第二十九話 帝都内 報復。
此れで三話目。
次はなるべく沢山描きます。
すみません。
僕は一旦視界を遠方に向ける。
温泉の湯気が凄いね。(現実逃避中)
どうしょう……目立ってるよ。
ああくそっ!
周りを見ると通行人達は遠巻きに此方を見ている。
「おっちゃん達っ!」
「おう」
「お……おう~~なんだ坊主」
「衛兵を呼んできて! 後はこの人達を拘束する縄もっ!」
「おぅ……わかった!」
「俺が行ってくる!」
通行人のおっちゃん達を顎で使う僕。
さて……。
僕は視線を路上に倒れてるセリスとミリアやシシルに合わせる。
「お姉さん達。大丈夫?」
僕は三人をなるべく刺激しない様に気を使い声を掛ける。
僕の言葉に呆然としていた三人は我を取り戻す。
「あ~~有難う」
「助かったの」
「二人を助けてくれて有難う」
セリスにミリアとシシルは慌てて僕にお礼を言う。
「いえいえ」
そう言いながらも僕は三人に暴力を振るった男達に近寄る。
そのままの気絶している男の一人の前に立った。
僕は躊躇せず足をふり上げた。
「あのう~~君……何を?」
セリスが恐る恐る僕に尋ねる。
「ふえ?」
僕はセリスの回答代わりに、高々と掲げた足を振り下ろす。
ゴキュッ!
「ぎやあああああああああっ!」
その足を威力を殺さず男の股間へ直撃させた。
その痛みで気絶から目覚める男。
「唯の報復だけど?」
男は股間を押さえピクピクと痙攣を繰り返し再び気絶した。
「「「ひっ!」」」
セリスにミリアとシシルは顔を青ざめ後ずさる。
通行人達も後ずさる。
何故か僕は周囲からドン引きされていた。
何で?
まあ良いか……。
ゴスッ!
ゴスッ!
「ぎやあああああっ!」
「いでええええええっ!」
ついでに残り二人の股間も同様に潰しておいた。
その二人もそのまま痙攣し動かなくなる。
「さて……どうしました?」
気が付くと何故か五メートル位の僕の周囲には人が居なかった。
「あのう?」
「ひいいいいいいいいっ!」
事を終え、僕がセシルに近づこうとしたら悲鳴を上げられた。
「もしもし?」
「御免なさいいいいいいいいっ!」
今度はミリアに視線を合わせると、何故かここでも悲鳴を上げられた。
「何か気に障りましたか?」
「許してえええええええええっ!」
シシルの方を見ると何故か謝られた。
グスン。
「僕、何かしたかな?」
コテン。
僕はなるべく可愛く首を傾げた。
「「「ひいいいいいいいいいっ!」」」
セリスとミリアにシシルの3人は同時に悲鳴を上げる。
顔面は蒼白だ。
恐怖の為か下半身は湿っている。
……何でそこまで怖がる。
「「「「「「「「「逃げろおおおおおっ!」」」」」」」」」
僕は救いを求め他の人を見るが何故かここでも悲鳴を上げられた。
三人を除く通行人の人達は我先にと逃げ出した。
……え~と……傷つくんだけど僕……。
「なんてこったっ! これがキレる世代かっ!」
「違うがな」
ガキッ。
僕の後頭部をクリスに掴まれる。
プラ~~ン。
頭を掴まれ僕はプラーンと持ち上げられる。
僕はそのままクリスに宙吊りにされた。
「クリス。遅かったね」
「言う事はそれだけかがな?」
変な汗をかきながら僕はクリスに聞いたがが容赦はない。
ギリギリ。
後頭部に掛かる力が強くなる。
「痛いんだけど……クリス」
「それは当然だがな。痛くしてんだ」
「何で?」
痛みを堪え声を搾り出す僕。
「や・り・す・ぎ・だ」
「でっ! でも人助けだし~~そこらへんも考慮してくれると僕助かるな~~」
メキメキッ!
