28話 紅蓮の迷宮 4
Twitterでも言いましたが、先週は更新予定のデータがいつの間にか消えてしまい
不貞腐れてお休みしました。
ごめんなさい!
更に今週来週と仕事が忙しく来週もお休みです。
重ね重ねごめんなさい!
「さぁ、今度こそお役に立ちますよ!」
リンはそう言うと自身気に自慢の盾を階層主の待つ門へと向けた。
前回の視察で先頭に参加させてもらえなかったことが心残りだったのだろう。
迷宮に入る前の彼女の盾は自信をすっぽりと覆う大きさで左右に緩いカーブが付いており、表面にはグリフォンの装飾がされていた。
この装飾、決して美しさや見栄でつけたのではなく、敵の攻撃を受け止める際に攻撃が盾で滑り自身が傷つかないための突起物として役立つ。
そのことから装飾部分の素材は特に硬いもので作られているが彼女の盾が高額だった理由はここにあった。
盾本体のほとんどが《ディッカル鋼》と呼ばれる軽くて硬い金属で出来ているが、装飾は俺の軽装にも使われた《神鉄オリハルコン》の余りを使っている。
使われた量はわずかなものだがやはりベリアル一人では成型すらできず結局俺も手伝った。
俺の防具のように何かを吸い取っている様子も鑑定にも出ていないので今のところは心配していない。
そしてそこに《紅蓮の迷宮》産の《紅琥珀(大)》を付けた結果、《耐熱(小)》が付与され一段と防御が厚くなった。
この装備なら《双頭の暴れ牛》も受け止められるだろう。
「全員準備はいいか?」
「「「「大丈夫、問題ない」」」」
なぜか失敗しそうな返事はスルーして俺は扉を押し開けた。
―紅蓮の迷宮十層・階層主エリア―
見慣れた燃える草原にを前回同様に炎が上がり階層主が現れた。
三つの首と色付きは同じだ。
戦闘自体はスムーズに終わり、広場の火炎草を大量に採取した。
ただディーは火を纏うメリットをほとんど潰され決定打が少なく、ダリエラは風魔法での攻撃が通っていたが、氷魔法は息吹で消された。
その際に飛び散った氷片がうまい具合に妨害効果があり結果的にだが一番目立っていた。
「レイヌさん、教えてもらった《点打》以外でなにか技はねぇかな?」
「さっきの戦闘が理由か?」
集めた火炎草を紐で縛っていると申し訳なさそうにディーが聞きに来た。
「あぁ、あいつらは牛を圧倒してたけどよ、俺の拳は全然効いてなかった。まだ先があるってのにこのままじゃ単に足手まといだ」
「十分効いてたよ。ただあいつがタフで見た目わからなかっただけだ」
「だけど腕力だけじゃ限界があるだろ?前々から思ってたんだ。今は火だけじゃなくて雷も纏えるようなったけど、もう1つ2つは次の手が欲しいんだ」
「調子に乗るなよ?《点打》を教えてからあまり日が経ってないし、そもそも《点打》も使いこなせてはいないだろ」
「わかってるよ、でもさぁ・・・」
どうやら相当悩んでいるようだ。
だがまだディーの身体は他の技を扱うには出来上がってない。
現段階で力になれることといったら・・・・1つあったな。
だがこれを使わせるのは抵抗があるんだが・・・・。
「・・・・・方法はある」
「まじか!?教えてく・・・・」
「だが非常に危険だ。これを使い続ければ命を落とすことになる」
「!?死ぬのか」
「ああ」
おれの命という言葉にディーだけでなく、たまたま近くを通ったダリエラも反応し近寄ってきた。
「・・・師匠、物騒な事聞こえたんだけど」
心配そうに尋ねてきたダリエラに先ほどの会話をかいつまんで話すと、ディーに烈火のごとく詰め寄った。
「・・・まさか、この話受けようとは思わないよね?」
「いや、いい加減限界を感じてんだ。今教えてもらえば今後楽になる」
「馬鹿じゃないの!?死ぬのよ?死んじゃうんだよ!そんなことになったらディーも、教えた師匠も一生恨んじゃうよ」
「お、俺の命だ。どうしようと俺の勝手だろ!」
ふむ、ダリエラもディーのことは気になるようすか・・・・・って違うだろ!
