僕。
「な~に?」
「なのなの」
「腐腐……良い錬金術書ね」
「煩いがな」
シスターとサキ姉さん以外が相変わらずのスルーである。
「いい加減にして下さいっ!」
「「「「「「はあ……」」」」」」
面倒くさそうに全員ため息をつく。
「でっ? 何が言いたいがな」
「淑女が家の中とはいえ、そんなはしたない格好をするなと言ってるんですっ!」
「腐っ……暑いし」
「だからこそ、この下着と服です」
と言いつつ僕は各人に下着とワンピースを配る。
服は染める時間が勿体無かったので原色のままだ。
だが下着はそれぞれキチンとしてる。
シスターは黒い色の下着。
胸の型崩れしないようにしたワイヤー入り。
キキやキルにサラとサキ。
それぞれ胸の辺りがタオル状の下着。
クリス。
サイズを寄せて上げる白い下着です。
下は普通ですが……。
それらをドヤ顔で各人に配りました。
種類?
分かりませんよ。
僕は男なんだし。
ただし自信作です。
サイズもぴったりの筈です。
何しろ毎日公衆浴場で中身を見てますから。
無理矢理見せられてですけど……。
仕方ないでしょうっ!
首根っこを掴まれて女湯に入れられるんですから。
男湯に一人で入浴すると言ってるのに……。
「「「「「これを着ろと?」」」」」
「腐?」
サキ姉さん以外の全員から嫌そうな顔で見られた。
サキ姉さんは下着と服を見て硬直していた。
「はい」
僕は頷いた。
「暑そうなの~」
「うんうん」
「着るのめんどいがな」
「流石にねえ…シスターとしては……」
「……なんちゃってシスターなのに……はあ……」
「サラちゃん酷いっ!」
「腐……」
サキ姉さんを除く全員から不満をぶちまけられました。
「着て下さいっ! 特にシスターッ!」
「私?」
「はい着ないと……」
「着ないとなに? 暑そうだし嫌なんだけど……」
「垂れます」
その瞬間空気が止まった。
あえて何がとは言わない。
だが通じてるみたいだ。
「なああああああああああああっ!」
シスター顔を真っ赤にし怒鳴ろうとするが……。
「情報源は近所のおばさんの経験談です。因みに形も崩れます」
その言葉にシスター顔を青ざめる。
「そこで此れです。着けるだけで形は保たれ垂れません」
「おおおおおおおおっ!」
満面の笑みを浮かべるシスター。
僕は次にクリスを見る。
「クリス大きくする為に夜中に自分で揉んでるのは良いのですが……」
「何がなっ! 見てたのかっ!」
顔を真っ赤にして叫ぶクリス。
「あのやり方では形が崩れ垂れるだけです」
「なあああああああっ!」
その場に崩れ落ちる。
「そこで此れです。着けるだけでサイズが大きくなるように見せられます」
「おおおおおおおおおっ!」
「サキ姉さんも着替えて……」
「ショタが作った服うううううううっ!」
ブシュッ!
鼻血を出すサキ姉さん。
あ……うん。
サキ姉さん鼻息を荒くするのは止めてね。
ドン引きするから。
「むむむっ? 私達三人だけ同じものなの」
「そうなの~」
「うんうん」
サラとキキやキルが頬を膨らませる。
その言葉に僕は目を逸らす。
仕方ないんだ。
四人にはそれが似合うと思ったし。
あと動物のアップリケとか。
しかし。
良いな……。
下着。
「皆着替えるぞっ!」
「「「「「おおおおおおおっ!」」」」」
目の前で着替えるなっ!
やあああああああああっ!
