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079(理解者の死)

「お客様、どうされました?」

「赤ワインとブランケットをお願い」

「あっ、私も赤ワインを」

「かしこまりました」


 寝よう。眠りすぎて、逆に眠い状態だ。


 紙コップにペットボトル、ブランケットが運ばれてきた。

 俺と弥生さんは紙コップにワインを注ぐ。乾杯して、グイッと飲んで眠る。




――「大変だー! 大変だー!」


 うっ……うるせえな。せっかく夢の中だったのに。俺は隣を見ると、弥生さんも目を覚ましたようだ。


 ピコン。


『お客様の中に医療従事者の方は居ませんか?』


「誰か重病にでもなったかな」

「遠藤だったりして」


「圭市、ちょっと来てくれ」


 渡辺さんだ。何の用だろう?


「俺は医者じゃありませんよ」

「探偵だろ? 似たようなものだ」

「いや、全然違いますよ。誰が急病なんですか?」

「遠藤っ……」

「勝手に死んでくれ」

「そっちじゃない! 遠藤力蔵社長だよ」

「社長が!? 急ぎます!」


 俺と渡辺さんはファーストクラス席へ行く。


 キャビンアテンダントが遠藤力蔵社長に心臓マッサージをしていた。顔はうっ血し、苦しんでるのが分かる。


 遠藤は泣きながら「父さん! 父さん!」と声を掛けてる。


 AEDも使われた形跡がある。遠藤力蔵社長は心不全かもしれない。


 残念だけど、もう手遅れだ。海のど真ん中を飛んでる旅客機内、近くに降りられる空港もない。




――チャーター便は飯松空港に着き、遠藤力蔵社長は病院へ運ばれた。おそらく、病理解剖だろう。


 俺は弥生さんと一緒にタクシーに乗り、明暗寺に帰ってきた。この先が心配だ。


 俺は今井工場長にメールを送る。


【松本圭市です。これから会社はどうなりますか?】


 すぐに返信が来た。


【暫くは遠藤力君が経営に携わる。それから、株主総会で正式に後任が指命されるよ】

【今井工場長だといいですね】

【どうかな? 力君はああ見えて子供の頃から経営の帝王学を叩き込まれてたからね。松本君はとりあえず、明日、月曜日に出社してくれないかな。契約について交渉しよう】

【分かりました】

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