14話 お父さんと呼ばせたい
活動報告に今後の更新について書いておきます
暇なときに見てください<(_ _)>
ギルドへ魔物と魔石の関係性について発表してから一週間がたった。
現在掲示板に張り出されている依頼書の内容はほとんどが街中のみのクエストに変わっており、護衛や緊急クエストなどどうしても外に出る依頼は高ランク専用クエストになっている。
低・中ランク冒険者の中にはいまいち危機感が無いものが多くおり、詳しい話を聞きにギルドへ訪れる者が少なく、講習会を頻繁に行い説明するため事情が完全に理解している者以外の者にしばらくの間、討伐禁止を言い渡しているらしい。
地味な依頼内容ばかりで低ランクの人たちは不満そうにしていたが、比較的実力のある者たちはこれ幸いにと民家の屋根の修理や荷運びなど嬉々として行っている。
長年冒険者をしている者ならわかっていることだが冒険者とは依頼人あっての機関である。
普段から住民との関係を良好にするため隠れて手伝いなんかをしていた。
別に隠すことないんじゃないかって?
しかしこういった簡単な、尚且つ交流がある依頼は勉強クエストとして低ランク依頼とされているが、「つまらない」「冒険者がやることじゃない」とやりたがらないのでどんどん溜まっているのが現状で、堂々と先輩冒険者がやるとクエストがすぐになくなり学ぶ機会が失われたり、「あの人いつもやってるから任せとけばいいじゃん」とますますやろうとしない。
だが今は「これしかクエストがないからしょうがない」と大義名分があるのでコソコソしなくて済み、これ幸いにと仕事をしている。
ちなみに俺も孤児院で飯炊きや修理、子供たちに勉強を教えたり前は隠れてやっていたので嬉しい誤算だった。
そして今現在、俺は子供たちに勉強を教えている。
他の4人は王城地下の訓練場で俺考案の鍛錬メニューをこなし、休憩の合間に手伝いに来てくれる。
身体はしっかり休めろと一応言っておいたが「俺、子供好きなんです!」と本人たちも休んでいるアピールをしているので止めなかった。
「にぃちゃん!できたぞ!」
子供たちの一人が数式を書いた紙を手にこちらへ走ってくる。
受け取って答え合わせをしている間その男の子はワクワクとした目でじっと待っていた。
「うん、正解だ。ただここだけ少し違うな。簡単な間違いだから一緒に考えてみようか」
「うわ~マジかよ~!ぜったい合ってると思ったのに!」
「それからにぃちゃんじゃなくてお父さんと呼べ」
「ぜったいやだ!」
無邪気な笑顔で否定された・・・・・。
ここに初めて来たときこの子たちがなぜここにいるかを世話をしているミテラさん(103歳の魔族)に聞いて俺が父親役になろうとしたのだが子供たちが一向にお父さんと呼んでくれなくて来るたびにこうしてさり気なく言わせようとしている。
「すみません侯爵様。子供たちが失礼を」
「名誉だ名誉。それに今は冒険者として来てるからかまわないよ」
ひたすら謝るミテラさんの相手をしている間にいつのまにか子供たちの列ができており、急いで机へと戻った。
「おにぃちゃん今度いつくる?」
「次はなに教えてくれんだ?」
昼食をみんなで食べ終わり、帰る支度をしていると子供たちが俺を囲んで毎度恒例の質問攻めが始まった。
おそらくこれ以上の移動阻害は魔法でもできないだろう。
「しばらくは時間があるから明日の朝来るよ。明日は剣術と魔法の授業だ」
男の子は剣術と聞いて、女の子は魔法と聞いて喜んだ。
才能がある子が何人かいるので教えてる方も楽しい。
その中でもみんなのリーダー的存在で獣人の男の子ムートは木刀を掲げて走り回っている。
「次はぜったいにぃちゃんを倒してやるぜ!」
「お父さんと言えと・・・・・模擬戦は無しにしよっかな~」
「えぇぇ!?わっわかった父ちゃん!」
「あ、おにぃちゃんずるい」
「ひきょーものー!」
周りが騒ぐが関係ない!俺はお父さんと呼ばれるまでどんな手も使う!
