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第三十話 帝都内 ククル商会 

連続投稿します。

「ここに泊めてくれるの?」 

「ふああああ~」

「生きてて良かった」


 セリスとミリアやシシルは顔を上げ手を組み目を輝かせていた。

 まるで夢見る乙女だ。

 その理由は目の前の立派な建物を見たからだ。

 その建物の名を今や帝都や王都では知らぬ者は居ない。

 あ……ククル村の事も忘れていた。


 この建物の名称は『ククル商会 グルス支店』。


 このグリル支店はここ最近に新築された。

 その為まだ真新らしい。

 合計3棟。

 木造ではなく石を切り出し煉瓦に見立てて建築されている。

 その煉瓦石同士の接着には、この世界のセメントに当たる物に鉛を混ぜて使用している。 

 この建物は唯ひたすら頑丈さだけをを追求した物だ。


 娯楽室は右側の棟に設置してある。

 この娯楽室は大きめの平屋だ。

 表には無料の足湯を設置。

 そこから室内に入ると男女別の公衆浴場がある。

 入浴料は安めに設定しており、食堂は浴場の隣に設置してある。

 イメージとしては、前世の世界の温泉施設を思い浮かべてくれればいいのかな。

 まあここも一応温泉施設だけど。

 簡素すぎるという突っ込みはスルーする。


 それはそうと話は変わるが。

 歩きながら新しい商売のネタとして、湯治の事をどう思うか冒険者の三人に聞いてみた。

 所が僕の予想に反して三人の反応は鈍かった。


『風呂?』

『体の汚れが落ちれば良いんじゃないの?』


 ……との事。

 とんだ文化の違いと言うべきか。


 どうも湯治と言う概念がこの世界には無いみたいだね。

 なので現状、この世界で湯治を商売にするのは無理があるみたいだ。

 何でだろう?

 公衆浴場はそれなりにあるのに湯治という概念が無いとは……。

 まいったなあ——―。


 行き成りココロ村とグルスの特産のネタが一つ頓挫したぞ……。

 まあ、他にも特産として考えてた新料理が一応あるがそれだけでは今ひとつ……。

 ……う~ん。


 まあいい。

 話を元に戻そう。

 娯楽室に本来ならテレビなんかあれば良いんだが当然この世界には無い。

 なので遊具として現実的な物を考えた。

 将棋とかトランプとかオセロやチェス等、色々な物をだ。

 

 一番人気は人生ゲームだ。

 もっともリアル感を求めると、紙幣はこの世界で馴染みがないので少し苦労した。

 なのでお札カードの代わりに鉛で作ったコインを使用した。

 すると此れがバカ受けした。

別の人生を疑似体験し、お金のやり取りがゲームになる。

 此れが受けたのだ。

 しかも此れのお陰で暗算が上達する者が急増した。

 その効果から王侯貴族や軍隊からも発注が殺到した。

 後は学校からも。

 ……どんだけ暗算が出来ない人が居るんだよ。と思ったのは内緒だよ。

 これが最近のククル商会のヒット商品です。

 

 但し此れには大きな欠点がある。

 海賊商品が作りやすいという事だ。

 なのでまず、受注生産ではなく最初から大量生産で倉庫に保管。

 そして一斉に全ての地方のククル商会にお試しセットをお客にプレイさせる。

 そのゲーム性に嵌った客が評判を広めた結果、皆がこの商品を気が狂ったように買い漁ったのだ。

 しかしどんなヒット商品でも勢いは落ちる。

 その期間は僅か二週間。


 その間に倉庫に保管していた全商品を売りつくしました。

 まあ、ゲーム熱が醒めるのを見越して短期決戦前提で作りましたからね。

 ブームが去るのも当然のなりゆきとして計算に入れていました。

 他の商人や法王国の者が海賊版を販売し始めたのはブームがピークを過ぎた頃だ。

 だけどそれはもう殆ど売れません。

 当たり前です。

何故なら皆はもうとっくに人生ゲームに対してある程度醒めているからです。

 とはいえ未だにそこそこの人気商品ではあるが……。


 まあいい。

 実はすでに次の遊具も考えている。

 だが今は難航している。

 その新しい遊具は卓球だ。

 だが先程も言ったとおり試作品の段階で難航している。

 ピンポン玉の代用品が無いからだ。

 根本的な素材の問題だ。

 あのピンポン玉をどうしても再現できない。

 早く卓球台を置ける段階に持っていきたいんだが……。

 今は無理だ。

 ラケットと台は再現出来たんだけどね~~。

 仕方無いので今は卓球台もラケットも倉庫の肥やしになってる。


 将来の構想はともかく、現状はボードゲーム中心の遊具を置いているのが娯楽室である。

 だがあまり儲けは考えてない。

 なので公衆浴場は入浴料を安めに設定してる。

 食堂の利用料金が少し高いぐらいだ。

 遊具の使用は基本無料。

 なので何処も利用者は多い。

 なお、宿泊者の料金はやや高めの設定である。

 一般人や普通の冒険者の懐では少し遠慮したい値段設定にしてある。

 普通なら無理して宿泊しない。

 

 ……なのだが何故か利用者は多い。

 その理由は食事のサービスが良いからだ。

 出される料理はこの世界の基準では物凄く旨い。

 体調の悪い者には無料のポーションもサービスで処方される。

 それでも調子の戻らない人は、高位の僧侶のジョブ所有者による魔術治療のサービス。

 フカフカの最高級のベットで就寝し。

 丁重なモーニングコールでお客は目覚める事が出来る。

 また観光に行きたい方にはツアーも組んでます。

 一人から団体まで対応しています。

 


 物凄く期待した目で見てるよ~~此の三人。

 ……すみません。


「此方ではないですよ」

「「「え?」」」

「貴方達が泊まるのは此方ではないのですよ」

「「「えええええええええええっ!」」」



 そんな悲しそうな顔をしないで下さい。

 凄い罪悪感を覚えるんだが……。


 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 前の章の >セリスとミリアやシシルは顔を上げ手を組み目を輝かせていた。まるで夢見る乙女だ。 と今章の >女子社員寮に入ろうとしていたミリアやシシルとセリスを僕は止めた。 [一言] 上…
[一言] 膠囊
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