「まぁディーの言うことはもっともだが、大きく抜けてるところがあるぞ」
このシリアスな雰囲気の中浮かんでいたピンク思考を振り払うかのように俺は真顔でディーを見つめる。
「抜けてるとこってなんだ?」
ディーは頭上に大量の?を飛ばしながら向き合うが、やめてくれ・・・・お前の真面目顔みるとさっきまでの俺が居たたまれない。
「生死に関しては確かにお前の勝手だろうがな、その後の結果や結末は周りにいる俺たちの物ってことだ」
「結果?」
首をコテンと傾げ続きを求めるディーだが、なぜお前は女性より女性らしい仕草をするんだよ。
「お前が死んだ後、周囲の抱く悲しみや憎しみ、嘆き、はたまた歓喜なんて感情は俺たちの物だってこと」
「???だからなんだってんだ?」
「誰も嬉々として嘆き悲しむことはしたくないだろ?だからその原因を阻止したいんだよ」
「・・・そう、私泣きたくないし師匠を死ぬほど恨みたくない。・・・だからディーが死にそうになったら全力で邪魔する」
「いやいやいや!俺の勝手・・・・」
「なら邪魔するのもダリエラの勝手だ。お前が良くて他はダメなんて、勝手通り越して傲慢だぞ」
今の一部貴族と同じと言うと、ディーは反論する言葉が出ないらしく唇をつき出し拗ねてしまった。
その横でダリエラはコンコンと説得(説教?)をしている。
だがそろそろ落ち着かないか?あれを見ろ、とうとうリンが聞き耳じゃ物足りなくなってジリジリとこっちに寄ってきてる。
オンブルがさり気なく妨害しているが、強行突破も時間の問題だろ。
「なぁ、白熱してるとこ悪いんだが、要は使いすぎなきゃいいだけの話だ。俺がいないところでやらないと約束するなら教えてやる」
「マジ!よっしゃーーー!」
「・・・監視付きなら、うん」
ほぼ強制的に会話を打ち切り、階層主撃破後に現れた次の階層に降りる階層への扉へと二人を連れていった。
一方リンは消化不良だったのかガクリと膝から崩れ落ち動きそうになかったのでオンブルに引っ張ってもらった。
― 紅蓮の迷宮 十一~十九階層 ―
十一~十三階層まで足を踏み入れた者は一組しかおらず、前情報が乏しかったのでここからはペースを落として進んでいった。
ここからの特徴としては魔物の強さが一ランク程上がり、罠の脅威度が凶悪になっていった。
降ってくる溶岩や急に現れる落とし穴など、パーティーを分裂させる物から下手をしたら即死級の罠まで次々と襲い掛かった。
途中リンとダリエラが鉄砲水のように噴出したマグマにそれぞれ手足を焼かれるという笑い話では済まない危機があったが、素早くポーションを飲みすぐに戦えるほど回復した。
この時、溶岩人形との乱戦でカバーが遅れたことが悔やまれ、一旦休憩を取り陣形について話し合ったりもした。
現れた魔物はそれぞれの更に上位種で、主なものだと
《溶岩人形《戦狂》
全身マグマで出来ている岩人形、一度の攻撃でリンの盾を半損させオンブルを焦がした。
故意の可能性アリ。
《炉円闘魚》
頭部に一本、顎から二本の角で弾丸のように突進してくる。
あまりの速さにダリエラが反応できず何度も瀕死に陥り、オンブルを焦がした。
故意の可能性アリ。
《覗炎大鬼》
眼と口、関節部分から火を噴き出していたが、全く関係なく幻覚を見せてきた。ディーとは相性が最悪で《覗炎大鬼》を殴ろうとしてオンブルに殴りかかった。
確信をもって故意と断言する。
他にも獣型の魔物も多く現れ、その攻撃をオンブルが全て引き受けたが、後ろに下げて一切攻撃に当たるなと嫌々命令した。
このままではリンのいる意味がないだろうが!
二十階層に繋がる扉の前に着く頃には装備品の損傷は激しくなり、各人が装備を総入れ替えをした。
代償として鉱物や薬草、魔物の素材などを大量に入手したのだが迷宮内で鍛冶などできるはずもなく、既存の装備を限界まで強化する他ない。
「ベリアルさんは道具があれば作れたのですが・・・・」
ベリアルの作業を見たことのあるリンがぼそりと呟いたが、彼の道具が超の付くほどの一級品であるからできることで普通はできないのだと伝えた。
あの鍛冶道具は代々受け継いできた物で、ベリアルも他の鍛冶工房を見たことのないらしく一般と大きく違うことを知らなかったからあれが当たり前だと思わないようにとも付け加えた。
一つ一つに複数の付与がかけられているのだからもはや国宝級、技術者が集まるという彼の祖国ならば放ってはおかないだろうが知らなかったのだろうか?
