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堕神契約―祈りを奪われた少年は、裏切りの神と世界を呪う―  作者: 苗月
序章

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連なる殺気

 瓦礫の路地裏。

 ハイドラと共に〈暴徒区〉を進むルカは、何度も背後の気配に目を向けていた。


「つけられてます、ね……」


「ああ。そろそろ、来るか」


 ルカがそう呟いた瞬間だった。

 鋭い気配が背後から跳ねる。


「くっ……!」


 寸でのところでかわしたルカの眼前に、爪痕が閃いた。

 鉄をも裂くような鋭い爪――そして、そこにまとわりつくぬめった液体が地面をジジジと焼く。


 酸……!?


「キッキッキッ……これ、避けんのかぁい」


 〈シュナイザー〉

 異様に長い手足。両腕には三又の鉤爪。

 細身ながら締まった筋肉に覆われたその男は、長い舌を舐め回しながら、ぬるりと笑う。


「さっきの爆発……お前らかぁい?」


「……」


 ルカはすぐに構える。

 ハイドラは背後に下がりながらも、いつでも援護できる距離を保っていた。


「なぁ……どうなんだぁい!!」


 一瞬で詰め寄る。

 シュナイザーの爪が風を裂いた。


《Hex Blade―ヘックス・ブレード―》


 闇の刃が迎撃するが、酸を帯びた鉤爪がそれを焼き切って突き抜けてくる。


「チッ……!」


 ルカは跳び退いて距離を取るが、シュナイザーは舌をチロチロさせながら距離を詰める。


「そんなもんかぁい?」


 その声とともに、シュナイザーの爪が連続で突き出される。


《Shade Bind―シェイド・バインド―》


 地面の影が動き、足元を縛る。

 だが――


「キッ、鬱陶しいっ!」


 自ら爪で足を刺し、拘束を破る。


「な……!?」


 狂気の笑みを浮かべ、さらに加速しシュナイザーが突っ込んでくる。


《Crush Vein―クラッシュ・ヴェイン―》


 筋力を奪う一撃を放つも、鉤爪が迫る。

 刃の一本がルカの肩を突き刺し、血が滲む。


「ぐっ……まだだ……!」


《Abyss Flare―アビス・フレア―》


 足元から黒炎が噴き上がる!

 シュナイザーの服と皮膚が焼け、悲鳴を上げて飛び退いた。


「ぐあああああっ!?」


 そこへ更に――


《Dusk Lance―ダスク・ランス―》


 影より放たれた闇の槍が、シュナイザーの腹を貫いた!

 ドシャッと血を吐いて、よろめく。


「キッキッ……普通に、強いんかぁい……」


 そう言って倒れ伏すシュナイザー。

 だが――


「う……っ、はぁっ……」


 ルカの傷もまた深い。

 刺された肩を抑え、その場に膝をつく。


「ルカさんっ……!」

 

 ハイドラが駆け寄ろうとした、その瞬間。


 ズゥン……と、空気が震えた。

 そして、歩いてくる重たい足音。


「……何をしている、シュナイザー」


 瓦礫の向こう。

 岩ような巨躯が現れ、シュナイザーの前に立った。


 暴虐のタイラントキング

〈ロデオ・バロック〉――


「ハァハァ……ロデオさん……い、いや、これから」


「黙れ。 俺の部下に、雑魚は要らねぇ」


 ガグシャァッ…!


 ロデオは躊躇なくシュナイザーの頭を踏み潰した。

 骨は砕け、脳は潰れ、血飛沫と共に眼球が飛び出ていた。


 ルカとロデオの視線が交差する。

 次の殺気が、もうすぐそこまで来ていた。





 


 〈静寂区〉――


 廃れた古民家が並ぶ静かな区画。

 レイヴンたちが、深い霧の中を歩いていた。


 他と比べ、少し大きな建物の奥。


 ボロボロのローブ、伸びっぱなしの白い髭。

 力無く地べたに座る老人。

 しかし、全身からは圧倒的な威圧感が発せられている。


 レイヴンは静かに立ち止まり、言った。


「久しぶりだな……ジジイ。」


 その一言に、重い覇気が返ってきた――。

 



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