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創造主長様のお仕事  作者: 己龍
第3章 貴族+家族+愛情=???
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1話 王城の地下からこんにちわ

新章突入です!

ピチャッピチャッと固い床へ水が滴る。


じめっとした空気とひんやりした空気が混ざり、肌に纏わりつくと非常に不快だ。


まぁもっとも俺には《環境対応》のスキルがあるから問題ないがな。



「さてっと、そろそろ起きるか」



流石に硬い床の上で寝ると体が痛い、グッと身体を伸ばせばベキベキベキッと音が鳴る。


う~ん、人間の身体は快適さに慣れると厄介だな。



「な、なんだ!?今なにかがへし折れたような音が!」


「すまない、俺が伸びをじた音だ」


「どんな音ですか!?」



鉄格子を挟んだ看守とはここに入ってすぐに打ち解けた。


それにしても王宮地下の独房は見たことはなかったが、まさか見学前に入るとは思わなかったな。


入門審査の順番待ちのときに急に「強制搾取罪」だとか言われ、抵抗してもよかったがその被害者と言うのが第一皇子のランバ義兄さんだ!なんて言われたらなぁ。


大人しく付いていったらすぐ(ここ)だ。


しかも痛くはなかったが護送中に何度も殴る蹴るのオンパレード。


むしろ相手が怪我をして重暴行罪だ!とかわめく始末。


あぁ、リンたちは大丈夫だろうか。


連れていかれるときに散々揉めてたからなぁ。


オンブルは知らん、あの騒ぎの中ずっと録画用魔技具で撮影してたからな。


そもそもあんな魔技具作った覚えはないんだが、もしかして自分で作ったか?



「はぁ~、それにしても喉が渇いた」


「すみませんイニスティア様、許可がない物はここに持ち込めないので」


「いや、君が謝ることはないよ。だがいい加減この場所にも飽きたよ」



牢に入って体感で2日が過ぎている。


所持品は全て押収され、時計がないので正確には分からないが、2日も音沙汰がないのはなぜだろう?



「なぁ、刑が下るにしろ無いにしろ、王城では俺の事なにか話してなかったか?」


「す、すみません。イニスティア様とはあまり話さないようにランバ皇子に言われているので・・・・・」


「なら独り言でいいからさ。俺は何も質問はしてないぞ~」



少しずるい方法ではあるが、看守もそれならっとスラスラ話してくれる。



「では独り言で・・・・王城内は普段通りですね。名誉侯爵である貴方が捕まったにも関わらず噂の一つもありません。いえ、噂をすることすらできないです」


「世間話でもダメなのか?随分と監視が厳しいようで」


「ただ上の方では毎日会議の嵐だそうです。時折会議に使う一室から怒号が聞こえますから」


「誰が怒鳴っているかは聞くまでもなさそうだ」



話し合いが続くってことは第二皇子派が俺の味方をしているのかね。


「強制搾取罪」で指定されている俺の防具と武器、この二つが第一皇子派に渡ると勢いが一足も二足も上がることを恐れての行動か。


だいたい俺が迷宮内で義兄さんから装備を奪ったとか、苦しい理論だ。


これは俺以外に装備はできず、他人が触れると触れた部分が傷つく。


制作時に出た効果なので義兄さんが元々装備していたわけが無いんだがなぁ。



「ですから王城では現在普段通りですね。ただ帝都内の貴族街、スラム街を除く住民たちが連日城門にて抗議をしています。皆、特に冒険者たちはイニスティア様が広めた物のおかげで命拾いした者が多いですから」


「・・・ランバ殿下がキレなきゃいいが」


「実を言いますとそれが一番恐ろしいのです。皇子は抗議する光景を見ても何も言わず、ただ見つめているだけ。次の瞬間切り捨てろと言われるのではないかと騎士と兵たちは怯えています」



