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創造主長様のお仕事  作者: 己龍
第3章 貴族+家族+愛情=???
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24話 VS狂獣 1

お仕事が忙しく、前回休んで今回も短めです。


そして来週もどうかわからない現状。


いい加減な作者ですみません。 OTZ

立ち込める黒い霧。


《狂獣》を名乗る人型の霧の塊は軽薄そうな口調で挨拶をした。



「どうも~、はじめまして。僕が君たちの探してる《狂獣》くんだよ」



妙に馴れ馴れしい態度に、レイヌは一層警戒心を強めたが手は出せない。


この場に居る帝国所属の近衛兵たちの首に巻かれた、《狂獣》と同じ黒い霧のせいだ。


ステータスが見えなく、どのスキルか魔法か不明という点もある。


しかし、神であり創造神の統括でもあるレイヌならば当然この世界に存在する全ての能力を把握しているはず。


例え-のリソースで歪み、変質しようとも元の能力からは大きく外れることは無いため、レイヌならば対処は簡単だ。


しかしそうはせず《狂獣》を睨み返し、ただじっとしている。



「お前、何者だ?どう見ても(この世界の)人間の枠から外れすぎてるだろう」


「おいおい、君までそんなことを。そういう君こそ人族どころか人間離れしてるじゃないか。《死の魔物大行進(デス・パレード)》で万を超えた魔物を殺し、《紅蓮の迷宮》の走破。それから冒険者でも超高ランクの依頼をバンバン捌いてるよね?ペースが良く持つよ」



レイヌは《狂獣》の最後の言葉に疑問を持つ。


《狂獣》の言う通り冒険者ギルドの水晶クラス用のクエストを何度も受けている。


しかし貴族としての仕事の合間や、迷宮へと向かう道中でたまたま達成したりとその行動は人目に付きにくいことが多かった。


しかし《狂獣》は依頼内容もその達成数も把握しているようだ。


これはギルドに内通者が?と疑うがすぐにその考えを切り捨てる。


今も首に巻かれた霧に戸惑っているバリスは、身内に厳しい。


外部の人間よりも身内に向けての警戒が強いほどだ。


帝国の首都たる帝都のギルド長としては優秀な彼が、果たして内通者を見逃すだろうか。



「いろいろ考えてるね。でも安心して、ただ僕は見てきたことを言っただけ。ぬくぬくとスラムの外で生きてる弱者なんか手駒にもふさわしくないから」


「ほう、ならお前は強いと?」


「もちろん」



コクリと頷く《狂獣》。


レイヌは《狂獣》が下を向いた瞬間に《無減収納》から細剣を取りだし、正真正銘の()()()で懐へと潜り込み《狂獣》を貫いた。


頭部へ一発、胸へ二発、相手の種族は分からないが致死性の高い場所への連撃を放つ。



「おぉ、容赦ないね!僕じゃなかったら死んでたよ」



しかし《狂獣》には効果がないらしく、腹に手を当てケラケラと笑った。



「次は僕の番だ。行くよ――――――」


「させぬわ!《身体強化》、《剛力》、食らえ化物め!」



《狂獣》が攻撃の体勢に入ろうとするが、身体能力を上げるスキルによって無理やり束縛を振りほどいた団長が、勢いそのままに例の戦斧を《狂獣》へと振り下ろす。


見事に影は二つに分かれ、バリスと近衛兵たちに纏わりついた黒霧が霧散する。


これは倒したのか?


誰もがそう思い、消えゆく《狂獣》を見つめる中、レイヌの声が響き渡った。



「馬鹿野郎!防御を解くな!」



目の前には消えていく《狂獣》、しかし責任者であるレイヌからの警戒を解くなという命令に戸惑う近衛兵たちだが、次の瞬間レイヌの言葉を素直に応じればよかったと後悔する羽目となった。


ぱっくりと割れた《狂獣》の断面から突如として触手が伸び、近衛兵たちを襲い始めたのだ。


寸でのところで兵と触手の間に割り込み、細切れに切り刻むが、今度は複数の触手が兵たちに延びる。


何とか守ろうとレイヌは次々と斬り倒すが、数が多すぎるために何度か打ち漏らしが生まれてしまう。


団長たちも我に返り応戦するが、彼らの装備を軽々と打ち砕き一人、また一人と胸を貫かれ絶命していく。


レイヌ自身にも周りに比べ5割増しに触手が襲い掛かり、切り払いながら応戦するが、一向に直接攻撃をしようとしない。


影、触手、そして不死身かのような再生能力を警戒しているためだ。


特に後者二つは明らかに生物としての枠を大きく超えている。



(下手な攻撃は被害が増す…か。しかし奴は一体何なんだ?おそらく闇魔法持ちで種族は触手から言って魔族か?だがあの不死身具合は・・・)