こうして急ぎで作った下着と服は孤児院のメンバーに好評だった。
シスターが近所人達に見せた所さらに大好評。
そこで村の手の空いてる者を募り製造し売り捌いた結果……。
更に儲けました。
唯…問題が浮上してきた……。
コピー商品である。
暫くしてから質の悪い物が世間で出回っているのである。
まあ特許なんか無いので仕方ないけどさあ……。
瓶詰めの偽者は耐熱硝子の質が悪ければ直ぐに分かる。
木炭は作り方を知らないと出来ないし。
問題は下着だ。
下着は両方とも手作りです。
なので良く見ないと分からないのだ。
偽者は質の悪い布を使い糸も少なく色は落ちやすい。
なので直ぐに駄目になる。
最悪なのは素人にはどちらが本物か分からないのだ。
信頼のおける商人に聞いて元凶が分かった。
法王国だ。
国ぐるみで偽者を作り商人に売り捌いていた。
切れた。
本当に切れた。
そこで信頼の出来る商人を巻き込み、資金を出させ小さな工場を建てた。
ククル村に。
未だに仕事にありつけない人間を勧誘しそこで働かせた。
材料の布を一から作らせ、魔石で動くミシンを開発。
そして様々な機械をサキ姉さんと共に作り上げた。
綺麗で丈夫で長持ち。 しかも機能的な下着を大量生産した。
それだけでは飽き足らず男性用の下着も作った。
法王国より安く大量に作り売り捌いた。
この時点で終らせるつもりだった。
理由はこの分野の職人の仕事を奪いつつ有る事に気付いたからだ。
そんな矢先に工場が放火された。
「えっ……放火?」
その事をシスターから聞いたのは帰らずの森の小川辺りだ。
昼近くまでキキとキル、サキ姉さんにサラやクリスらと一緒に鍛錬をしていた時の事だ。
「そうなの……幸い従業員は無事だったけど」
「それは良かったけど」
「でね……言いにくいんだけど……」
「商品は?」
「……」
「そうですか…」
幸い死傷者は出なかった。
犯人は法王国の工作員に買収された商人の護衛の一人だった。
商人は僕に土下座して謝ると護衛を紹介したギルドに抗議した。
結果その護衛はギルドから信用を傷付けたとして永久追放処分。
更には鉱山で損失分を働いて返すよう処分を決定された。
まあ……それはいい。
だが法王国のやり方は限度を超えてる。
完全に切れた。
そしてこうなると最早自分を抑えられず僕は暴走した。
王都と帝都に伝手のあるシスターや商人にに協力を頼みこんだ。
協力の内容は王都と帝都に資金を出してもらい二つの都市に工場を作る事。
こうすれば法王国といえど下手な事を出来ないと考えたからだ。
更には両国の仕事の無い人間の雇用対策になる。
◇
数日後の王都に建てられた工場の前。
僕は手製のメガホンを片手に王都で雇用した従業員の前に立っていた。
万が一の事を考えて仮面を付けている。
……顔が売れすぎて暗殺だけは勘弁して欲しいし。
ザワザワ。
新しい仕事に飛びついた元スラムの住人や難民は僕の姿に戸惑う。
「皆様。本日はお集まり頂き、誠に有難うございます」
僕は頭を下げた。
「何で子供が?」
「いや小人族だろ?」
「俺はこの工場を建てた立役者が演説すると聞いたが」
「私も……確か【ククル村の神童】が此処にきたと聞いたんですけど……」
「俺は数々の発明品を売りさばいた【ククル村の悪魔】と聞いたんだが……」
「なんだそれ?」
「わたしも聞いた事ある。ただ伝わってる風貌は、黒髪に黒い瞳黄色い肌の幼児、もしくは亜人だと聞いたけど」
「あれ? じゃあそれなら、あの子供が本物の……」
信じられないという表情をする集められた人々。
「僕は最初は家族の為に服を作りました」
僕の言葉に首を傾げる。
「次に村の皆の為に……いえ彼らの生活の為に工場を建てそこで服を作って貰いました」
少し間を空ける。
何を言ってるのかと耳を傾ける従業員達。
「ですが彼ら法王国の人間は僕達の工場を焼き払らって妨害し、あまつさえ自分達の作った出来の悪い粗悪品を売りさばいたのです」
だからどうしたと理解不能だと言わんばかりに戸惑う人々。
「彼らの動機は薄汚れた魔族達が人間様の真似事をしていたからだと言うのが原因です」
雑音が止まる。
「犠牲になった者の中には人間が居たにも関わらずこの暴言です。納得できますか? はいそこのあなた」
死亡ではなく犠牲。
わざと意図的に言った。
「私? いや納得できないわ」
「そうでしょう。彼ら法王国は自国民以外は家畜としか思っていない」
「いやそれは何でも……」
「はいっ! そこのあなた、では法王国に行った事はありますか?」
