↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本に結ばれた人~知識と生存の本〜(ネギを握りしめて異世界に落ちた私の、のんびりサバイバル)  作者: 式文紫
第1章 夏の果て~本と光の友~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/133

閑話 光の鳥

閑話 光の鳥


 ここわわたしのす。


 いつもぽかぽか。


 おっきなきのす。


 おひさまがのぼると、あったかくなるの。


 かぜがふくと、はっぱがゆれる。


 雨がふると、すこしだけさむい。


 でも。


 ここにいれば、だいじょうぶ。


 わたしは、ここがすき。


 わたしは、わたししかいないの。


 だから、ここわわたしのす。


 すきなものは、あかとしろのきのこ。


 あかいの。


 しろいの。


 どっちもおいしい。


 もぐもぐ。


 おいしい。


 おなかいっぱい。


 きょうもいいひ。


 そうおもってたの。


 あのひまでは。


いいてんきなひ。


 わたしのすに、しらないのがいた。


 しらないの。


 わたしのすに。


 なんでいるの?


 ここわ、わたしのす。


 わたししかいないところ。


 だから。


 おいださなきゃ。


 おっきなこえをだしたら、いなくなるかな?


「ギョェェェェェ!」


 しらないやつが、びっくり。


 でも。


 にげない。


 もういっかい。


「ギョェ!」


 やっぱり、にげない。


 へんなの。


 よくみるの。


 ちいさいの。


 つよそうじゃない。


 なんだか、よわそう。


 わたしよりわかいこどもみたい。


 どうしてここにいるんだろう。


 わからない。


 でも。


 おいだそうとしても、なんだかかわいそう。


 だから。


 しばらく、みていることにしたの。


 そのこは、まいにちうごいていた。


 おきる。


 あるく。


 なにかひろう。


 なにかつくる。


 またあるく。


 ずっと、なにかしている。


 へんなこ。


 でも、おもしろい。


 ときどき、あかいのをたべている。


 あかいの。


 わたしもすき。


 そのこは、たまにわたしにもくれる。


 あかい。


 あまい。


 おいしい。


 うれしい。


 いいてんきー。


 そのこが、あさになってもおきなかった。


 いつもなら、もうおきてる。


 でも。


 ねてる。


 おきない。


 おなかすいた。


 あさごはんたべないと。


 でも、おきない。


 いらいらー。


「ギョェーーー!」


 そのこが、びくっとする。


 おきた。


 こっちをみる。


「……おはよう」


 おはよう。


 またいった。


 まいにちいう。


 なんだろう。


 よくわからない。


 でも。


 わたしをみて、いってくれる。


 うれしい。


 だから。


 またあしたも、おこそう。


 そうおもった。


 それから。


 そのこがねていたら、おこすようになった。


 おきたら、おはようっていってくれる。


 それが、ちょっとすき。


 いつのまにか。


 そのこがわたしのすにいることへいき。


いていいよ。


 このこ、おもしろい。


 たまに、あかいあまいのをくれる。


 いっしょにいる。


 なんだか。


 ひとりじゃないみたい。


 そんなことを、おもったの。


 あるひ。


 そのこが、あおいおはなをみつけた。


 わたしも、きのうきからみていた。


 あおい。


 きらきら。


 おひさまにあたると、ぴかぴかする。


 きれい。


 わたし、すき。


 そのこも、ずっとみている。


 わたしは、きのうえからそのこをみる。


 そのこは、あおいおはなをみる。


 いっしょ。


 なんだか、うれしい。


 でも。


 まだ、きになる。


 あおいおはな。


 もっとちかくでみたい。


 そのこがいないとき。


 わたしは、あおいおはなのところへいってみた。


 ひらひら。


 はねをうごかす。


 あおいおはなのまえまでいく。


 きらきら。


 きらきら。


 あおいひかりが、あつまっている。


 なんだろう。


 くちばしをちかづける。


 ぱく。


 ……おいしい。


 もういっこ。


 ぱく。


 おいしい。


 きらきら。


 おいしい。


 もっと。


 ぱく。


 ぱく。


 いっぱいたべる。


 おなかいっぱい。


 ふわふわする。


 あったかい。


 おいしかった。


 でも。


 ひとつだけ、のこっていた。


 きらきら。


 きれい。


 これも、おいしい。


 でも。


 あのこをおもいだした。


 いつも、あかいあまいのをくれる。


 あのこ。


 これ。


 あのこにあげよう。


 わたしは、きらきらをくわえた。


 なくさないように。


 おとさないように。


 あのこをさがす。


 いた。


 わたしは、そのこへとんでいく。


 きらきらを、ぽとり。


 そのこがひろう。


 じっとみる。


 ふしぎそう。


 でも。


 それ、おいしいよ。


 きれいだよ。


 わたしは、ちょっとだけうれしくなった。


 いっしょにみたもの。


 わけてあげる。


 なんだか、いい。


 それからも。


 わたしとそのこは、いっしょにいた。


 おきる。


 おはよう。


 たべる。


 あるく。


 ねる。


 また、おはよう。


 このこがきてからずっと。


 そして。


 そのこが、わたしをじっとみていた。


 いつもとちがう。


 なんだろう。


 そのこが、じぶんのことをいっている。


 それから、わたしをみる。


 なにかをきいている。


 わからない。


 でも。


 そのこが、わたしのことをしりたいのは、なんとなくわかった。


 なまえ。


 なまえって、なあに。


 わたしには、なかった。


 わたしは、わたし。


 それだけだった。


 でも。


 そのこが、ひとつのことばをくれた。


 ルーチェ。


 そのことばをきいたとき。


 なんだか、むねのなかがあったかくなった。


 ルーチェ。


 もういちど。


 ルーチェ。


 そのことばが、わたしのなかにのこる。


 ルーチェ。


 これがいい。


 これが、わたし。


 わたし。


 そうおもった。


 でも。


 なにかが、ちがう。


 わたし。


 ワタシ。


 ワタシは、ルーチェ。


 ルーチェ。


 それが、ワタシ。


 つむぎがくれた。


 わたしのなまえ。


 そのなまえが、わたしのなかにある。


 つむぎ。


 つむぎ。


 わたしをよぶ。


 あかいあまいのをくれる。


 いっしょにいる。


 あおいきらきらを、いっしょにみる。


 つむぎ。


 すき。


 ひとりだった。


 ずっと、ひとりだった。


 それが、あたりまえだった。


 でも。


 いまは、ちがう。


 つむぎがいる。


 私は、ルーチェ。


 私は、私。


 つむぎと、いっしょ。


 これからも。


 ずっと。


 ずっと、いっしょ。


 そう確信してるよ。


 そして。


 ルーチェは、大きく羽を広げた。


 


 


 


「ギョェーーーー!」


「……っ!」


 紬の肩が、ビクッと跳ねる。


「なっ、何!?」

ルーチェ=フランス語で光

光の鳥

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。