3 コンタクト
その日の朝も、もちろん友喜はみのるの家へ向かった。
そして友喜は嬉しそうに話した。
「おはよう実!!ちょっと聞いてくれよ!!」
「なんだよ朝っぱらから。騒々しいな。」
「こないだ、隣に俺好みの子が越してきたんだ。」
「それはよかったな。」
「驚いたのはそこじゃない!!その子が、うちの学校に転校してきたんだ!!」
「へえ。それは良かったな。」
「それもだ!!同じクラスだぞ!!」
「へえ。それで、もう話したのか??」
「いや、まだだ。今日の放課後に話しかけようと思ってる。」
「待ち伏せでもするつもりか??」
「そうだが??」
「お前……。まあいいや。変体と間違われないようにな。」
「どういう意味だよ。」
「そのままの意味だよ。あはは。」
みのるは、笑いながら言った。
「あっ。もうこんな時間だ。俺はもう学校へ行ってくる。」
「わかった。」
「やはり来ないのか??」
「ああ。まだだ。」
「わかった。」
そう言って、友喜は家を出た。
その日も、遅刻をして学校へ着いた。
そしていつもの様に、適当に理由を付けて、遅刻をごまかした。
その日の放課後、友喜は素早く教室を出た。
そして校門の前で千夏を待ち伏せることにした。
″やばい……。話し掛ける口実を考えてなかった。″
″もうすぐ来ちゃうよ。えっと……。えーっと……。ジュース!!ジュースを奢ろう!!″
そう考えた友喜はすぐに財布を取り出した。
財布の中身を見たら、今日買うはずの、絵の具代しか入っていなかった。
″やばい!!他の口実……他の口実……。″
友喜が焦っていると、無常にも千夏が来てしまった。
″やばい!!とりあえず、話し掛けなきゃ!!何て呼べばいい?!近藤さん??千夏ちゃん??
千夏??転校生??ああもう、何でもいいや!!″
「おい転校生。」
友喜が選んだのは、″転校生″だった。
″俺はどれだけ偉そうなんだ!!俺の馬鹿!!″
「な……なんですか??」
″ほらみろ。ちょっと警戒してるじゃないか。と……とりあえず自己紹介だ。″
「俺は友喜。友喜って呼んでくれ。」
″呼んでくださいにすれば良かった……。″
「え……あ……はい。アタシは近藤千夏です。よろしくお願いします。」
”話……話だ!!えっとぉ……。”
そんな事を考えながら、ポケットの中に手を突っ込んだ。
何かがあった。
”ああもう。しかたない、これを渡そう!!””
そして、それを千夏に渡しながら言った。
「これでジュース買ってきてくれないか?」
手渡しのは、自転車の鍵だった。
”よりによって、自転車の鍵かよ!!ああくそう。とりあえずチャリだ。”
「チャリはそこにあっから。」
と、言いながら1台の自転車を指差した。
”これで俺は、ジュースを買いに行かせるのか?!冗談だろ。俺。自動販売機はすぐそこだぞ。”
飲みの物自動販売機は、2人のいる場所から歩いても1分かからない所にあった。
「え?」
千夏は、どういう事かわからないといった表情をした。
「いや、だからジュース。もちろん千夏の分も買っていいから。」
”……俺のお金ではないですけど。ああ!!しまった!!名前で呼んでしまった!!”
友喜は、一人焦った。
「何で私が買ってこなきゃいけないんですか?」
千夏は、友喜に言った。
”ごもっともです。しかし、もう引き下がれない。すまん。”
「硬いこと言うなよ。ほら。頼んだぞ。」
そして、しぶしぶ千夏はジュースを買いに言った。
”ああ。もう終わったかもしれないな。ってか、名前で呼んでも、別に何も反応なかったな。
このまま名前で呼んでみよう。……大丈夫だよな??”
友喜は、自問自答をした。
買って、帰ってくる千夏を見ながら友喜は思った。
”そりゃ歩いて帰ってくるよな。ごめんよ。”
「はい。」
「おう。」”ありがとうございます。すいません。”
心では言えたが、言葉には出来なかった。
”そうだ!!聞きたかった事を聞こう!!”
「千夏は、福岡から来たんだろ?」
友喜は質問をしたが、その返事は返ってこなかった。
”やばい……。思い出したくない過去でもあったか??やばい……。”
友喜はおそるおそる聞いた。
「どうした??」
すると、返事が返ってきた。
「え。あ。いや。なんでもないです。はい。福岡から来ました。」
”よかった返事が返ってきた。でももう少しだけ福岡の事が聞きたい。”
そう思い、更に問いかけた。
「そうか。福岡ってどういうとこ?いいとこ?」
「はい。いい所ですよ。」
「そうかそうか。」
”いい所か。……聞いても大丈夫そうだな。”
「何でこっちに来たんだ?答えにくかったら答えなくていい。」
「別に特別な理由じゃないです。親の転勤でこっちに来ました。」
”何だ……。結構普通だな。”
「そうか。じゃあ今親元から通ってんのか。」
”知ってるけど。”
「はい。」
「そうか。」
「はい。」
「家は近いのか?」
”俺の家の隣だが。”
「そこそこ。」
「そうか。俺の家も近くだ。兄弟は?」
”確かいなかったよな。”
「いません。」
”そうだよな。”
そんな会話を淡々と済ませ、ジュースを飲み干した。
”やっべ。奢ってもらった礼を言わなきゃ。財布は……無くしたことにしよう。”
「これご馳走さま。俺、財布無くしてさ。金がなかったんだ。今度借りを返す。」
「いえ。結構です。それでは。」
そう言って、千夏は逃げるように離れて行った。
”ああ。これ嫌われたな。どうしよう。”
友喜は、一人落ち込んだ。
こうしてファーストコンタクトは、終わった。




