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十六話 光の勇者フランセーズは英雄となる

 


 ユタカの世界から戻り、デュラムと別れ、僕はラトラディションへ向かいます。


 出発前に婚約者のテリアに帰還報告を出すことにしました。

 本格的に国を復興したいので協力して欲しいと魔法で文字を届けます。

 オーベルジュはラトラディションの隣国なので、そんなに時間をかける事なくテリアは助けに来てくれると思います。



 僕は、魔王の話や、資料、状況などでラトラディションが奴隷貿易の中心だったと知りました。

 ユタカと魔王が行った、本来は婚姻のための魔力契約。

 それを正しくない方法で使うための人間を生産、売買していたのです。

 もちろん、他にも色々な奴隷もいたでしょう。

 奴隷の生産手段として風俗街も盛んだったようです。

 資源らしい資源のない土地を大国にのし上げたのは凄い事だとは思います。

 しかし、僕は絶対にそんな国をつくらない。

 たとえ夢物語だとしても、皆が幸せである国を目指したいのです。



 そんな事を移動中に考えていたらあっという間にラトラディションに到着しました。

 土地は荒れ果て、大量のモンスター巣食っていたので丁寧に退治していきます。

 外から来る魔物と違って、この世界にもとから存在するのがモンスターです。

 モンスターはほとんど魔力攻撃を使わず、知能も低いので、ただの冒険者でも倒せます。

 ちょっと狂暴で面倒な害獣のようなものだと思ってください。


 しばらくはラトラディションのモンスター退治が僕のやるべき仕事となるでしょう。

 勇者の力のお陰でそんなに大変ではないので、早く片付けたい所です。

 まずは土地を安全にしなければ何もできませんからね。



「フラン!」

「やあ、テリア」



 数時間も退治を続けていると、軍隊を率いたテリアが上空から現れました。

 フランという愛称を使うのはテリアだけなのですぐにわかります。

 見るものを癒す柔らかな笑顔。艶やかな黒髪が風に揺れて綺麗です。



「すごいなフラン、こんな短時間でモンスターを半分近く減らしたのかい」



 そう言いながら、テリアは僕の顔に付いたモンスターの血液をハンカチーフで拭ってくれます。



「少し張り切ってしまったよ。さすがに疲れたけどね」

「フランは休んで。残りは僕が引き受けるから」



 テリアはすぐに軍隊を指揮し、魔法の発動を行います。

 守護や回復が得意な僕とは真逆で、テリアは攻撃特化です。

 右腕を天に掲げ、その動きに合わせて魔力が上空へ飛んでいきます。



「僕の魔力よ、刃となりて降り注げ」



 テリアは囁くように唱えました。

 その言葉通り、魔力が分裂し、雨のように魔力のナイフが音もなく地上に降り注ぎます。

 広範囲の魔法は便利ですね。

 僕がコツコツ斬り倒していたモンスターの数を一瞬で超える攻撃範囲です。

 しかし、殺傷能力自体は高くないので、この攻撃で弱ったモンスターを軍隊がとどめを刺していきます。

 とてもよく連携が取れていて見ていて気持ちが良いですね。


 テリアは魔法の扱いに長けていて、王族でなければ大魔法使いになっていたと噂される存在です。

 本人は噂は噂だよと否定します。

 しかし、勇者となった僕には相手のステータスが見えているので意味のない否定です。テリアはいつ勇者に選ばれてもおかしくない程の能力を持っています。


 一仕事終えたテリアは僕に向き直り、ハグしました。



「テリア!?」

「フラン、君が僕を頼ってくれて嬉しいよ」



 汗もかいていますし、返り血もひどいのでやめさせたかったのですが、テリアが気にしていないようなので諦めました。

 そっと僕も腕をまわし、その背中を抱きしめます。



「ありがとう、テリア。来てくれて」

「どうしたんだい、今日のフランは素直だ」

「うん。ふふ、そうだね。結婚っていいものだなって最近思ってね」



 僕の発言に、テリアが勢いよく身を離して僕の顔を見ます。

 緊張した面持ちのテリアがなんだか可愛く感じます。

 今の僕はとても前向きな気持ちになったので、つい言ってしまいました。



「テリア、魔王が倒されたら結婚しよう」

「う、嬉しいけどそれ、不吉だよ!?」



 ユタカに『死亡フラグ』というものを教えて貰った事があります。

 どうやらテリアもそれと同じような事を知っているみたいですね。



「じゃあ、やめておく?」

「死んでも僕がフランを守るから大丈夫さ!」

「テリアが死んじゃったら結婚できないよ」



 そう言って笑い合っていると、聖剣が淡く光り出しました。

 テリアも僕もハッとしました。神に関する事が起きるとわかったからです。



「テリア、僕は神殿に行く」

「うん、気をつけて」



 テリアに見送られ、僕は残るモンスターを倒しながら崩壊寸前の神殿へ向かいました。



「神……」

「ユタカを帰してくれてありがとう、フランセーズ」



 神殿の中央に、今にも消失しそうな半透明の子供が立っており、すぐにそれが神レジャンデールだとわかりました。

 神に礼を言われるような事はしていませんので、先を促します。



「用件は」

「ふふ、せっかちだなぁ。ユタカとデュラムが君を勇者にするって決めたからご報告」



 あの二人ならそう言うと思いました。

 ユタカと対になる白騎士もとうとう卒業ですね。



「そうか、今度は何をすればいい」



 僕は神から計画の流れを聞き、子供が喜びそうな演出を考える事にしました。

 折角の伝説なのですから、本気で取り組みましょう。



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