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創造主長様のお仕事  作者: 己龍
第2章 子供+仲間+迷宮=???
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24話 ままならない

今回レイヌの出番は少ないです


うん、残念!

現状を聞いている途中で私兵がようやく話ができる状態まで回復したようなので、ライズは席を外した。


オンブルと二人きりになったが、すぐに他の騎士が接待役として2名傍についてくれたので馬車へ戻り今度こそ迷宮に挑む準備を始める。


手荷物の少なさ(というよりほぼ装備のみ)を疑問に思った騎士たちだったが無限収納からポーションを取り出すと納得し、面白がって何度も出し入れをさせられた。


その時、出てきた私兵に支給の回復薬を全て使ってしまったらしくいくつか購入させてほしいと言われたので上級・中級ポーションを10ほど譲った。


駐在の騎士の数は2個中隊規模と迷宮の防衛のため大人数おり、その分支給品も多かったはずだが次の定期の補給物資が来るまで残り1週間とただでさえ枯渇気味のなか、義兄さんたちがここに到着際にひと悶着あったようで更に消費、そして貴族の私兵に使い手持ちがなくなったようだ。



「殿下たちが帰ってきた時の為に残しておきたかったのですが、あの兵の様子からただならぬ予感がしましたのでしかたなく・・・・」


「悔やむことはないんじゃないか?良い判断だったと思う」


「・・・確かに。・・・大事に取っておいてもあの皇子様が帰ってこなかったら意味が無いから」



ダリエラの言葉に騎士はホッと息を吐きもう一人の騎士にだから言っただろうと励まされた。


おそらくその判断をしたのはこの騎士だったのだろう。


ライズだったらむしろ評価してくれただろうがそれでも不安だったんだろうな。


そこで第三者の俺やダリエラからも肯定の言葉を聞けたのでようやく緊張が解けたというところか。


馬車を騎士の宿舎へ止めるときに馬たちが文句タラタラで少し暴れたが、他に問題もなく詰所にて騒ぎが収まるま詰所で休憩をし・・・・・ようとした。



「レイヌ侯爵様はこちらですか!」



これからの陣形などを話し合おうとしたその時、ライズが詰所の扉を開けると同時に声を上げた。



「ライズ、俺は《名誉侯爵》だ」


「あ、申し訳ございません・・・・・いえ、とにかく今すぐに迷宮へ向かっていただきたいのです!」



動揺からかいろいろな過程を飛ばしてすぐに迷宮に行けとは・・・・。



「みな、迷宮内のことは入ってから話そう。ライズ、道すがら詳しいことを話してくれ」


一度外した装備を付け直し、ライズの様子から全員迷宮入口まで駆け足で向かうこととなった。



「それで、なにが起こった?」



横で並走している数名の騎士に移動しながら聞いてみるが、それぞれ把握していることが違い到着するころにやっと現状を理解した。


・魔物行進を何度も受け、義兄さんたちは回復薬が枯渇

・幾度も物資を犠牲に戦線離脱を繰り返し、食料も枯渇

・全体のおよそ2/3におよぶ装備の破損

・義兄さんと貴族連中は無傷だが中隊・私兵は人員が総勢50名にまで減少、現在6階層を拠点に防衛


ようするに大ピンチらしい。


しかもこれは重体だった貴族私兵からの情報であり半日ほど前の状態であることから生存はほぼ絶望的だ。


全て把握しているやつがいればこんなにのんびり走っていなかったのだが、そのライズは詰所を出る準備中にすでに入口にて俺たちがすぐ入れるようにするため、すでにいなかったので贅沢は言えないか。



「全員状況の把握は済んだな?今は時間が無いから俺を先頭に前衛はディー・リン、中衛はダリエラ、後衛はオンブルで6階層まで駆け抜ける。動きは最小限で無駄は少しでも無くすぞ!」