激しい攻防の中でも思考に没頭できる荒業はさすが神と言えよう。


しかしレイヌが建てる予想もすぐさま意味のない物へと変わった。


ゆっくりと元の形へと戻った《狂獣》は静かに、だが堂々とした足取りでレイヌへと歩むと全身から炎を吹き出した。


と思えば今度はレイヌへと伸ばした右手からはブリザードが吹き出し、だらりとさせた左手からは紫電が纏わりつき、カパッと開けた口らしき場所からは石礫が次々と飛び出す。



(本当に魔法のオンパレードだな。しかもどれもかれもがレベルが高い、普通ここまでの使い手なら犯罪者になる前に名が広まってるだろうが)



ブリザード防いだ盾は一瞬で凍り付き砕け、投擲した暗器は紫電によって弾かれ、石礫に関しては一向に収まらない。


救いといえば、どれもレイヌを標的にしているので兵たちに当たらない事だろう。


一般人なら絶望的な状況だがこの場に居るのは近衛兵、騎士や城兵とは違い抜きんでた実力者たちの集まりだ。


今までは逃げと防御の一手に徹していたため負傷も多かったが、応戦に切り変えた彼らは少しずつ触手を抑えていった。


そのおかげでレイヌも余裕ができ始め、使える初級魔法を打ち出したり近接攻撃を織り交ぜたりと実験を繰り返した。



「楽しいねレイヌ君。でも・・・・・いい加減雑魚が邪魔だな」



相変わらず楽しそうな《狂獣》であったが、突然不快そうに近衛兵たちを睨む。


レイヌは睨んだ先へと回り込み盾を構えると、今までとは違い「ギィィィン」っと金属がこすれ合うような音が響く。


今のレイヌと《狂獣》の距離はそこそこ離れているが、伸びていたのは触手ではなく鎌。


その一撃を皮切りに今度は魔法ではなく斧、槍、剣、鎚と様々な武器による攻撃が始まる。


これはまた最初と同じ状況が始まるかと誰もが思うが、レイヌだけはフゥッとため息を吐き、なんと無防備に構えを解いた。



「なるほどな、種はわかった」


「種って何のことかな?まるで僕が細工してるみたいにじゃない」


「その通りだが、お前に聞きたいことがある。そのスキルはいつ手に入れた?」


「・・・・やっぱ君は面白いね!でも教えない・・・よ!」



再び始まる武器の連撃。


迫りくる武器たちを見て団長とバリスは追いつかないと理解しながらも、無防備なレイヌをかばおうと走り出す。


そんな二人の努力だが、全く意味はなかった。


走り出した足は徐々に速度を落とし、二人だけでなく《狂獣》も含めこの場に居る全員がポカンとその光景を見つめる。


その理由は棒立ちだったレイヌが無傷だったから、その両手に《狂獣》の使っていた武器たちがまとめて掴まれていたから。


そしてその武器たちが、明らかに()()()()姿()をしていたからだ。




「ほら、もう種はバレたぞ《狂獣》。今度はこっちの番だ」


「ちょっと足早じゃない?まだ僕には魔法が――――」



《狂獣》が喋り終わらないうちに、レイヌは魔法を放つ。


直撃した箇所は二の腕、肩、太ももと致命傷とは言えない場所だが、魔法がその身体に当たると今までと違い、血が流れ()()()悲鳴が上がった。


するとボトリボトリと何かが《狂獣》から落ち、すぐに跡形もなく溶けて消えていったが、その一瞬で全員が《狂獣》の理解不能な攻撃の正体を理解した。



「火は《鬼火(ウェスプ)》、鎌は《戦蟷螂(ウォー・マンティス)》。どの攻撃も全て魔物を利用したものだな。スキルは《召喚》みたいなものか?その姿も幻影を使う魔物だ作った物だろ」


