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第五十二話。 青空食堂

二話目です

「さてと」


 僕はその後、【長距離転移】で豚王子をアガスまで転移させました。

 無論、あの亀甲縛りを解かずに。

 犯罪者ですしね。

 仕方ないよね。(笑い)

 決して僕に貴重な時間を割かせた事を怒っているからではありませんからね。(大嘘)

 そして僕は再びククル商会の宿に戻りそのまま外を散策する事にした。

 別に深い意味は無い。

 ただ何となくだ。


「どうしようかな~とっくに皆は何処かで買い食いか観光中だろうしな」


 因みに僕は仮面は被ったままです。

 子供ではなく怪しい小人族とでも思ってくれれば、下手な誘拐に巻き込まれないかもしれないし。

 仮面でも被らないと人間族の子供そのものだからね。

 見た目だけだけど。

 ……前回は大変だったなあ。(しみじみ)

 何故か見計らったようにサキ姉さんが絡まれてるんだもん。

 そのうち十回に一回は浚われてるし。

 ……わざとじゃないよね。(冷や汗)


 ク~~~。


「そう言えば御飯も食わずに宿を出たっけ」

 

 今更宿に御飯を食べに戻るのもなんだしなあ~。

 僕は周囲を見回す。

 ついでに近くで何か食い物でも売ってないか周囲の匂いを嗅ぐ。


 するとタレの焦げる良い臭いがしてきた。


 見つけた。


 ここから真っ直ぐ二百メートル程進んだ先。

 幾つか屋台が出てあるな。


 それだけじゃない。

 あれは木の杭に防水の広い布を天井に張った簡易テントかな?

 机は木の箱。

 椅子は丸太の輪切り。

 調理場は……と?

 竈を石を積み上げて作ってるな。

 おおっ!

 旨そうな匂いはあそこからか。

 何かの煮物か。

 その隣では木の箱の上にまな板を敷いている。

 野菜と肉を切ってるね。


 なるほどこれは青空食堂か。


 というか人が多いっ!

 なに此れはっ!

 人の波というか海だね。

 これ何で此処に皆集まって食べてんだ?


 あ――。

 そうか食堂に入れず仕方なく此処で食べてんだ。

 宿屋が足りないという事は、常設の食堂も少ない事を意味するからね。

 てことは作ってる人は一般人かな。

 だから簡単な料理が多いのか。

 この時期を狙った臨時収入目当てだな。

 商魂たくましいなあ~~。

 此処の人達は。


「すみません。通して下さい~」

「おい、何だよ」

「おおっと」

「はぐはぐ」

「ずるずる、ごくん」

「雑穀粥うめ~」

「ふ~ふ~」

「熱いっ! 気をつけろっ!」

 

 人の波を掻き分け、僕は良い匂いのした目的の屋台に到着。

 う~~ん。

 肉と野菜を串で刺して焼いた物か。

 塩味と何かのタレで焼いた物かな?

 此方の世界では薪を使って焼いてるのか。


「おいちゃんっ! これ何の肉?」

「おっと、坊主が仮面を被っているだけか? ああ~~すまんな旦那。こいつはミノタウルスとオークの肉だ」


 仮面を付けた僕に驚くの三十代の人間族の男。

 だが変な色眼鏡で僕を見ずに、商売人の顔で僕の質問に答える。

 

 えらいっ!


 あんたは商売人の鑑だ。

 アホな事を考える僕。


「一本幾ら?」

「銅貨一枚ですぜ」

「それでは腿の塩焼きに肝のタレ焼きをそれぞれ合わせて十本お願い」

「あいよっ!」


 合計十本を広くて瑞々しい葉っぱに包んでくれる。

 僕は代金と引き換えにそれを貰う。


「まいどっ!」


 腿の塩焼きを口に入れる。


「はふ、はふ、熱いね」


 肉の脂と塩の味が口の中で広がる。

 不味くはない。

 だけど炭ではなく薪で焼いてるので火加減の通りが悪い。

 しかも薪が生乾きなのか、余計な木の香りが抜けず肉と喧嘩している。

 燻製にするなら兎も角。

 

 焼いて即出す。これではね――……。

 いまいちですね。

 唸る僕。


 他の客の反応を見てみる。

 旨そうに食べている。

 此れがここでは当たり前の味なんだろう。


 それを見越して薄利多売でも儲かるように工夫しているんだろうが。

 う~~ん。

 その姿勢は良し。

 だが野営なら仕方ないが安くても此れではねえ。

 素材の味を出し切れてないな。


「おっちやん……炭は使わないのかい?」

「炭ですかい? 旦那?」


 串焼きを焼きながら僕の質問に答える屋台の主。


「うん」

「炭は買わなくちゃならんが、薪なら拾えばタダですぜ。旦那」


 それは分かるんだけどね~~。


「だけど薪を使って焼いているから、火の通りで素材の良さが半減しているよ?」

「確かに分かってはいるんですがね。炭を使えば串焼きの値段を高くしなけりゃいけないんですぜ」


 何だ分かってるのか。

 薄利多売だけを考えてるなら確かにそうなるだろうね。


「炭を自分で作れば? 」

「ですが炭は作るまでの時間が掛かるし失敗もしやすいですぜ?」


 あれ?

 この人ひょっとして一種類しか炭の焼き方知らないのかな?


「だったら簡単な方法を教えてあげるよ」

「良いんですかい旦那? 俺っちにタダで教えても……というか……何で作り方知っんですかい?」


 僕の言葉に目を丸くする屋台の主。


「勿論だとも。旨い物の為だ。僕の損得は今は良いよ」

「有難うございます旦那あああああっ! あ――……此れはサービスです」


 そう言って僕に胸肉の串を五本渡す。

 その代わりに僕は主人に炭の簡単な作り方を教える。


「「「……」」」


 どうでも良いけど他の屋台の人達?

 聞き耳たてるのは良いけど手元を見て。

 というかそこから聞こえるの?


「指切ったああああああっ!」

「熱いいいいいいっ!」

「スープがあああああっ!」

「ひいいいいいっ!」


 何か連鎖的に怪我人が増えてるんだが?

 僕の所為では無いよね?(冷や汗)

 多分。

 後で彼等にも簡単な炭の作り方を教えてやろう。

 でないと恨まれそうだ。





朝は此れだけです

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