033(謎解きの始まり)
俺はB棟の多軸NC旋盤ラインに行く。渡辺さんは元気そうだ。
「おはよー、圭市」
「おはようございます。……あれ? また遠藤さんが居ない」
「遠藤なら警察の事情聴取だよ。第一発見者らしい」
「えっ!? 遠藤さんが……殺った?」
「まず第一発見者を疑え。捜査の基本だね」
渡辺さんは新規品の加工を始めた。材料は円柱状だ。
「材料を並べましょうか?」
「ああ、頼む」
「2人とも、ちょっとタイム!」
小宮山さんが慌てて来た。俺達も事情聴取かな? 少なくとも関わりはあるし。
「小宮山部長、警察の聴取が来ました?」
「いや、違う。その〜…………」「なんだ? 部長」
「小宮山さん、ハッキリ言って下さい」
遠藤の奴、マジで殺ったか。恐ろしい、殺人鬼と一緒に仕事をしてたのか。
「先週の金曜日に、六道さんはここに来なかった。それでいいね?」
「くっ口封じですか!? 小宮山さん!」
「シー! 声がデカイ。あくまでも、遠藤君の容疑が晴れるまでだよ」
「遠藤が殺ったんじゃないんだな?」
「警察は遠藤君を犯人だと見てないと思う」
小宮山さんは滅茶苦茶なことを言ってる。遠藤がホンボシでないなら、なぜ、ドムの行動を隠す? 怪しい……。警察への圧力?
「部長、今後、このラインはどうなる?」
「当面は2人で回して」
「渡辺さん、どうします?」
「仕方ないさ。事が事だ」
「じゃあ、いいね?」
小宮山さんは戻って行った。俺は消化不良だ。それは渡辺さんも同じのようだ。遠い目をしてる。
「圭市、とりあえず、今出来ることをしよう。鋼材を並べといて」
「分かりました」
俺は新規品の円柱状の材料をレールに並べる。
「圭市、並べ終わったら、製品を箱に積めて」
「はい」
俺は手を動かしながら考える。会社は揉み消そうとしてる? なぜ、遠藤は第一発見者になった? C棟に用はないはず。……ダメだ、情報が少ない――。
「ちょっといいかい、君」
40代の警察官が来た。口止めされてるけど、ドムのことを言うか?
「何ですか、お巡りさん」
「松本圭市君だね?」
「はい……」
「先週の金曜日、ここに六道よう子さんが来たよね?」
バレてる。周りを見渡すと、渡辺さんの姿がない。トイレかな?