「わかりました!」


「いきなりの緊急事態だが、やってやるぜ!」


「・・・誰か私を運んで」


「はぁ、私が背負うので捕まりなさい」



・・・・・若干一名は不安だが全員やる気は満ち溢れているので暑さ対策の俺以外は冷却薬を飲み、紅蓮の迷宮に走り込んでいった。






―――― 紅蓮の迷宮 入口 ライズ・コルネル――――


「レイヌ様、現状の報告を!」


「他の者に聞いた!俺たちはこのまま向かう!」



アルウィート子爵家の私兵から聴取した結果を伝えようとしたが共に来た部下たちからすでに報告は受けたようで、レイヌ様たちは我々が開けた道を駆け抜けて迷宮へと入っていった。


本当ならここに到着してから入るにあたっての手続きという名目で翌日まで挑戦者用の宿舎にて準備をしてもらうのだが、彼らには申し訳ないことをした。


前回レイヌ様が訪れた際は国からの依頼、そして下見ということで浅い層までならと短時間の手続きで済んだのだが、あの時はまさか10階層まで行くとは思わず、階層主の話を聞いたときは青ざめたものだ。



「それにしても・・・・・」



ようやく落ち着いた私兵の元へ向かいながら部下に聞こえないように愚痴をこぼした。


王族であるランバ殿下は迷宮の恐ろしさをわかっているはずだが、なぜあのような行動に出たのかがわからない。


ここまでの道中のような広い空間ならばあの大人数での戦闘が可能であろうが、この紅蓮の迷宮の内部は一部を除き洞窟のようになっているのでむしろ邪魔にしかならないだろう。


戦闘を経験したことのない共にいたアルウィート家現当主や2名の男爵が指揮をとっていたので、兵にとってこれほどまでに不満な戦闘は無いだろう。


なので昔は騎士団に紛れて戦闘訓練を受けていた殿下がなぜ突然このように短絡的なことをしているのか、この騒動に我々は困惑している。



「あの、隊長。どうかなさいましたか?」


「ん、何でもない」



うっかり付いてきた部下に聞かれたがあまり聞こえていないようなので助かった。


この緊急時に似合わぬ空気のまま急遽作られた療養テントにはいると、身体中に包帯や添え木を付けた私兵がベットに横になり部下に説明をしていた。



「どうやら体調の方はどうにか、というところか」


「あぁライズ隊長でしたね。貴重なポーションと助軍、ありがとうございます」



おや?こいつはこんな性格だったか?


たしか到着早々に散々悪態をついてきた連中の中にこいつもいたはずだが、印象が全く違う。



「どうしました?」


「失礼、二日前と違う対応に驚いたのだ」


「そのことですか。その節はすみませんでした」



辛いはずだろうに、彼は体を起こし頭を下げてきた。


しっかりとした誠意を見せられますます疑問が浮かんでくるがとにかく横になれと無理やりベットに寝かせた。



「して、先日のそちらの対応には何かしらの意味があったというわけですか?どうにもわからないことだらけで」


「・・・・・実は、俺にもなぜあんなこと言ったのかわからないんですよ。騎士は俺にとってあこがれであり、目標だったんです。それなのにあんなことを」



どうにも話が見えてこない。


自分で行動しておいてなぜそんなことをしたのかがわからないだと?


治療に当たった教会から派遣された医父に視線を飛ばしたがわからないと首を振られた。



「なにをしたのかはしっかりと覚えてるんですけど、どうにも自覚というか・・・・・まるで俺じゃないような感覚で」


「・・・・それはもしやランバ殿下にも同様のことが?」


「俺のところの当主もです。以前はあんな威張り散らす人じゃなかった。最近じゃぁ奥さんや娘をまるで奴隷扱いで、見ていて気分が悪かったのを覚えています」


「あの二人をか?噂ではかなりの溺愛ぶりと聞いたが」


「以前は、がつきますね。最近じゃ二人に対する罵詈雑言の嵐ですよ。「獣風情が人族である私に触れるな!」とか言ってました、俺も一緒になって。なんであんなことを・・・」



なぜ急に差別的になった?


