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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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出城拡張と温泉から始まる危険な連想

両隊長は、工房にてロットとタルトから最近の領地状況の説明を受けていた。


鉛筆事業。

版画工場の拡張。

遊技具の量産。

学校兼託児所。

そして、シフト制という前代未聞の制度。


「……まあ」


機構隊長が腕を組む。


「確かに、ここまでやれば目を付けられる」


「むしろ、よく今まで何も起きなかったな」


近衛隊長も頷く。


ロットは、いつものように空を見上げ、フォフォフォと笑った。


「いずれ、こうなるとは思っておったよ」


「だからこそ、備えは早い方がええ」



■ 荷馬車と出城、そして火力


早速、話は具体に移る。


「まずは、荷馬車強化型の増産じゃな」


「それと」


近衛隊長が、巻物を広げる。


「メイヤ様が描いた出城案を元に、改修した設計図です」


簡易ながら、要点を押さえた構造。

射線、柵、櫓、資材運搬の流れ。


「これに合わせた建築パーツの作成」


「それと――」


「バリスタじゃな」


ロットが、にやりと笑う。


「話は聞いとる。ロマン兵器じゃろ?」


「ロマンで済めばいいんですが……」


タルトが遠い目をする。



■ 規模変更の提案


ひと通り話が終わったところで、ロットが一言付け加えた。


「ただの」


「この出城の規模じゃがな」


「50名想定では、小さい」


両隊長が、同時に顔を上げた。


「……何?」


「50名程度の駐屯では、抑止力が足りん」


「100名規模に変更した方がええ」


「大きすぎませんか?」


近衛隊長が首を傾げる。


「各隊の部下は20名ほどですし……」


ロットは、フォフォフォと笑った。


「何を言っとる」


「この領地を守ろう、という志願者も出るじゃろ」


「それに」


設計図を指で叩く。


「この構造なら、倍以上にしても工期はそう変わらん」


「部材を規格化しとるからな」


しばし沈黙。


やがて、機構隊長が息を吐いた。


「……了解しました」


「100名想定で進めましょう」


こうして、出城は“即席”の域を超え始めていた。



■ その頃のメイヤ


一方、その頃。


「――――――――――――――――――――――――っ!!」


メイヤは、全力で馬を走らせていた。


「地図だと……この辺!」


鼻をくすぐる、独特の臭い。


「……来た」


硫黄の臭い。


「温泉確定!!」


地面から立ち上る水蒸気。地図通りの場所に、池。


「……あ、でも」


水面が、ぼこぼこと不穏に揺れている。


「……これ、無理」


直接入ったら、間違いなく大火傷。


「ひとっ風呂、とはいかないわね……」


近くに水源もない。薄めることも出来ない。


「がっくし……」


肩を落とした、その時。


「……ん?」


メイヤの脳内で、別の回路が繋がった。


「温泉」


「硫黄」


「……炭、あるわよね」


「硝石があれば――」



■ 黒色火薬という誘惑


「……黒色火薬、作れる?」


自分で言って、自分で首を振る。


「いや、銃は無理よ。流石に」


でも。


「竹筒なら?」


「火縄銃じゃなくても」


「導火線つけて、投げるだけなら……」


敵が、爆音と火花で驚く。


「びっくりはするわよね」


「……蹴散らせる」


メイヤは、はっと我に返った。


「……いやいやいや」


「落ち着け私」



■ 硝石の取り方(思い出しメモ)


「硝石……どうやって取るんだっけ……」


頭の中を探る。


「確か……」


・家畜の糞尿

・藁

・土

・灰


「これを、湿った場所に積んで」


「しばらく放置」


「硝酸菌が働いて……」


「できた土を水で溶かして」


「灰を入れて、煮詰める」


「結晶が出る……」


「……だった、はず」


一気に思い出して、頭を抱える。


「やばい」


「知識が、やばい方向に使えそう」


「しかも家畜を1ヶ所に集めて、糞尿は肥料を作ってる。。準備は出来てしまってる」



■ 自制(少し遅い)


「流石に」


「これ、私一人で決めちゃダメなやつよね……」


軍事。

火薬。

一線を越える話。


「……でも」


温泉を見つめる。


「備えとして、可能性を知っておくのは……」


メイヤは、深く息を吸った。


「まずは」


「温泉の利用方法を考える」


「硫黄は、副産物」


「うん、そういうことにしよう」


自分に言い聞かせる。


「黒色火薬は……」


「……最終手段」


メイヤは、踵を返した。


温泉は逃げない。

だが、領地の安全は待ってくれない。


こうして、温泉視察は

思わぬ方向への“引き金”を、静かに準備していた。

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