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5 自己紹介



その日の学校も終わり、友喜がいつもの様に絵を書いていた。

すると、また後ろからいきなり話しかけられた。


「また今日も描いてるの?」


驚いた友喜は、”この声は……。”と思いながら振り向いた。

「んおぉ!!」

案の定千夏だった。

”変な声を出してしまった。”

少し赤面してしまった。


「いいじゃん隠さなくても。ってかもう見たよ。」


”隠したんじゃない。驚いたんだ。”

「勝手にみんなよ!」


「アタシに気付かない藤代くんがわるい。」


”ごもっともです。ってか、藤代っていうのが気にかかる。”

「うるさいなぁ。つか、友喜って呼べっつったろ。」


「あぁ。なんか言ってたね。忘れてた。」


「忘れてんじゃねぇよ。藤代って呼ばれるの好きじゃねぇんだよ。」


「なんで?」


「いいだろ何でも。」


「秘密が多い人だなぁ。」


「ほっとけよ。とりあえず、友喜と呼べ。」


「わかった。」


「よし。」


「友喜は何で絵を描いてるの?」


”待っている人がいるから。それに、ここで書いてたらまた千夏と話せるかもしれないから。なんちって。”

「何ででもいいだろ。」


「また秘密っすか。」


「そうだ。」


「友喜、けちっすね。」


「うるさい。」


「あ。アタシおつかい頼まれてるんだった。行かなきゃ。」


”なんだよ……。もう行くのかよ。”

「おう。行って来い。じゃあな。」


「うん。じゃあね。」


そう言って、千夏はその場を後にした。

そして友喜は、

”ここで絵を書いてて良かった。”

と、心から思っていた。




次の日、いつもの様にみのるの家に行こうとしていた。

すると、そこにはまた千夏が立っていた。


「あら。おはよう。」

驚くことに、千夏の方から話しかけてきた。


”話掛けられたよ!!”と驚きながら、

「おう。おはよ。」

と、答えた。


「もしかして、いつもこんなに早いの?」


”そうです。”

「違うよ。」


「……ほんとぉ???」


”嘘です。”

「違うっつってんだろ。たまたまが2回続いたんだよ。」


「へぇ。あ、ねぇ?」


「なんだよ。」


「今日、どこに行くか着いて行っていい??」


”何をいきなり言い出すんだよ。”

「ダメだよ。来るな。」


「いいじゃん。友喜は不思議に包まれてるし、秘密多いし。少しでも解明しなきゃ。」


「ダメだ。来るな。」


「ダメって言われても、着いて行くもん。」


”一緒にいれるのか……。まあそれは嬉しいが……。”

「……勝手にしろ。」


”勝手にしろって言っちゃった。”


そして、友喜は自転車で走り出した。

それに着いて来るように、千夏は走りだした。

友喜は、途中途中でわざとスピードを落とし、千夏が見失ってしまわぬ様にゆっくりと行った。


そしてみのるの家に着き、いつもの様にチャイムを鳴らした。

”絶対みのるのおばちゃん不思議に思うだろうな。”


一時経って、みのるの母が出てきた。

みのるの母は、案の定不思議な顔をした。

しかし、普通に入れてくれた。


そして、みのるの部屋の前に着いた。


「入らないの?」

と、千夏は聞いて来た。


”入ったら、今度は骨が折れるかもしれんからな。”

と思いながら、

「ここでいいんだ。」

と、答えドアをノックした。


そこで、絵についての話をし、いつもの様に学校に誘うような会話をした。

”みのる!!今ここに、例の転校生がいるぞ!!”

と、心の中では思っていたが、結局伝えられなかった。


みのるの家を出て、学校へ向かおうとしていたら、千夏が話しかけてきた。


「毎朝、今の説得で遅れてたの?」


「……そうだ。」


「そっか。」


「……。」


「毎日絵を描いてるのは、実くんに絵を渡すため?」


「……そうだ。」


「そっか。」


「……。」


「お金…なかったのも、絵の具のせい?」



”……やっぱバレてたのか。”

「……そうだ。」


「そ……っか。」


「……。」


「今日も遅刻だね。」


「お前もな。」


「あっ。そうだね。」


”この際だ!!もうこんなチャンスないかもしれない。引きとめよう!!”