おいおい、内外共にいつ爆発してもおかしくないじゃないか。


下手をすれば内乱が起こるぞ。



「さらに第一皇子派が最近—―――――――」


「!待ってくれ、足跡が聞こえる。誰か来たぞ」



二人会話を終わらせ耳を澄ますと、コツコツと階段を降りる音が響いてきた。


一人、二人・・・・・三人か。


金属のこすれる音と布をはためかせる音、どうやら鎧を着たやつが二名だな。


看守は姿勢を正し、こちらに背を向けて元の立ち位置へと戻る。


足音はだんだんと大きくなるが、なぜか話し声が聞こえないんだよな。



「やぁレイ!随分と快適そうな個室じゃないか」


「誰かと思えば・・・・ウルスラ殿下でしたか」



階段を下りきり、俺の牢までやってきた人物はウルスラだった。


この場には彼以外もいるので話し方も丁寧にする。



「レイ、もう安心していいぞ。我が来たのだからな!」


「そうですか、いい加減この場に一人は寂しく感じていたところです。感謝を」























「で、これはどういうことだ?」


「あっはっは!先ほど寂しいと言っていただろう。これでもう大丈夫だな!」



ウルの宣言通り、確かに俺の一人牢獄生活は終わった。


終わったが・・・・・。



「なんでお前も牢に入ってんだよ!しかも同じ牢に!」


「これで二人、もう寂しくないな!」


「やかましいわ!」



ウルは俺へと余裕を見せて安心しろと言った直後、彼の後ろにいた兵に俺と同じ牢へと丁重に入れられた。


あの時の俺と看守の顔は、傍から見ればさぞおかしかっただろう。



「あんなに堂々と現れて‥…ダサいぞ?」


「それでも我が来たことで一気にこの場が華やかになったな!美形と美形が集まれば場所など関係ないさ」


「自分で美形とかいうなよ」



だが悔しいことにこいつが来たことにより、若干重かった雰囲気が和らいだのは認めていいかもな。


看守の彼は見張り対象に自国の皇子が加わり、ただでさえ悪かった顔色が更に悪化したが。


ほら、無意識に胃の辺りを押さえてる。


なんだか・・・・すまんな。



「茶番はここまでとして、お前なんでここに来たんだ?」


「それはもちろん父上の命でだ。兄上の行動が過激になってきたから守るために幽閉されたわけだな。ちなみに姉上と母上も明日辺り来るのではないか?」



なるほど、この牢には俺がいるし人も少ない、通路も階段のみの防衛のしやすさからここを選んだわけか。


つか王族を名目上とはいえ幽閉ってのは相当に上は殺気立ってるんだろうな。


目の前にいる看守の彼は、皇女と女王が来るかもっのところでとうとう蹲り腹部を押さえだした。


・・・ストレスで胃に穴が開かなきゃいいが。



「ここまで悪化するとはなぁ。幸いと言ったらなんだが、メイが他国に行っていてよかったよ」


「ん?聞いてないのか?妹なら今頃は定期馬車でこちらに帰国中だぞ」


「はぁ!?」



まずい、このままだと渦中の中心に王族が全員集まるぞ!



「やばくないか?」


「はっはっは、もちろん不味い状況だ。一応だが叔父でもある冒険者ギルド本部長とバリス、それから中立派貴族のトップである公爵に頼んで妹は匿う予定だ。もし無理やり手を出そうものなら、兄上の立場は地にまでとはいかんが相当な痛手になる」


「ん~・・・なら安心か」



迷宮内での態度から言えばギルドは蔑ろにしそうだが、貴族としての最上位に当たる公爵は敵にはまわすまい。



「よかったな、陛下の俺に対する苦労が泡に消えなくて」


「・・・ふっ、やはり気づいていたか。とはいえ気づくであろう前提で妹をお前に預けたんだがな」


「当たり前だろ。どこの世界に出会ったばかりの成人直後の男を名誉とはいえ侯爵にあげるんだ?普通は誰でも気づくだろう」


「気づかない者も恥ずかしながらいるのだ。この国の膿共がな」



俺はこの国に来て、鍛冶・薬学・魔技具などのいくつかの技術提供をした。


回数は少ないが、少しでも衰退した人間の生活環境の向上の為に派生技術ではなく新技術を広めたため、その恩恵も大きかった。


当初に俺が予定していた影響を大きく上回った成果に、陛下は首輪としてメイを俺に嫁がせたわけだが。



「悪いが今は彼女に愛情はない。だが娶る以上、今後愛しておこうと思う」


「別にいい、愛情のない婚姻など貴族には当たり前だ。あるのは義務と利益、恋愛の末に結ばれ成功する者など珍しい。愛してもらえるだけメイトラは幸せだ」



悲しいかな貴族は己を国の道具と割り切る傾向が強いようだ。


男も女も貴族として生まれ、嫁ぐからには生涯を国に、民に捧げるのが普通だとは共通の認識。



「それから真面目な貴族たちにとっては仲間が増えることに歓迎だから、上位貴族の新興は大喜びだ。ようこそ仕事漬けの一生へ!」


「嫌な事思い出させるな、ただでさえ迷宮に行く前に大量の書類を押しつけられたってのに・・・」


「それに関してはどの派閥貴族でも喜んでいたぞ。仕事が減った!っと」


「いい迷惑だ。さすがなりたくない職業一位だな、貴族ってのは」



徹夜が基本である仕事を抱える貴族は大変人気が無いのだ。



「・・・お話し中申し訳ありませんが、皇女殿下と女王陛下がこちらにお見えになるのですか?ウルスラ殿下がいる現状ですらこの場所はあまり長居に適しているとは思えませんが・・・」



胃に手を添えた看守がおずおずと横目に聞いてきた。


身体は大丈夫か?



「ふむ、流石に姉上はまずいだろうな。婚姻の話も進んでいる、お世辞にも清潔とは言えぬ牢ではな」



そうだよな。


ここには光も入らないからかなり冷える。


嫁ぎ先で子供を産むことを考えても、せめてこの石を敷き詰めただけの床はなんとかしないと。


待てよ?いいこと思いついた!



「なら改善するか」


「どうするのだ?」


「忘れたか?俺はあのスキルを持っているんだぞ?加えて俺は非常に心配性だ」


「それが一体・・・お?おぉぉ!」


「さらにこうだ!」


「あははは!さすがは我が友だ、いいぞもっとやれ!」



こうすれば女王たちでも満足、ついでに義兄さんとその派閥をおちょく—―――挑発できる。


見ていろよ~、俺とウルを一緒にしたことを後悔させてやる!


まぁそれまでに・・・



「なにをやっているのですか!?お止めください、私がお咎めを受けますってばーーーーー!」



看守の彼の胃が破壊されないか心配だがな。

ウル  「レイよ、少々身体が冷えてきたな」

レイヌ 「よし、換気の為だ。少しだけ天井に大穴でも開けて・・・・」


看守  「お願いだから止めてーーーー!」

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