「いや無いけど」
「あそこでは亜人は薄汚いと罵られ、偶々通りすがった旅人まで捕まえ奴隷にしてます。知ってますか?」
「えっ……」
「俺は聞いた事がある……確かあそこの国ではそういった奴隷は合法なんだと」
「そうなの?」
「ああ」
その言葉に何人かが唖然とする。
此れは本当。
なにしろ僕は体験者だからだ。
サキ姉さんに頼まれた時の事だ。
一緒に錬金術の書物を盗みに【転移】の魔術で法王国に行った時の事だ。
盗むのは成功した。
だがその結果は……。
命からがら逃げ出す羽目になった。
二人で危うく奴隷に成りかけた。
サキ姉さんだけなら何とかなったろう。
だが僕という足手まといを連れてでは厳しかったみたいだ。
サキ姉さん……。
わざとピンチになったのでは無いよね。
流石にそこまでしないだろう。
多分。
あの時、視界の隅に姉さんの笑みは映ってないよ。
気のせいさ。(現実逃避)
僕に恩を売って色々したいというのは無いだろう。
……うん気のせいさ。
「本当だぜ。俺も奴隷にされそうになったし」
「嘘だろう? 本当か?」
「いいや私のイトコも被害にあったよ」
また騒がしくなりました。
ゴホン。
「静粛に」
そこで僕は咳をして此方に注目するように言葉を掛けた。
「汝らはこの横暴を許すのか?」
「私は嫌だ」
「ああ」
「俺も」
「汝らは法王国の悪辣なやり方を許すのかっ!」
「「嫌だっ!」」
「汝らはあんな国を許すのかっ!」
「「「否」」」
「汝らは奴らに屈して奴隷の道を選ぶのかっ!」
「「「「「「「否」」」」」」」」
「戦えっ! 戦争は力だけでやる物ではないと奴らに思い知らせてやるんだっ!」
「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおっ!」」」」」」」」」
こうして後の世に【法王国の悪夢】と呼ばれる力に頼らない戦争が始まった。
此れが原因で法王国の人間は経済的に追い詰められる事になる。
それが切っ掛けでその思想を改めさせられるが割愛します。
……因みに帝都でも同じ事をやりました。
こうして大量に様々な衣服を作った。
服だけで無く防具なんかも作った。
水着も作った。
法王国の元々の特産品より質の良い物を作り売りさばいた。
思いつく限りの様々な物をを大量に安く作り他の国に売りさばいた結果……。
二ヵ月後……。
法王国の商品は全く売れなくなりました。
当然である。
今まで横暴に振る舞っても他国が法王国に下手にでていたのは理由がある。
法王国でしか作れない特殊な武器があるからだ。
ミスリル、オリハルコン、ヒヒイロカネ、アダマンダイト等の魔術金属。
此れらを精製し加工した高価で高性能を誇る「魔術剣」。
それらを製造できるのは法王国だけだったからだ。
悪魔族を含め魔術や剣では対応出来ない魔物に対抗出来る武器。
「魔術剣」を作れるのは。
だからこそ法王国の暴挙は黙認されてきた。
「魔術剣」を購入するために。
多くの国民の怨嗟の声と金品を対価に。
だけどそれはもう終わりだ。
僕とサラが法王国から盗んだ錬金術の本を解読しこれ等のが精製や鍛造方法が分かったからだ。
その知識を元に改良し量産製造しやすくしたたのが「量産型魔術剣」だ。
「量産魔術剣」は二種類。
鋳造した鉄にに魔術金属を混入若しくは鍍金を施した安価で大量に製造しやすくした物。
「量産型魔術剣数打ち」。
高価で高性能の鋼に複数の魔術金属を混入して鍛造した物。
「量産型魔術剣鍛造剣」。
この二種類だ。
まあ~~いちいち区別するのも面倒なので名称は「量産型魔術剣」で良いだろう。】
それらを無償で王都と帝都に教えた結果です。
当然です。
なおこの所為で商人のジョブは十五レベルになりました。
……全然関係ない話だった。
気にしないで下さい。
◇
更に数日後。
「なにか言う事ないがな?」
「反省はしますが後悔は無いです」
いつも鍛錬を行う帰らずの森の小川でクリスに正座をさせられていた。
視線を逸らすと川の上流では小魚が跳ねていた。
あっ……山鳥が魚を捕獲した。
などと僕は現実逃避していた。
ああ……足の下の小石が痛い。
「職人さんの仕事を奪って言う事はそれだけかっ!」
「いあっだだっだだだっ! 大丈夫です仕事を失った人は工場で雇いましたしっ!」
「口答えするなっ!」
「いやでもっ!そうでない方は新しい裁縫技術と仕事を割り振りましたし大丈夫かとっ!」
「そおいう問題ではないがなっ! 自重しろっ!」
「ぎやああああああああああっ!」
メキメキッ!