本来の鍛冶ならばインゴットを作り、整形や粗たたきなどいくつもの工程を経ていくが最初の工程はハンマー一つで済ませるのだから非常識な道具だ。
神界にいる鍛冶の神たちが聞いたら「道具に頼りやがって!」とブチ切れそうだが、本人はいたって真面目で鍛冶に関しては紳士だからこそへ―ルイスも加護を与えた。
そもそも扱うにも困難な道具だから使いこなしている時点で腕は素晴らしいんだがな。
そんなことを考えながら迷宮の壁を弄くり即興の炉を作ると、全員の装備の最終チェックと強化を施した。
途中あーだこーだと注文が入ったので丸一日かかってしまったが、納得がいったようで軽く身体に馴染ませ全員で扉の前に立つ。
二十階層への扉は十階層よりも大きく、両開きの中央に炎と叫ぶ大鬼が合わさったようなレリーフが刻まれており、おそらく次に出てくる階層主のヒントであろうと思われる。
だがミスリードの可能性もあるので案外関係のないものが出てくるかもしれない。
どちらにしろ油断はできないことには変わりないか。
「おいオンブル、希望通りの防具にならなかったからって不貞腐れるな」
「・・・あれは防御性皆無、作る意味がない」
「あんな恰好で横にいたら気になってしょうがねぇよ」
「え~と・・・・すみません、わたしもそう思います」
扉に手をかけたところで暗い雰囲気を滲ませるオンブルがどうしても気になり思わず注意すると全員から総批判を食らった。
それはそうだろう、胸と下腹部しか隠さない革製の超軽装、所謂ビキニアーマーと呼ばれている物を注文してきたが、それだと攻撃どころかこの場の熱だけで戦闘不能になるだろう。
魔物の前に飛び出したり、ほぼ裸のような恰好をしたがったり、こいつ神界の時より変態度が増していないか?
「・・・・・・いいじゃないですか、夢があるじゃないですかビキニアーマー」
ねぇよ。
夢見てる間に死ぬだろ。
「もうほっといていくぞ」
「いいんですか?オンブルさんこのままですと・・・」
「別にいいさ。あんなこと言ってるが本気じゃない」
だよな?そこのところ信じてるぞ?
そうやって眼の光が消えていてもいざというときはやってくれるよな?
ルルといいオンブルといい、神たちは独特な癖が強すぎるんだよ!
(・・・から、なんでお菓子食べちゃダメなの!?食べながらでもしっかりやるよ!・・・・・違うよ、あれはおいしい棒だったからつい寝ちゃったの!この辛~いお煎餅と日本茶を食べれば作業も)
(聞こえてんだよ駄女神!お前サボって居眠りしてんじゃねぇよ!)
(うぇ!?あ、間違えて念話し・・・・・)
(ん?・・・・あいつ逃げたな)
(なにをやっているんですかあの子は。さすがの私もボケ続ける気が失せましたよ)
良すぎるタイミングでのルルの失態に思わず声を荒げてしまったが、同じ内容を聞いていたオンブルでさえ呆れて現実に戻ってきた。
ルル、減給だ。
「ん~?二人して黙ってどうした?」
「なんでもありませんよ」
「あぁ、やる気が下がっただけだ」
「それ大問題だよな!?」
おっといかん、思わず本音が。
「大丈夫大丈夫、もう立ち直った。気を取り直していこうか」
話のそらし方がつい露骨すぎたので魔力を放出してやる気が出ているように演出した。
もちろんこんなことをする為に魔力を使うのはこの世界で前代未聞であろう。
「ぎゃぁぁぁぁ!眼が、眼がぁぁぁぁ!」
すると《魔力視》のスキルを持っていたダリエラが放った魔力に眼が眩み、大佐が出てきた。
「一旦休憩しませんか?このままだとグダグダになりそうです」
リンの意見に賛成!
こうして万全の状態で改めて休憩することとなった。
そうだね、俺が発端だね、みんなすまん。
ダリエラ 「・・・オンちゃんが言ってた《びきにあーまー?》ってなに?」
レイヌ 「そうだな、こういう形で・・・(地面に絵を書く)」
ディー 「おぉ!こんなすげぇもんがこの世にあんのか!」
ダリエラ 「・・・・・・・・・・・・・・ディー?」
ディー 「あっ」
さぁ、ダリエラとディーの恋模様はいかに!