更に力が増し僕の後頭部は悲鳴を上げる。
「人助けでも少しは自重しろといつも言ってるがなあああああああああっ!」
「いだああああああああああああああああああっ!」
折檻を受けた僕の絶叫が通りに響き渡る。
セリスにミリア、シシルの3人はこの光景に唖然としその場にへたり込んだ。
◇
一時間後。
先程の善意で動いた一般人の通報を受け到着した衛兵達。
そして僕達はその衛兵達に先程の男達を突き出した。
先程門で、クリスを風紀違反で捕まえようとした衛兵のおばさん……ゲフン、ゲフン。
……お姉さんは、僕達の顔を見て苦虫を噛み潰したような顔になっていたな。
だが気のせいだろう。(目を逸らす)
多分。
きっと……。
だと良いなあ……。(現実逃避中)
その後、僕達はセリス達を連れ通りを歩いていた。
一緒に連れ立って歩いている理由は彼女達が宿無しだったからだ。
『狭くても良いなら僕の知人の所に泊まらないか?』と提案した。
普通の神経なら何か裏があると躊躇する提案だろう。
というか普通でなくてそう受け取るだろう。
だが彼女達は即答で僕の提案に飛びついた。
……大丈夫かこの人達……。
あまににも会ったばかりの人を信用しすぎだろう……。
否。
あの時は悲鳴を上げられたが、僕の行為が三人を助ける行為と理解し信用してくれたんだろう。
うん。
そう考えておく事にしよう。
まあ……僕の提案を断ると、そのまま野宿直行になるからね。
下手すれば先程の騒動の二の舞になるかも知れない。
彼等にしても僕の提案に乗るのは苦渋の選択なんだろう。
まあ彼女達も冒険者だから野宿はお手の物のはずだ。
だがそうはしたくないんだろう……。
理由はやはり先程のような騒動は二度と御免だからだろう。
だから直球で僕の提案に飛びついたんだろうな~~。
決して僕の無料という言葉に飛びついた訳ではないと思いたい。
多分。(冷や汗)
「それではお世話になります」
「有難うなの」
「すまんな」
「御礼はこいつに言ってくれ、こいつが提案したんだから」
三人にお礼を述べられ気後れしたクリスは僕を指差す。
こいつって……。
まあ~~いいけど。
三人の目が点になる。
そんでもって僕を不審者に見るような彼等の顔。
暫く葛藤しているみたいだった。
あんたら~~先程僕達の提案に即答で飛びついただろう。
何でそんな顔をする。
まあ、クリス主体ではなく見た目子供の僕が、主導権を持った上で宿の世話をするというのだからこれは仕方ないかもしれないが。
まあ考えてみれば今も『仮面を被ったまま』なのでその所為かもしれないが。(自業自得)
まあ~~いいか。
そんな事を思っているであろう3人を見ていると意を決したみたいだ。
「「「お世話になります」」」
「いえいえ」
三人のお礼が重なる。
僕はそれを素直に受け入れた。
それはそうと……。
先程の暴漢の台詞……。
気になるな。
「クリス」
「うん? どうしたがな? カイル」
「先程の三人の暴漢の供述どう思う?」
「分からんなあ。俺は闘うのが専門だ。考えるのはカイルとサキ姉さんの役割だ」
クリスに小声で相談を持ちかける僕。
そんなクリスは僕に剛毅な脳筋台詞を返す。
クリス……あんた王族でしょう。
「サキ姉さんはまだ良いとして、たかが四才児の考えに全てを委ねるのはどうかと思う」
「他のメンバーも似たような感じだぞ」
「……」
「最近なんか、サキ姉さんもカイルの考えに行動を委ねてるし」
「シスターは? あの人元魔王で一国の運営をしてたんでしょう?」
「あの人の話では国の運営は宰相が全てやってたらしいぞ」
「魔王としてそれで良いの?」
僕は頭に手を当てつつそう言った。
「本人がやると億単位の損害が出るから、宰相には玉座で踏ん反りかえるだけで良いと言われたらしいがな」
「……魔王って一体」
「だから戦いのときは日頃の鬱憤晴らしに率先してるんだとがな」
「という事は化け物との戦いも……」
「鬱憤晴らしだな」
「ククル村や帝都成立の感動の物語を僕に返して……シスターの鬱憤晴らしに付き合わされ四年前に戦死した三人の四天王達が可哀想……」
「大丈夫だ。亡くなった四天王も似たもの同士だし」
「……」
……聞きたくなかったな……そんな裏話。
「まあいいや。それはそうと先程の続きなんだけど……どう思う」
「唯の戯言もしくは苦し紛れの言い訳がな」
「うん。普通はそう思うよね」
暴漢を衛兵に引き渡す時に狼藉者の男達が言っていたセリフだ。
『違う誤解だっ!』
『俺達にも何でこんな事をしたのか分からないんだ』
『信じてくれ! 俺達はこの件では無実だっ!』
僕は股間の物を潰した男達を【快癒】で治療した。
すると男達は一斉に憑き物が落ちたかのように弁解を始めたのだ。
最初僕達は衛兵に罪人として連行されるのが嫌でそんな風に嘘をついていると思っていた。
でもその迫真に迫るその言葉と態度を、僕は何故か無視してはいけないように感じたのだ。
「今何を考えてるがな?」
「ひょっとして三人共操られていたのかもしれないと思ったんだ」
「そんな術を使えるジョブがあるのか?」
「あるけど……でも習得するだけなら兎も角、使用すれば身分を問わず処刑になるけどね」
「無茶苦茶だな」
「そうでもないよ。何しろ使い手次第では一人で小国を滅ぼす程のジョブだからね」
僕の言葉に息を呑むクリス。
「マジがな」
「マジです。時代的には帝都が出来る二百年前に存在した小国レネスは、そのジョブを使用したたった一人の術師に滅ばされたからね」
「良く知ってるがな」
「サキ姉さんに教えてもらいました」
「あの人は本当天才だな」
「そうそう。僕なんかサキ姉さんの言っている事の九割程度しか覚えられないし、分からないから凄いよね」
「……充分だと思うが」
「そう?」
となると偶然とは言え【快癒】を彼等に使ったのは良かったというべきか……。
【快癒】は部分欠損を含む全ての傷を癒すと同時に状態異常も治す。
今回は彼等の話が本当なら、偶々状態異常を治したという事なんだろう。
うん?
ならあの三人は被害者では無いのかって?
事情はどうあれ僕の前で女の人に乱暴したんだ。
その罪は償って貰いましょう。
「あっ!」
「どうしたがな」
「「「どうしたの」」」
突然声を上げた僕に戸惑うクリス。
「マナポーションを買ってきます」
「「「「……」」」」
そのまま魔術道具店に入る僕。
流石に魔力が切れてますしね。
万が一の事を考えてです。
ああ、そうだ。
すでにマナポーションは一本だけは飲んでますよ。
その空いた瓶の中に、先程手の汗を痺れ薬に変えた自分の血を入れときました。
念の為の用心です。
それはそうと四人とも何で頭を抱えてるの?
まあいいが。
評価をお願いします。