「れ、レイヌ!なんだその《召喚》っつうスキルは。というかお前なんで無傷なんだよ!!」


「《完全自然回復》と単純に身体能力のおかげだ。それよりお前の方が傷が深いだろ?」



駆け寄ったバリスは肩に大きな穴を開け、どう見ても重傷だった。


レイヌはため息交じりに《ハイ・ポーション》を頭からかけると、薬煙を取り出し火をつけた。



「《召喚》は魔物を支配して自由に操るスキルだ。とは言ってもこれは御伽噺でよく使われてる架空のスキル、だから俺は「みたいなもの」と言ったんだ」



桃煙を《狂獣》に向けて吐き出しながら《無限収納》から次々と《ハイ・ポーション》を取り出し、バリスへと渡していく。


吐き出した桃煙は風に流されながら薄く広まり、《狂獣》にまで届くと纏わりつくように包み込んだ。


桃煙が晴れた頃には《狂獣》の姿はなく、一匹の魔物が溶けていく光景だけが残されていた。


戦いは終わったのかとバリスたちは気を抜くが、当のレイヌは近くに建つ倉庫を険しく見つめている。


レイヌが言った通り《召喚》はこの世界において存在はせず、同時に魔物を操るようなスキルや技術も創造時から作ってはいない。


それはこの世界の魔物が-のリソースの塊であるが故に、なるべく生物と密接な関係にならないようにした結果なのだが、《狂獣》はそんなありもしない技を悠々と使いこなしていた。


ステータスが見えない事といい《召喚》といい、直接本人に聞かなければわからない。


そんな考えを見抜いたかのように、見つめていた先の倉庫からある人物が現れる。


バリスと団長たちは緊張を解いたばかり、物音には反応できてもそれが危険であるかどうかの判断に鈍っていた。



「ん?お前、なんでここにいるんだ!」



バリスはその人物を見て驚く。


今まで気を張り詰めていたため、一度抜いた緊張感は戻りにくいとはいえさすがに敵陣で油断しすぎである。


だが無理もない。


その人物は以前からの知り合いで、スラムで生きていけるほどの実力もなく、ひたむきに頑張り続ける姿をよく見かけ、何よりレイヌともかかわりがあった人物だったからだ。


そんな人物が果たして危険だとだれが思えよう。


座り込んでいたバリスは立ち上がり駆け寄ろうとするが、レイヌは大太刀を抜きバリスの前へと立ち塞がった。


吐いた桃煙をその人物へと吹きかけながらその瞳をジッと見上げる。



「やぁ、しばらくぶりだなユーシス。ちょっと見ない間に異常なほど強くなったじゃないか」



その人物、ユーシスは出会ったときと同じく無邪気そうに笑っているがその目はドロドロと濁り切り、光を一切反射していないように見えた。



「この間のレイヌさんの指導のおかげ・・・・・・って言っても誤魔化されないよね~。な~んか確信持ってるみたいだし」


「レイヌ?ユーシス?お前ら何を言ってんだ」



状況が理解できない・・・・いや、理解したくないバリスはその笑顔を引きつらせる。


ユーシス――――――レイヌが迷宮に潜る前に一度だけ指導をした青年はあれ以降確かに強くなったようだ。


だがその力の先はどうやらレイヌ達が望んでいた方向とは全く逆だった。


二人がにらみ合う中、遠くの方でいくつもの爆発音と建物が崩れる音が響き出した。


そう、ちょうどディランたちが違法奴隷を助け開放していた場所だろうか。



「ねぇ、いいの?早くいかないと大事なお仲間がみ~んなグチャグチャになるよ?」


「あまり舐めるなよ?ディーも使用人たちも、お前が考えてるほど脆くはない」


(それにあそこには()()()()もいたからな。ディー、ちょうどいい試練だ。一皮むける絶好の機会だぞ)



騒音の鳴る方向を一切見ないレイヌをユーシスは面白くなさそうに「うえぇ~~」っと口を歪める。


そしてレイヌは()()()()()()()()()()ユーシスに向かい大太刀を薙ぎ払う。


感動も慈悲もない一撃、それが第二ラウンドの開始の合図だった。

皆さんユーシス君を覚えていますか?


詳しくは2章20話 「代償なき近道は無い」↓ 

https://ncode.syosetu.com/n4749dx/51/


をご覧ください!


とはいえこの話だけの登場ですがw

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