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第二十五話 帝都内 見物。

あと一話です。

 無実の罪でクリスが投獄されるのを何とかした僕。


 必死に僕が弁明と弁解をしました。


 ええ……それはもう。(しみじみ)


 クリスが僕の婚約者の一人だと言う事を相手に信用させるのは本当に疲れました。


 はふう~~。(溜息)


 まあ、見た目そのままの年齢差だからね。


 因みにこの世界での犯罪とされる前提の年の差の性行為は……ゲフン、ゲフン。

 ええっと、そういった事をした場合でも、キッチリと責任さえ取れば問題ありません。


 地域差は多少あるけど。


 その為か世界ではいわゆる性奴隷は存在しません。

 

 娼婦は存在しますが。

 

 はっきり言って僕にはあんまり代わらないと思うが……。


 とにかく相手が成人じゃなくても、何らかの保証か賠償をすれば大した罪状には問われません。

 とはいえ内容が酷いとそれなりの期間は投獄される事になりますが。

 それぐらいの罪です。


 性犯罪者に関してはかなり法律が緩いんです。

 この世界は。

 よって元の世界と違い、性犯罪者は言いすぎになりますか。


 とはいえ強姦の類はやはり犯罪です。


 それでも他の罪状より軽く扱われてます。


 痴漢とか売春とかは。


 でなければ近所に住む十五歳の夫を持つ四十五歳のパン屋さんの女性は捕まってるでしょう。


 とはいえそんな風に規律が緩くなったのは百年前からです。


 事実、百年前に十歳の女の子を妾にした貴族が捕まった記録が残っていますし。

 どうやらその目的の為に、無理矢理借金を女の子の両親に背負わせていたらしい。

 無理難題を押し付けてまで、十歳の子供を妾にする行為ははどうかとは思う。


 というか、真実はこの貴族と女の子は以前から付き合ってたらしい。

 かなりの年の差だったらしく、結ばれる為に策を講じたとか。

 

 

 ……十歳の妾って……。(冷や汗)

 ……人としてどうかと思うが。


 今ではそんなこと問題にならないけど。


 何故かと言うと法王国の所為です。


 違法な奴隷狩りに化け物の召喚による人口の減少。


 それに対する法案として法王国以外では平民でも年の差カップルの成立や重婚が奨励されました。

 無論身分差があっても良いらしい。


 なので此の貴族が現代にいれば何も問題なく妾に出来たでしょう。


 その反面、児童売春や児童虐待には厳しくなったのですが……。




 普通の売春は良いのにね……。

 

 そんな訳で下手すればクリスは投獄される可能性があった。


 まあ、クリスが王族なのを明かせば投獄されなかったかも知れない。

 だが言わないでおこう。


 あくまで可能性だから。


 クリスの兄、モル=ハイダのように拉致して多数で暴行ともなれば、いかに王族と言えども捕まります。


 あの馬鹿王子は自分は王族だから特権階級だと思い込んでいたみたいですが……。


 なので当然の報復として、取り巻きと一緒に悶絶し息絶えそうになるまで、股間の物を潰してやりました。


 この世界はこの点は良いですね。


 死なない限り魔術で何度も回復出来るから。(黒い笑み)

 

 

 話が逸れた。


 そんな訳で僕がキッチリとクリスを嫁に貰う事をアピールしたら無罪放免になりました。


 ……というか最初から無罪なんだがな……。


 でも……。

 

 どうしてこうなった……。


 僕は溜息を付く。


「なのに、この仕打ちは無いと思う」


 プラ~~ン。


 見た目は蓑虫(みのむし)です。


 そんな感じで現在僕は縄でグルグル巻きにされてクリスに担がれてます。

 因みに縄は衛兵さんから貰いました。


 誤解のお詫びにと。


 それはそうと……この状況は泣いても良いですか?(泣く)


 いえね。


 見た目もそうですけど~~やられる方もきついんですよ。


 精神的に。


 うん。

 死にたい。


 漫画なら顔に縦線が描かれてるぞ。

 

 とはいえ身体的な体格差があるとはいえ、四才児を軽々と背負ってるクリス凄いな。


 というか早く開放して。


「ええい煩いがな! お前が人前であんな事を言うからだろうがなっ!」


 顔を赤らめたクリスが強く僕をゆする。


 いやあああんっ!


 視界が揺れるっ!


「だってっ! 如何に僕がクリスの事を好きか熱意を込めて話しただけじゃないのっ!」

「だからって何であんな事を言うんだがなっ!」

「愛してるから」

「己はあああああああっ!」

 

 振り回されました。


「いやあああああああああっ!」


 そんな僕達の様子を仲の良い兄弟喧嘩と思われてるようで、周りの人達は遠巻きにクスクスと笑っています。


「何あれ?」

「仲が良いね」

「あの蓑虫にされてる男の子可愛いね」

「誘拐かっ!」

「いやいや、唯の兄弟喧嘩だぜ」


 うん。


 傷つくな。


 兄弟という関係以上には誰も思ってくれないね。


 恋愛対象とか。

 やはり僕の年齢が見た目通りという事が原因かな?


