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第三十九話 評価。

五話目です

「人形遣いのジョブ……恐ろしいわねぇ」

「あらあら、だけどそれより恐ろしいのはカイル君よ」


 その言葉に、セリスの奥に位置し座っているマリさんを僕は見る。

 思わぬ出てきた僕の名前に眉をひそめるセリス。

 多分だが……。

 そんな雰囲気を感じる。

 だってセリスの顔がマリさんの方を向いたし。

 なんか、いた堪れなくなり床を見つめる僕。

 ここは大人しく焼き菓子でも食べるか。


「どういう事?」

「サキさんから聞いたけど、ククル村で帝都に来るように手紙を貰った時から、カイル君は色々考えて予測を立てていた見たいなの」

「それで?」


 セリスは首を傾げ、マリさんに話の続きを促す。


「カイル君がココロ村で潜伏してる賊に気が付いたのは凄くない?」

「それはそうだけど……」


 首を軽く縦に振るセリス。

 

「最後には僅か三人で王宮に潜入し、黒幕を確保。凄いよね」

「確かにそう言われてみれば……」


 マリさんが僕を絶賛する内容に納得するセリス。


「特に凄いのは王宮で人形遣いに抵抗した辺りかな」

「どうして?」

「あれは例えば王族クラスのレベルでも抵抗が難しいらしいの」

「へ~~」


 首を横に振り考え込むセリス。


「黒幕は例え自身に近づかれても、一人位なら瞬時に洗脳し、逆に壁として使う自信があった」


 マリさんはセリスに指差す。


「それ程危ない奴だったの?」

「ええ。にもかかわらず強襲は成功したの」

「という事はカイルは僅か四歳で、王族クラスを凌ぐ実力を持つと言う事?」

「そうね。その解釈で間違いないわ」


 ……なんか僕の実力の過大評価が凄すぎるんだけどおおおおおおっ!


「納得なの。確かにカイルなら相手の策なんか簡単に見破って当然なの」


 いや……あのサラさん?

 サラの思わぬ高評価に戸惑う僕。


「確かに洗脳されていたとは言え、王族クラスのキキを簡単に倒したのだから、カイルはそれを超える実力ね」


 感心するシスター。

 あの~シスターまで僕を持ち上げるんですか?


「うん。あの豚王子の術を破るスキルの一つや二つは、カイルなら当然あるわね」

 

 やめてっ!

 やめてよシスター。

 必要以上に僕を持ち上げるのはやめて。

 僕の実力を必要以上に持ち上げるのはやめて。

 ククル村に帰った後の訓練で、鍛錬のハードルが物凄く上げられて困るんですけどっ!

 確実に死ねますっ!

 僕は貴方達みたいな凄いチート能力なんか持っていないんですっ!

 

 僕の場合は、ひとえに駄目神から貰った特典【童貞を保ち続ける事で無病息災になる(笑)】のお陰で無病息災なだけですってっ!

 そんな便利で強いスキルでは無いよっ!

 

 しかも今回の動機はただ、王宮に忍び込みたかっただけですって!

 そうだっ!

 今からでも遅くない。

 正直に話せば皆分かってくれる!


 ……あ。

 ……あれ?

 い……。

 いや待て。

此処で皆の評価を否定して本当の事を僕が暴露したらどうなる?

 駄目神からの転生の特典なんか特に話せ無いぞ。

 後先考えず、なんも考えず王宮に忍び込みました。

 と言うしかないのか……。

 まて。

 そう言った場合どうなる?

 

 ……。(想像中)

 ……阿鼻叫喚の地獄絵図を想像。


 ひいいいいいいいいいいっ!


 クリスに折檻される未来図しか思い浮かばないよっ!


 ガクガクブルブル。


 やはり黙ってよう。(目を逸らす)


「会長がそこまで考えていたとは、流石と言うしかないでっしゃろ」


 満面の笑みを浮かべて僕を褒め称えるシャル。


「まあね」


 ダラダラ。


 その言葉に相槌を打ちながらも冷や汗を掻く僕。


「流石は【ククル村の神童】ね」

「流石なの。カイルは私達の誇りなの」


 シスターとサラの絶賛に僕の汗が酷く流れる。

 や~~め~~て。

 汗で下着が濡れてるんですがあああああっ!

 

「凄い~~」

「流石、ご主人様」

「Z~~Z~~Z~~」

「やり~~」

「よっ! 流石は私達の将来の旦那様」


 アカ、クレナイ、ルージュ、シンク。エンが僕を称える。

 痛いっ!

 痛すぎるっ!

 五人の尊敬の目が、逆に僕の良心を抉り突き刺さる。

 いやああああああっ!


「腐……流石はこの大賢者サキの一番弟子ね、私も鼻が高いわ」


 いやああああああっ!

 ここで追い打ちの褒め殺しですかっ!

 僕を良心の呵責で殺す気ですか。

 心が痛いいいいいっ!

 


「ふん。唯の偶然じゃないっ!」


 おおっ!

 セリスにしてはナイスツッコミ。

 これなら上がりに上がった僕の評価は再び元に戻り、鍛錬の手加減をしてもらえる。

 

「無理しちゃって。本当はカイルの事認めてるんでしよう?」

「……知らないもん」


 なんで赤くなりながら目を逸らすかなセリス。

 頼む。

 もう少し僕を貶してくれ。

 そして僕の評価を下げてくれ。

 でないと地獄の訓練が始まるんだ!

 

「クリス。本音は?」

「分かってるわ。あいつが物凄い奴だって事は……」


 ここに来てツンデレモードですかっ!

 

 やめてええええええええっ!

 これ以上僕を持ち上げないでええええっ!

 地獄の鍛錬が怖いよおおおおおっ!

 今でもギリギリなのに更にハードルが上がるうううううっ!


 あううううっ。(泣く)

 なんかもう精神的に疲れた。(号泣)

 ふう。

 ふふふ。(現実逃避中)

 次の訓練で僕は死亡確定だな。(気絶)


 泣きたい。



 

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