そんな音がするほどクリスのアイアンクローは凄かった。
ガクッ。(気絶)
◇
数日後。
その日もクリスから聞いた鍛錬を開始した。
具体的な方法を言えば最初は朝昼晩に10キロのジョギング。
慣れてきたら道なき道を走るようにした。
但し帰らずの森をそのまま進めば間違いなく遭難する。
その対策として第一級魔術【ナビ】を使用する事は当たり前である。
【ナビ】はダンジョン対策として作られた魔術だ。
基点としたマーカーを設置しそこからの方角と距離を教えてくれる代物だ。
マッピングと併用すれば現在地が分かる。
なお余談だがククル村ではその現在地を他国に知られないようにしてる。
具体的に言えば持ち込まれる物や生物にマーカーが付いてないか調べる。
万が一付いてたら打ち消している。
話しが逸れた。
次に帰ってきたらスクワット百回を朝昼晩三セット。
更にそのまま腕立て伏せを同じ回数やる。
最後に腹筋も同様に行う。
これらは最初は五時間掛かった。
最初は疲れで倒れました。
本当に……。
慣れてくると二時間内に出来るようになったが…。
「お先になの」
「がんばれがな」
「腐っがんばれ」
「いそぐの~」
「がんばがんば」
などと言いつつ先を行くキキにキルやサキとサラ達と応援するクリス。
……同じ鍛錬をしてるのに……。
僕より速いくせに息切れしてねええええええっ!。
唖然としつつも僕は黙々と鍛錬を続けた。
あっ……。
皆は新しく作った体操服とブルマーを着用してます。
眼福です。
但し僕は体操服にスパッツだが。
「はあ、はあ、ショタの太ももおおおおっ。ハフッ……」
……サキ姉さん目を輝かせないで。
怖いんだが…。
それから僕はクリスから習った特殊な歩行法を練習する。
イメージとしては中国拳法の歩き方に近い。
それを最初にやる。
次に地面に突き立てられた杭の上を素早く歩くようにする。
木の枝に吊るされた複数の木剣を相手に模擬戦。
更には投げられた石を槍で正確に突く練習。
疲れたら無理せず休憩。
汗を拭きつつ離れてる五人の方を見た。
「あはははっはははっなの~!」
「えいえいっ!」
「【業火】起動なのっ!」
「甘いの食らえっ!」
「だはははははっはがなっ!」
他の五人はと言うと魔術有りの模擬戦をしていた。
それはもう楽しそうに。
というか全員の動きが見えないんだが……。
残像が辛うじて見えるぐらいなんだが……。
魔術なんか僕が喰らえば死ぬような物をあっさりと手で弾いてるし……。
「気にしたら負けかな……」
僕とどんだけレベル差が有るんだろう……。
呆然としつつもその日も黙々と鍛錬を続けた。
こうした訓練に慣れつつ戦士と盗賊に弓兵、兵士や槍兵のジョブを二レベルに上げた。
ついでに魔術師と僧侶、幻術師をレベル七にした。
最初は後衛のレベルは当分上げる気は無かった。
後衛のジョブのレベルを上げる効率的な方法が嫌だったからだ。
その方法は高レベルのジョブを持つサキ姉さんに教えてもらう事。
だがサキ姉さんの最近のセクハラが酷いので逃げていたのだ。
だけど寂しそうに蹲ってるサキ姉さんを見たらね……。
つい……。
『カイル……習いに来ないね……腐腐っ嫌われたかな』
と呟いてるように思えたんだ。
だから教えてもらう事にした。
将来の嫁の一人だしね。
少しは信用しないと。
そんな罪悪感に駆られました。
……ええ。
……気のせいだった。
サキ姉さんは蹲ってる間は実際はこう呟いていた。
「はあはあっ! ショタの汗ばむ姿、くううううううううっ! 堪らないっ!」
後で人に聞いたら、僕が鍛錬中はこんな事を一人呟き蹲りながら悶えてたらしい。
「今日は離さないっ! さぁ お姉ちゃんと良い事をお勉強しょうねっ!」
後衛のジョブの教えてもらいに行った時は捕獲……。
いや拘束されスリスリされた。
ブレねえなこの人……。
というか罪悪感覚えてたのに……。
ふっ……関係なかった。
はう……。(遠い目)
こうして僕は魔術師と僧侶と幻術師のレベルを七レベルまで上げる羽目になりました。
うん……どうやってサキ姉さんの拘束から逃れよう……。
というかクリスの目が怖いんだが。
相変わらずのシスコンだな……。
「はふ」
サラッ!
欠伸してないで助けてくださいっ!
いやガチで。
「きやははなの~っ!」
「なのなのっ!」
キルとキキなに遊んでるの?
助けて下さい皆さん。
……サキ姉さんてば年の割りにに発育が良いんですよね。
下着を着けてても柔らかい感触を背中に感じて色々やばいんですが……。
「おおっとっ! 手が滑ったっ!」
「はう?」
クリスから木剣が僕に飛んでくる。
というか嘘付けええええええええっ!
ガスッ!
「きゅう……」
泣いてもいいですか?
シクシク。(泣く)
評価をお願いします。
できればポイントと感想をお願いします。
今回も書ききれたのは前の二つのお陰です。
お願いします。




