第七十五話 虚偽の情報
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まずは最初に新月から受け取った報告書の内容だ。
この貴族は国家に対しに忠誠心篤い人物で知られている。
しかも清廉潔白な人物としても有名だった。
しかし次に受け取った報告内容ではこうなっている。
この人物は国士かつ清貧である事で有名だが、その裏で足のつかない流民や旅行者を捕らえ、自領の鉱山に強制連行し暴利を貪っている。
しかも見目麗しい女性は鉱山ではなく年齢を問わず自ら弄び、壊れた後には部下達に与えられている。
その他にも帳簿外の人頭税の水増しなども酷い。
最初は新月達が隠密系のスキルを使っていない報告内容。
次は隠密系のスキルを使った状態での報告内容。
そして最後は僕が再調査をさせた報告内容。
つまり最新版だ。
その貴族は先代の剣王に対して忠誠心に篤い人物であった事は同じ。
清廉潔白な人柄である事も同じ。
但し後半の内容が極めて違った。
今は現剣王に対して批判的らしい。
その為剣王には疎まれている。
また他の貴族にも酷く煙たがれているようだ。
その為、今回のような濡れ衣を着せられたみたいだ。
つまり全て調査内容が食い違っている。
此の違いが認識阻害のスキルを調査に使わせた事により得られた成果だ。
得られた真実は、剣王と貴族達はこの貴族を煙たがってる。
だけど様々な理由で直接排除出来ない。
そこを此の国の事をあまり知らない僕達に何とかさせようとしているみたいだ。
僕が差配した新月達に偽の情報を掴ませようとしたのがそう。
新月達が感じていた違和感。
あれは多分この国の密偵が虚偽情報を与えてる時に感知したものだろう。
無能を装い実は恐ろしく腕がいい。
この国直属の密偵達は。
僕が新月達に【陽炎】のジョブを与えてなければ踊らされ続けていただろう。
だけど何故だ?
それなら何故僕を巻き込む形で頼んできたんだろう?
わざわざ偽情報を掴ませる意味が分からない。
何らかの弱みを此方に握らせる為に?
う~~ん。
分からん。
僕はこの疑問に頭を捻る。
「あああああああっ! くそっ!」
「どうしました? 頭領」
「気にしないでくれ」
「はあ……」
まあ良い。
僕は仕事をするだけだ。
後で調べれば良いだろう。
「それで本当の不正を働いていた貴族達のリストは?」
「この通りです」
僕は新月から書類を受け取り目を通す。
「法王国の違法奴隷狩りに見せかけてですか……後で写しを取って剣王様に渡しとくか」
ふん。
気に入らないね。
それなりに表面を取り繕うのが上手い。
無能だけなら兎も角、悪知恵まで働く。
この貴族達は……。
しかも自分達の罪を隠蔽ではなく他の貴族に擦り付けている。
頭にくる。
人を何だと思ってる。
そう思う僕であった。
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