作戦決行(女湯)
汐梨視点になっております。
カコーン。
鹿威しの音が露天風呂に響く渡る風流な露天風呂。
見上げれば、冬の空は澄んでおり星々が無限に広がっている。
「あ、ああ……」
岩の露天風呂に浸かると純恋ちゃんが、どこかえっちな声で気持ち良さそうな声を出した。
私も声が漏れたので彼女の気持ちはすごくわかる。
ここの風呂は弱アルカリらしく、看板には入る石鹸風呂なんて謳われていた。実際、湯に浸かってみると、すべすべで本当に石鹸の風呂に入っているみたいだ。
「むむむ……」
純恋ちゃんの胸元についつい視線がいってしまう。
大きく実った彼女の乳房はまるで風船みたいに湯船に浮いている。
大きいおっぱいというのは浮くのか……。くっ……。
比べて私のは……。
スカッ。スカッ。
自分の胸に手を置くとスカッスカである。
「違う。標準のはず」
「汐梨ちゃん? どうかした?」
首を傾げる巨乳の親友の胸に手を伸ばす。
「きゃ!」
可愛らしく短い悲鳴を無視しながら純恋ちゃんのおっぱいを揉む。
違う。揉みしだく!
「汐梨ちゃん! 急になに!?」
「むむむ」
張りの中にある柔らかさ。ただただ柔らかいだけではなく、揉むたびに反発してくる低反発の胸は揉み心地が良い。
なに? この胸の気持ちよさ。
この胸はずっと触っていたくなる。
同性なのにずっと、ずっと。
「し、汐梨ちゃ、あっ! ん! やめっ」
「むー」
強弱を付けて揉むとまた違った感触を楽しめる。
強く揉むと形が若干潰れて卑猥な感じを楽しめて、弱く揉むと綺麗な形のままのおっぱいを楽しめる。
なんなの? このおっぱい。
「汐梨ちゃん! ま、まだ冬馬くんにも……触って……もらってない、から……」
「ごめんなさい」
純恋ちゃんの言葉を聞いて、つい夢中になって触っていた手を離した。
あれはだめだ。魔物だ。純恋ちゃんの胸には魔物が巣食っている。まだ触りたい欲求にかられているのだ。
というか、六堂くんはこれを好きにできるの? なんなのあの眼鏡。かち割りたくなる。
「もう……いきなりだからびっくりしちゃったよ」
少しだけ怒った口調で言われてしまい、唇を尖らせる純恋ちゃん。
「純恋ちゃん」
「んー?」
「どうすればそんな大きくなるの?」
「ええ。大きいのなんて別に良くないよ? 肩凝るし、可愛いブラは少ないし。あたしは汐梨ちゃんくらいが良いと思うけど」
「それじゃだめ。コジローはおっぱい星人だから」
「ええ……一色君ってそうなんだ……」
若干顔を引きつる純恋ちゃん。どうやら彼女の中でコジローの評価が下がったみたいだ。
なんかごめん。
「汐梨ちゃん。一色君とそういう話しとかするの?」
彼女の質問に首を横に振る。
コジローとそういう雰囲気になったことは何回かある。
修学旅行の時なんて私から誘った。
でも、話しをした覚えは……ない。多分。きっと。
「そ、そうなんだ。えと、えとさ」
なんだか、あたふたとしている純恋ちゃんは小さく聞いてくる。
「もう、繋がったりとか?」
「未遂」
「未遂、なんだ。はぁ……。ブクブク……」
純恋ちゃんは腰を深く下ろして、ブクブクと湯船に浸かっていく。
「純恋ちゃんはえっちしてないんだよね」
先程のおっぱいを触らせてない発言で容易にできる予想を聞くと、ダバッと座り直す。
「えっち!」
少し大きな声で、純恋ちゃんは、あわあわしている。
「えっちて、その、あの、そりゃ、あれがあれで、あれなんだけど」
「えっちに過敏に反応してるなんて、むっつり?」
「なんで汐梨ちゃんはそんな天使みたいな見た目なのにそんなこと平気で言えるの!?」
「別に。普通」
「いや、まぁ付き合ってるとか恋人とかってなると想定するのはあれがあれであれなんだけど。そうなんだけど、そうなんだけど! ううっ……」
「このままプラトニックな関係を続けるの?」
「そ、それは……色々タイミングとか……」
更に顔を赤くして口を、パクパクさせると「汐梨ちゃんは!?」と大きな声で話題を変えてくる。