「だいたいお前はがな」

「良いじゃん。将来僕の嫁の一人になってくれるんでしょう?」

「ぐっ……」


 クリスはなにか言いたげだったが僕の反論に黙り込む。

 これは多分赤面してるな。

 僕はクリスの顔が見えないがそう推測した。



 ◇



 大通りを、僕達二人は目的地までテクテク歩いていた。


 えっ?


 もう縛られていないのかって?


 暗殺者のジョブには縄抜けのスキルが有りますのでこれを使いました。

 それが何か?

 

 まあ此れを使って最初から脱出してたらクリスからの折檻が余計に酷くなる可能性があった。

 なので暫く縄抜けは我慢していました。


 脱出した僕を見てクリスは頭を抱え込んでましたが。


 すみません。

 流石にあの折檻は精神的にキツイですので脱出しました。

 

 少し視線を上に上げると遠くで活火山が白い煙を吐いている。

 街の至る所から温泉の蒸気が見える。


 危ない所は……。


 特に高温の蒸気が出てる所はロープと杭で囲ってあるね。

 僕は足元にしゃがんで煉瓦を触る。


 ふむ。


 煉瓦に鉛が混ぜ込んである。

 防壁同様にダンジョン由来の魔術対策はしてあるみたいですね。


「どうしたがな?」

「なんでもない」


 立ち止り僕の方を見るクリスに僕はそう言った。

 そうして僕は立ち上がり再びクリスの横に並ぶ。

 

「この先かがな」

「うん。僕のククル商会の支店は、この先の道を右に曲がった先だよ」


 通りは人ごみで溢れていた。

 種族は様々で陽気に騒いでいる。

 まるで前世の縁日の様だ。

 

「よってらっしゃい見てらっしゃい、今なら流行の量産型魔術剣が一本此れだけで買えるよっ!」

「なんだい、鋼の剣は無いのか?」

「あるぜ! 取っておきのがなっ!」


 ドワーフの鍛冶師が路上で自分の鍛え上げた魔術剣を若い人間族の冒険者に見せていた。

 若い冒険者は鋼の剣を所望しドワーフが奥から持ってきた物を買っていく。

 幾ら安くなったとはいえ魔術剣はまだ高いからね~~。


「え~~割れやすけど保存の効く、旨い野菜スープの瓶詰めはいらんかね~~」

「おいおい、冒険者がそんな割れやすいもん持っていけるかよ」

「そこは腕だろう兄ちゃん?」

「無茶言うな」

「だけどよ~~こいつを最低でも二週間に一度は食えば壊血病にならないぜ」

「本当かあ?」

「おうよっ! しかもこのカルキという薬を飲み水にポチャッと入れるだけで腐らなくなるぜっ!」

「本当だろうな?」

「おうとも」

「まあ、信じてみよう」


 割れやすい瓶詰めの野菜スープとカルキの錠剤を売る雑貨屋の人族の男。

 顔を歪ませ悪態を付く細剣を持ったエルフの男の剣士。

 瓶詰めの利便性を懇々と語る雑貨屋の男。

 半信半疑ながらもそれを買うエルフの剣士。


 本当ですよ~~。


 前世の瓶詰めは兎も角。

 此処のは魔術で栄養をなるべく損なわないように工夫してますから。


 飲み水はカルキを入てとけば腐りませんしね。

 作るのに苦労しました。


「まいどっ! おお~~そうだ。こいつはサービスだ」

「何だ~~これは?」


 なにやら旅人の木の両端に布を貼り付け固定したような物を渡す雑貨屋の主人。


「何でも【ククル村の神童】様が発明した浄水器だそうだ」

「なんだそりゃ?」

「旅先では飲み水が無くって、泥水を飲まなければならない時だってあるだろう?」

「ああ。あの時は地獄だった。下手すれば死んでたなあ~~」

「兄ちゃんエルフだろう?飲み水の確保ぐらい自分で出来ねえのか……」

「エルフはエルフでも森育ちじゃなく都育ちなんだ。 悪かったな!」


 雑貨屋の呆れた言葉に目を逸らすエルフの剣士。


「まあいいか。そいつは泥水なんかを此方の方から何回か通した後に、沸騰させれば飲み水が出来上がるって寸法の道具だ」

「それは凄いな~~良いのか? そんな物をタダで配って」

「ああ構造が単純なうえに使い捨てだからお試しだ。でも次からは金取るぞ」

「へ~~じゃあ貰っとくよ」

「あいよ」


 それはそうと。


 もうそろそろ缶詰を作り始めたほうがいい頃合いかもな。

 ククル商会の技術班次第だけど……。


 そうして僕達はその場を離れた。



 

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