そもそもそこまで獣人族が嫌いならば子供すら作らないだろうに。


それ以前に今どき人種差別という愚かなことを唱えるとは、時代錯誤もばかばかしい。



「隊長、これはなにが起きているのでしょう」


「わからない、しかししばらく帝都に帰らぬうちに随分ときな臭くなっているようだな」



ここに来て早一年、そろそろ一時帰ろうかと思っていたところだ。


殿下たちが帰還されたら護衛として一度戻ろうか。


まだ万全の状態でない私兵にしばらく休むよう伝え、数名の医父を連れて詰所へ行き彼の診察結果を聞くことにした。



「申し訳ない、わたくしたちには判断が出来かねます」


「ということは身体には異常がなかったということか?」



医父を束ねる医療長に尋ねると周りにいた医父達も肯定した。



「おそらく薬と催眠術のようなものをかけられたと思いますが、《診察》のスキルを使いましても発見はできませんでした」


「医父たち全員が持つ体の異常を見分けるスキルでも発見できぬか。ならなぜあのようなことに・・・失礼を承知で済まんが、嘘はないな?」


「はい、自らが崇める命の神パーテル様に誓います」


教会に所属する者にとって神の名を出す誓いは決して無視できたものではない、嘘はないだろう。


ならば一体彼に何が起きたかわかる者はいないということになる。


いや、レイヌ様ならもしくわ・・・・。



「あの~、すみません‥‥」



少しの間思案していると医父たちの中から一人の女性がおずおずと手を挙げた。



「君は医療長の助手をしていた者だな、なにか心当たりでもあるのか?」


「いえ、そんな大層な事じゃなくて、もしかしたらというか、たぶん違うと思いますけど‥…」


「どんなことでもいい。今はとにかく多くの見解が聞きたい」



なかなか話を進めない彼女に若干イラッとしたが、腹の中に押し込めてどうにか喋らせるためできる限り優しく語りかけた。



「その‥‥以前イビルアル王国で働いていた時に図書館で調べ物をしたのですが‥‥そのときたまたま読んだ歴史書に似たような症状がありまして」


「なんだと!?」



まさかあの国で直接図書館にて学んだことがある者がいるとは、なんと運が良いのか。


都市間の移動すら簡単にはいかないこの時代に、あの知恵者が集う「探求の国」で得た知識をもつ彼女はこの非常時とってまさに神からの使徒と言えよう。



「これも我々を見守る神たちの導きか・・・・・それで、その症状は何が原因だったのだ?」


「その、私が読んだ歴史書は800年前のものでして。人間同士の戦争で使われていたものなんですが・・・・・」



人間同士の戦争か。


知識でしか知らないが、その頃はまさに血で血を洗う光景であったらしい。


人間同士で争うなど、先人たちはなにを考えていたのだろうか。


しかし大昔に使われていたということは、もしや失われた魔法「消失魔法(ロスト・マジック)」やごくたまに発見される出土品が関与しているというのか。



「たしか「洗脳」をかけられた人が同じ症状を訴えていたとか」


「洗脳だと!?」



急な言葉に思わず座っていた椅子を倒し立ち上がると、部下も含め医療長たちもみな「ばかな!」という顔で彼女を見つめた。


洗脳に関わる出土品はいくつか発見され、先々代の皇帝陛下により宝物庫で厳重に隔離されている。


その出土品を調べた研究者が言うには、洗脳は催眠術と違い心に根が深く浸透し、解くことは決して容易ではないらしい。


城を攻めない限りその出土品を持ち出すことは不可能であり、道具として存在するのだからおそらく洗脳の魔法もあるだろうと言われているが、それを証明するものが出てこない今は魔法によるものではない。


到底信じられる話ではないが、その後彼女の連ねた症状はあの私兵や最近のランバ殿下に当てはまる事柄が多く、安易に無視できない。



「貴重な情報に感謝する。おれは帝都へ戻りこのことを陛下に直接進言し、判断を仰ぐ。それまで全員この件は口外しないよう」



それぞれが最敬礼や神の名に誓い、即刻出立の準備を始める為この場は解散となった。


いったい帝都で、この国で何が起きているんだ。


言葉にできぬこの気持ちを、おれはどうしたらいいんだ。







「それにしても・・・・レイヌ様たちの上に浮かんでいたアレは、いったいなんなのだ?」


ライズ    「ところで女性でも《医父》と呼ぶのか?」

医父1     「昔からある呼び方なので変えようにも・・・」

ライズ    「《医母》とでも変えれば」

医父(女性) 「「「響きが嫌です!」」」



女性に「イボ」はないですよねぇ

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