073(KISS)
――俺とメグは食べ終える。メグの運転でルクソールまで乗せて行ってもらうことになった。
俺はフルバーニアンの装備を整え“ある事をして”トレーラーハウスを出る。
「圭市、バッグの口が開いたままよ。800ドルだって大金なんだから」
「おう。ありがと」
俺はディーゼルのバッグから札を取り出して、財布に入れる。
「行きましょ」
メグはマスタングの鍵を開けて、乗り込む。俺は右の座席に座る。
「出すわよ。忘れ物はないわね?」
俺はフルバーニアンを確認してから、シートベルトをする。
「大丈夫だ」
メグはラスベガスの繁華街へとマスタングを走らせる。
「今日は休み?」
「そうよ」
「昨日は気付かなかったけど、マスタングのV型8気筒エンジンは良い音色だな」
「褒めてくれて、ありがと。私の相棒」
「俺にも相棒が居る」
「日本車?」
「日産R32スカイラインGTRだよ。アメ車で例えるならっ……」
「BNR32。知ってるわよ。例えるなら、コルベット辺りかしら」
「俺も同意見」
メグと居ると楽しい……しかし、これはあくまで不可抗力の浮気! 弥生さん、ゴメン。
マスタングはルクソールのエントランス前に着く。
「ありがとね。送ってくれて」
俺は財布から100ドル札を1枚渡すが、メグは拒否する。
「おカネは要らない。別のことでお願い」
「何をすればいい?」
「……キス」
俺はメグを抱き寄せで唇を奪う。――メグはなかなか終わりにしてくれない。
「っあはぁ〜。ありがと」
「だから、礼を言うものじゃない」
「いい思い出になったわ」
俺はマスタングを降りて、ドア越しに言う。
「礼を言いたいのはこっちだ。ベッドの上に送迎のお礼を置いといた。じゃあね」
“ある事をして”とは100ドル札1枚をベッドの上に置いてきた。
「粋な計らいね、やられたわ。じゃあね」
マスタングは走り去った。
ふぅ、一仕事終えたぜ。
「カミカゼ先輩」
ドキッ! ミカか……間が悪い。
「なんだ、ミカ?」
「今のは、弥生先輩には内緒にしときますね、フフフ」
俺はミカに弱味を握られてしまった。




