閑話 光の鳥
閑話 光の鳥
ここわわたしのす。
いつもぽかぽか。
おっきなきのす。
おひさまがのぼると、あったかくなるの。
かぜがふくと、はっぱがゆれる。
雨がふると、すこしだけさむい。
でも。
ここにいれば、だいじょうぶ。
わたしは、ここがすき。
わたしは、わたししかいないの。
だから、ここわわたしのす。
すきなものは、あかとしろのきのこ。
あかいの。
しろいの。
どっちもおいしい。
もぐもぐ。
おいしい。
おなかいっぱい。
きょうもいいひ。
そうおもってたの。
あのひまでは。
いいてんきなひ。
わたしのすに、しらないのがいた。
しらないの。
わたしのすに。
なんでいるの?
ここわ、わたしのす。
わたししかいないところ。
だから。
おいださなきゃ。
おっきなこえをだしたら、いなくなるかな?
「ギョェェェェェ!」
しらないやつが、びっくり。
でも。
にげない。
もういっかい。
「ギョェ!」
やっぱり、にげない。
へんなの。
よくみるの。
ちいさいの。
つよそうじゃない。
なんだか、よわそう。
わたしよりわかいこどもみたい。
どうしてここにいるんだろう。
わからない。
でも。
おいだそうとしても、なんだかかわいそう。
だから。
しばらく、みていることにしたの。
そのこは、まいにちうごいていた。
おきる。
あるく。
なにかひろう。
なにかつくる。
またあるく。
ずっと、なにかしている。
へんなこ。
でも、おもしろい。
ときどき、あかいのをたべている。
あかいの。
わたしもすき。
そのこは、たまにわたしにもくれる。
あかい。
あまい。
おいしい。
うれしい。
いいてんきー。
そのこが、あさになってもおきなかった。
いつもなら、もうおきてる。
でも。
ねてる。
おきない。
おなかすいた。
あさごはんたべないと。
でも、おきない。
いらいらー。
「ギョェーーー!」
そのこが、びくっとする。
おきた。
こっちをみる。
「……おはよう」
おはよう。
またいった。
まいにちいう。
なんだろう。
よくわからない。
でも。
わたしをみて、いってくれる。
うれしい。
だから。
またあしたも、おこそう。
そうおもった。
それから。
そのこがねていたら、おこすようになった。
おきたら、おはようっていってくれる。
それが、ちょっとすき。
いつのまにか。
そのこがわたしのすにいることへいき。
いていいよ。
このこ、おもしろい。
たまに、あかいあまいのをくれる。
いっしょにいる。
なんだか。
ひとりじゃないみたい。
そんなことを、おもったの。
あるひ。
そのこが、あおいおはなをみつけた。
わたしも、きのうきからみていた。
あおい。
きらきら。
おひさまにあたると、ぴかぴかする。
きれい。
わたし、すき。
そのこも、ずっとみている。
わたしは、きのうえからそのこをみる。
そのこは、あおいおはなをみる。
いっしょ。
なんだか、うれしい。
でも。
まだ、きになる。
あおいおはな。
もっとちかくでみたい。
そのこがいないとき。
わたしは、あおいおはなのところへいってみた。
ひらひら。
はねをうごかす。
あおいおはなのまえまでいく。
きらきら。
きらきら。
あおいひかりが、あつまっている。
なんだろう。
くちばしをちかづける。
ぱく。
……おいしい。
もういっこ。
ぱく。
おいしい。
きらきら。
おいしい。
もっと。
ぱく。
ぱく。
いっぱいたべる。
おなかいっぱい。
ふわふわする。
あったかい。
おいしかった。
でも。
ひとつだけ、のこっていた。
きらきら。
きれい。
これも、おいしい。
でも。
あのこをおもいだした。
いつも、あかいあまいのをくれる。
あのこ。
これ。
あのこにあげよう。
わたしは、きらきらをくわえた。
なくさないように。
おとさないように。
あのこをさがす。
いた。
わたしは、そのこへとんでいく。
きらきらを、ぽとり。
そのこがひろう。
じっとみる。
ふしぎそう。
でも。
それ、おいしいよ。
きれいだよ。
わたしは、ちょっとだけうれしくなった。
いっしょにみたもの。
わけてあげる。
なんだか、いい。
それからも。
わたしとそのこは、いっしょにいた。
おきる。
おはよう。
たべる。
あるく。
ねる。
また、おはよう。
このこがきてからずっと。
そして。
そのこが、わたしをじっとみていた。
いつもとちがう。
なんだろう。
そのこが、じぶんのことをいっている。
それから、わたしをみる。
なにかをきいている。
わからない。
でも。
そのこが、わたしのことをしりたいのは、なんとなくわかった。
なまえ。
なまえって、なあに。
わたしには、なかった。
わたしは、わたし。
それだけだった。
でも。
そのこが、ひとつのことばをくれた。
ルーチェ。
そのことばをきいたとき。
なんだか、むねのなかがあったかくなった。
ルーチェ。
もういちど。
ルーチェ。
そのことばが、わたしのなかにのこる。
ルーチェ。
これがいい。
これが、わたし。
わたし。
そうおもった。
でも。
なにかが、ちがう。
わたし。
ワタシ。
ワタシは、ルーチェ。
ルーチェ。
それが、ワタシ。
つむぎがくれた。
わたしのなまえ。
そのなまえが、わたしのなかにある。
つむぎ。
つむぎ。
わたしをよぶ。
あかいあまいのをくれる。
いっしょにいる。
あおいきらきらを、いっしょにみる。
つむぎ。
すき。
ひとりだった。
ずっと、ひとりだった。
それが、あたりまえだった。
でも。
いまは、ちがう。
つむぎがいる。
私は、ルーチェ。
私は、私。
つむぎと、いっしょ。
これからも。
ずっと。
ずっと、いっしょ。
そう確信してるよ。
そして。
ルーチェは、大きく羽を広げた。
「ギョェーーーー!」
「……っ!」
紬の肩が、ビクッと跳ねる。
「なっ、何!?」
ルーチェ=フランス語で光
光の鳥