そう思い、学校を休むことを思いついた。

「……今日はもう学校いいか!ちょっと休憩しよう!」


「え?ダメだよ!ちゃんと学校行かなきゃ。」


「いいよ一日くらい。それに千夏、朝っぱらから走って疲れたろ。」


「……うん。……まぁ。」


「ならいいじゃん!たまにはさ!な?」


「……う……うん。」


”よっしゃあ!!さて何するかな??一応、初デートだ。”

”とりあえず川原に行こう。”


そう思い、川原へと向かった。


そこに着いてから、千夏と色々と話をした。

みのるのこと、絵のこと、千夏の友達の事。

途中、みのるの彼女の話になった。

その話が、”噂”程度の事になっていたことに、友喜は驚いた。


友喜は、この2人だけの時間に全神経を集中させた。

そして、一人幸せを感じていた。


その時、千夏がいきなり、

「あっ。ねぇねぇ。アタシにも絵、教えてよ!」

と、言い出した。


友喜はとても驚いた。

まさか、あの千夏が絵を教えてくれと言うとは思わなかったからだ。

千夏に避けられていたという事実を突きつけられ、少し凹んでいた友喜だったが、

それを聞いてテンションが上がった。


聞けば、水彩画を書きたいという事が分かった。

出来るだけわかりやすい様に、千夏に水彩画を教えた。


そして千夏は、それを完成させて、

「出来た!」

と、言った。


”な……なんだこれは。”

「お…おう。」



「上手い?!」


”ひ……ひどすぎるくらいだ。”

「下手だ。」


「なんだよぉ。そこは冗談でも上手いって言っとけよぉ。」


「申し訳ないが、お世辞にも上手いとは言えないな。」


「ずばっと言うなぁ〜。」


「お互い様だろ。」


そして、その絵を友喜は眺めていた。


すると千夏が、

「あっ。明日もまた、アタシ付いていく!!実くんの家に!!」

と、言い出した。


かなり驚いた。

昨日まで友喜を避けていた千夏が、いきなりこんな事を言い出すからだ。

その時には、もう完璧に友喜は千夏に惚れ込んでいた。


そして、千夏は行くと言って聞かず、明日も付いてくる事となった。

更に千夏は、15分早く起きる事を条件に出してきた。

友喜が遅刻しないようにと、気を使ってくれたのだろう。



明日みのるの家に行って、みのるに千夏を紹介することになった。



次の日、友喜は千夏を連れ、いつもより15分早くみのるの家へと向かった。


「実。おはよう。」


「ああ。おはよう。どうしたの今日は。いつもより少し早いね。」


「ああ。そうなんだ。」


千夏が、早く紹介してよと言わんばかりに、腕でツンツンと友喜の肩をノックした。


「ああ。わかったよ。」

そう、千夏に小声で答えて、友喜は千夏を紹介し始めた。


「実??今日実は、一人お客様が来てるんだ。」


「え??誰??」


「ほら。」

そう言って、友喜は千夏に目をやった。


「あの……。初めまして!!近藤千夏っていいます。えっと……友喜くんがいつもお世話になっています。」


「いきなり何言ってんだよ。あはは。」

と、友喜が笑いながら言った。


「だって……。こういうのって、なんて言っていいか分かんないんだもん!!」

千夏は照れながら言った。


「あはは。面白い子だね。君が例の転校生??」


「え?!あ、はい!!」

千夏は驚いた様に言った。


「君の噂は、友喜からよく聞いてるよ。何やら、独り言が趣味のようで。」

みのるは、笑いを我慢した様子で言った。


「ちょっと!!何言ってるのよ!!」

と、友喜の肩をパンっと叩き、


「違います違います!!アタシは、ごく普通の高校生です!!」

と、言いなおした。


「何照れてんだよ。本当の事だろ。分かっているよ。隠さなくていいんだよ。」

と冗談めかしながら、千夏の肩にポンと手をやり答えた。


「あはは。そうだよ千夏ちゃん。」

みのるは笑いながら同意した。


「もう!!ちょっと!!実君が、本当に勘違いしちゃうでしょ!!」

と、顔面を真っ赤に染めた千夏が、友喜の胸の辺りを叩きながら言った。


「あはは。わかったわかった。ごめんごめん。」

友喜は笑いながら謝った。


みのるはずっと笑っていた。


「友喜なんて大嫌いだもん!!」

と、泣き真似をしながら言った。


「ほおら、友喜。女の子泣かしちゃダメなんだぞ。」

と、みのるは千夏をかばう様に言った。


「わかったよ。悪かった。ごめんよ。」

と、しぶしぶ謝った。


「分かればよろしい。」

と、ニッコリと笑みを浮かべ千夏は友喜に答えた。


「明日から、千夏もここに来るみたいだから、よろしくな。」

と、友喜がみのるに言った。


「千夏ちゃんまで巻き込んじゃうのか。なんか悪いな。」


「いいのいいの。一緒に頑張ろうね。実君。」

そういいながら、千夏は友喜の顔を見た。

友喜は、そっと頷いた。



そうして、千夏の自己紹介は終わった。



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