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屋根の下の義妹、窓の外のヒロイン。【連載停止中】  作者: 仁波昼海
No.1 俺の義妹

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15/23

だってこんなの初めてだから

続きです。

「いやあ、今日実はこはると友達になっちゃったんだよねー」

...うーむ。

「あの...実は胡春さん?と友達になりまして...」

これも違うかなあ...。


仮に言ったとしても、言い方に難があれば俺ではなくこはるが詰められてしまう可能性があるので台詞を考えては引っ込める葛藤が俺の頭の中で続いていた。

ここで、こはるという名前を葉桜さんの前でも使うかどうかは完全に俺の意思によるものなんだけど、やっぱりそこは人としての良心というか。

彼女もそこそこ頭いいし、なんなら兄妹だし、隠してもバレる可能性が無きにしも非ずだから言わない選択肢もまあ五分。


...はあ。

一体何回つくんだろうか、このため息は。

熟考している間に気がつけば自習室前に立っていた。耳に伝わるのは微かに聞こえる運動部の声。


まあ、そのうち話せばいいよな...。


深くは考えずとも、兄妹。

名前があるからこそやらなければならないこととか言わなければならないことがある。

義理だから大丈夫とか、見切りをつけたりはしない。

けど、少しぐらい引き伸ばしていいのもこれのいい所なんだ。


A棟と比べて立て付けの悪いドアがガラガラと音を立てて開く。


中には机と椅子しかなく、当人はいなかった。


「緊張してたのに、いないんかい...」


すっと肩の荷が少し降りた気がした。

目の前にいるかいないかじゃ、伝えようと思ってなくても精神状態は変わるな。

人とのコミュニケーションは、話さなくても難しい。



「ふぅ...ん?」


比較的狭い自習室なので目を預けるところはこれと言ってなく、一息ついてたまたま教卓に目を向けると、1枚の紙切れがおいてあるのが見えた。


軋む床を歩いて見に行くと、これまた見たことのある字で。


「ユニシロに来て!」


分かったら次の問題がでてくるみたいな感じね。

宝探しでもやらされてんのか俺は。


というか、本来ここの部屋の趣旨自習室だし、誰かが見たらどうすんだよ。


突っ込む俺の気持ちとは裏腹に、体は颯爽とユニシロへ向かっていった。







表示されている画面のアイコンには私でも知ってるゲームのキャラが写っていた。

相手の決めている名前は...nana??


「じゃあ僕はこれで、ありがとね凪乃」

「あぁちょっと...!!」


行っちゃった。

まあ良くも悪くも有名な先輩と友達なれたんだし、いいかな。


なんか途中、上の方から奇声が聞こえた気がしたけど....まだ怪異の出る時期じゃないよね。

怖いの苦手だからやめてほしいな。


私は校舎裏を後にした。






「よし、人生初男子友達ゲット!!」

「こはるんマジでしたんだ」

「んふー、いいでしょう?」


そうやって私はひなちゃんに彼との馴れ初め(?)を話します。

まだ5月初旬なのに、夕方はとても暑くてポロシャツ一枚でも全然心地いい気候。


隣にいるひなちゃんは、友達想いで優しい子なんだけど男子welcomeって感じじゃなくて、なんでかは分かんないけど深くは聞いてない。

そういうの苦手だし、私もされたら嫌だから。

ちなみに、これは母の教え。


お節介になるかもしんないけど、相手のことが最優先。その時に、自分と比較して考えたり、今までの生活を振り返ってみたりもする。

そうすれば、きっとあなたの周りには腐っても消えない大切な子だけが残るよって言ってた。


あ、母は全然元気、ピンピンしてますよ。



「もーそろそろ、アレに気付いてくると思うんだけどなあー」


まだ新しく買ったばかりのローファーはコンクリートの上でコツコツと音を鳴らしています。


「うわーこはるんその顔。何か待ってる時のやつ」


初めてのウキウキが隠せない私の顔を見て、ひなちゃんは呆れたように言います。


「で、何待ちなのさ」



後ろを歩くひなちゃんに、私はわざわざ振り返ってこう言いました。



「連絡だよ」



丁度風が吹いて、後ろには葉桜が舞っていました。








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