ハッハッハと笑いながら帰る際も背中や足を蹴られ叩かれとしたが力たりずにマッサージ化している。
この奇妙な行進は王城の正門まで続いたがさすがにもう帰りなさいと門番にも言われ「つまんなーい」と言って帰っていった。
そのまま門を潜り地下へと向かうと訓練中の騎士たちとリンたち4人がそれぞれのメニューをこなしていた。
「あれ、レイヌさん?もしかして授業終わっちゃいました?」
ここに来たことでもう子供たちと遊べないとわかるとディランはガクッと膝をついた。
そこまでか・・・・・。
「おら、落ち込んでないで鍛錬を再開しろ。お前はすぐやり方間違えるんだからチェックするぞ」
ディランを立たせて練習相手(木製人形なぐられ君Ver.3)を無限収納から取り出し何回か殴らせた。
案の定せっかく修正した癖が出ていたのでもう1セット追加を言い渡し、他の3人を見に行く。
皆順調のようだがオンブルが寝そべってこちらをチラチラ見てきたので無視した。
鍛錬の見回りも終えて時間が出来たので迷宮攻略用の魔道具(いや、今は魔技具か)を作りにユリアちゃんの工房へ行くことにした。
作成中後ろでユリアちゃんとドワーフ女性が眼を見開いて見てくるのが正直鬱陶しかったが手元は狂うことはなかった。
終わるころには真夜中になっており急いで屋敷へと戻っていった。
・・・・・・というかあの二人軽く8時間はあの体勢だったよな。よく体力が持ったものだ。
――――レイヌ邸屋敷――――
「レイヌ様!いままでどこに行っていたのですか!せめて一言言ってくだされば!爺もみなももう心配で心配で胸が張り裂けそうでございました。聞いていますかレイヌ様!」
日付変更の少し前に帰宅するとラミスが玄関前でウロウロしており、俺を見つけると涙ながらに叱られた。
メイドたちや庭師たちまで集まり、リンたちも何事かと窓から覗いている。
思い返せば誰かに心配されて怒られるなんてずいぶんと久しぶりでつい笑みを浮かべると更にラミス達のお叱りはヒートアップしていった。
だ、だからごめんって・・・・・・。
「いや~レイヌさんが怒られてるところなんて初めてみましたね」
「この間バリスに怒られたじゃないか」
一人夕食(夜食?)を食べているとディランが果実酒を片手に食堂へやってきた。
「いやいや、あれはじゃれついてるんですよ。でも使用人たちは本気で怒ってましたからね。ラミスさんなんかまるで孫を心配するおじいさんみたいでしたよ」
ケラケラ笑うディランの口にステーキを突っ込んで黙らせると玄関でのことを思い出してみる。
孫・・・・・か・・・。
あの時のお願いをこうまで叶えてくれるなんて思わなかったな。
家族・・・・・いいな、これ。
家族がいて婚約者がいる今、やはり子供が必要だ!
あの子たちに絶対お父さんと呼ばせてみせるぞ!
「あ・・・・・・師匠ずるい・・・・・・私も食べる」
「ずるいもなにもこれ夕食のつもりなんだが・・・・」
「お酒ですか?すみませんがわたしにもいただけますかディラン」
「我が主様、私の作った果実酒もご賞味ください」
ダリエラ、リン、オンブルが次々とやってきてあっという間にいつもの賑やかな食事になった。
そういえばダリエラは最近俺の事を師匠と呼び始めたんだがどうも慣れないな。
彼女にも少しは認められた、ってことかな?
こうして夜は更けていき、二日酔い患者が二人出来上がった。
翌朝、苦しむ二人に自業自得だと訓練所へ置いていきそのまま約束通り孤児院へと向かう。
俺の姿が見えると子供たちはすぐに俺を包囲してさぁ教えろとばかりに庭へ連れていかれた。
「あれ?にぃになんかいいにおいする」
「くんくん。ほんとだ!おいしそうなにおいする!」
「せめて甘い匂いって言って欲しいな・・・・」
昨日の酒の匂いが気になったので自家製の香水つけてきたんだがまさか食べ物認定されるとは思わなかった。
匂いを嗅ぎによじ登ってきたり服をむしゃむしゃしだしたりアッという間に怪人〝子供使い″がそこに完成した。
こどもって体温高いよな、暑くなってきた。
「みんな~どこに行っ・・・・・・キャァ!なにこれ!?」
怪人の前に現れたミテラさんは持っていた箒を構えて背中にある4本の蜘蛛足で威嚇してきた。
言い忘れていたが彼女は魔族の中でも数少ない女性だけの種族である女蜘蛛種で手足と背中合わせ8本の足がある。
彼女たちは糸を吐いて操る種族能力があるが戦闘力は無く、手足の多さを利用してよく店で見かける。
ミテラさんも幼い子供を6本の腕で同時にあやししたりと子供たちにかなり好かれている。
「あ~ミリアさん、俺です俺」
「え?侯爵様!?そのお姿はいったい・・・・」
やっとわかってくれると一人一人引っぺがして子供という呪縛から解放された。
いや、一人だけ服をモゴモゴして離れない子がいるな。
「なぁレックル、そろそろ離してくれるか?服がビシャビシャなんだが」
「ふぃふぁふぁ」
「うん、「嫌だ」って言ったのはわかったが女の子がこんな格好だとミリアさんみたいになれないぞ?」
「う~」と呻いたがミリアさんの名前が効いたようでゆっくりと、本当にゆっくりと離れていった。
あの子見てるとダリエラを思い出してつい食べ物を出したくなるんだよなぁ。
涎で濡れた服から運動着へと着替えてようやく今日の授業を始めるのであった。
ダリエラ 「・・・なんか甘い匂いが」
レイヌ 「悪い俺の香水だ」
ダリエラ 「・・・そうなんだ。・・・・ゴクリ」
レイヌ 「・・・・食べ物じゃないぞ?」
――――今回の取得スキル――――
変装C
――――今回の取得称号――――
怪人〝子供使い″




