071(メグとドライブ)
みんなは帰り、俺は1人で5ドルのスロットマシンで遊んでた。――ピコン、ピコン。ラッキーセブンだ。800ドルの勝ち。
早速、台から出てきたチケットを換金所へ持っていく。
「オーマイガー。カミカゼケーイチ! また勝ちました?」
「800ドルだ。換金して」
「はい、ただいま。紙幣は如何いたしましょう?」
「全部100ドル札で」
少し待ってると、声を掛けられる。
「圭市、まだ居たの?」
俺は振り向くと、メグが居た。
「メグ、君こそ、まだ居たの?」
「圭市が心配でね」
「カミカゼケーイチ、800ドルです。お納めを」
俺は札8枚を数えてから、ディーゼルのバッグにねじ込む。
「圭市、着いてきて」
「どこに行くの?」
「女の一人歩きは危険なんでしょ」
「そうだけどさ」
俺はメグに連れられて外の駐車場に着く。
「車で帰るのか。バニーガールは儲かるな〜」
メグは1台のスポーツカーの前で止まる。フォードのマスタングだ。スマートキーでドアのロックを外した。
「圭市も乗って。穴場を教えてあげる」
「穴場か、面白そうだな」
マスタングは左ハンドルだから、右が助手席だ。
メグの運転で裏道を通る。
「圭市はバカなの? 天才なの?」
「そうだな〜。紙一重で天才かな」
「スーパーポーカーを観戦してたけど、強いハンドが来た時にニヤニヤしたり、ガッカリしたり、ヒヤヒヤしたわ」
「作戦だよ。忍者は裏の裏の裏の裏までかけ」
「圭市は侍だと思ってたけど、忍者だったのね」
「ジャパニーズジョークだ」
「笑うところ?」
「どんずべりセヨ〜」
「高度な日本語は翻訳ウェアラブル端末でも翻訳は無理のようね。意味が解らないわ」
「大した意味はない。深く考えるな」
車はどんどん郊外に向かう。きらびやかなラスベガスの中心街から離れていく。住宅街に入ってきて停まった。タンブルウィードが転がってそうな、荒野にトレーラーハウスが並んでる。
「さあ、着いたわよ」
「どこだ、ここ」
「私の家。疲れたわ、飲みましょ」
俺はメグのトレーラーハウスに入り、ソファーに座る。結構広々としてる。
「圭市、テキーラでいい?」
「何でもいいよ」
――俺はショットグラスで7〜8杯飲んだ辺りから、泥酔してしまった。