「汐梨ちゃんは一色君とプラトニックな関係を続けるの!?」
「続けない。やる」
「やるって言った! 普通にやるって言ったこの子! 天使の見た目なのに! 天使の見た目なのに!」
「ただ、純恋ちゃんの言う通りタイミングとかはある。それまでには巨乳になりたい」
「そこに繋がるのね」
純恋ちゃんは急に手を、ニギニギとさせて私の胸に手を伸ばしてくる。
「じゃあ、アドバイスする前に手触りを確かめないと」
その手をを高速で振り払う。
「だめ。まだコジローに触らせてない。初めてはコジロー。決定事項」
「汐梨ちゃんはあたしの胸触ったのに!」
「膜があるでしょ」
「膜とか言った! 今日の汐梨ちゃんすんごい!」
確かに、旅行の雰囲気にあてられてテンションが高いのは否定できない。
こうやってガールズトークするのも初めてなので、少々羽目を外しているのは否めない。
「おいおい後輩達。彼氏持ちだからってアクセル全快のガールズトークだな」
言いながら、髪を下ろした夏希先輩が体を洗い終わってこちらに合流する。
「羨ましいねぇ。彼氏のいる高校生活ってのは」
お姉さん感万歳の雰囲気で、髪の毛を手際よく上げると湯船に浸かる。
「ふぅ。良い湯だな」
一息吐いた先輩の様子を見て、純恋ちゃんを見る。
「今はあたし達のことじゃないよね」
「今日は先輩達」
私達は切り替えて一緒に先輩に視線を向ける。
こちらの視線に気が付いた先輩は「ん?」と首を傾げる。
「夏希ちゃんはどうして彼氏作らなかったの?」
夏希先輩から出た話題をそのまま利用して、純恋ちゃんが上手いこと切り出してくれる。
私は援護するように、コクコクコクと3回頷いておく。意味はない。
「おいおい。お前らと一緒にするなよ。そう簡単に彼氏なんてできるか」
「ええ? 本当にぃ? 実は好きな人がいたから作らなかったとかじゃないのぉ?」
コクコクコク。
「おい待て純恋。お前まさかと思うけど、私が筋肉バカを好きだとか言わないよな?」
夏希先輩の眉間にシワがよる。
「じゃないの?」
そんなことは気にせずに、純恋ちゃんは聞いた。
「馬鹿野郎。誰があんな変態好きになるんだよ」
「おおっと動揺ですか? 野郎って男に使う言葉だよ。ねぇ? 汐梨ちゃん」
「その通り」
若干の煽りに対しては特になんのリアクションも起こさずに、苦笑いで答えてくれる。
「マジで待て。部室で裸になって筋トレする奴だぞ? もっと殴ってくれ、蹴ってくれ、それがご褒美とか言う奴なんだぞ?」
「仲良しの証?」
「んなわけあるかっ! 私をおちょくってんだよ!」
大きく否定をした瞬間だった。
『俺は夏希が好きだ!』
豪快な声が空から響いてくる。
まさに天からのお告げ。
天のお告げを聞いて、純恋ちゃんと私は男の湯の方へ視線を向ける。
「ん?」
「ん」
私達の、ニタっとした顔に夏希先輩の顔はのぼせたみたいに赤くなっていた。
「い、いや、あれもおちょくってんだよ」
「そんなわけないと思うけど。ね? 汐梨ちゃん」
「あっちはあっちでボーイズトークをしたリザルト」
夏希先輩は顔を覆った。
「いや、あの筋肉バカには常識とかないし……。筋トレばっかりだし。いつも一緒だし、ずっと一緒だし……。守ってくれるし、いざと言う時は頼りになるし。バカでアホで変態で気持ち悪いから、別に気持ちとか言わなくても良いし……。言わなくても伝わってるし……」
「夏希ちゃん。それって好きって言ってるようなものな気がするけど」
「ああ! もう! そうだよ! 好きだよ! クソッタレ」
顔を真っ赤にして言い放つと純恋ちゃんが優しく夏希先輩の手を握った。
「正直な気持ちを先輩に言ってあげて。絶対喜ぶよ」
そう言うと、天使の微笑みで言ってのける。
「今日は最高の夜になるね」
「お、おう。だ、だな!」
夏希先輩はもう、どうにでもなれな精神みたいな感じで言ってのけた。
私はコクコクコクと3回頷いておいた。意味はない。
次回はまた小次郎視点に戻っております。




