繋がる閃き
「どーん!!」
「うわっ!!」
突然の大声に、メイヤは肩を跳ねさせた。
「な、何よ!?」
振り返る。
そこに立っていたのは――王都から呼び寄せた人物。リュミエル・フェーン。元奇術師。
そして今は――開発棟でも随一の“変人枠”。
「突然すぎるでしょ!」
メイヤは眉をひそめる。
「ビックリするじゃん!」
「はっはっは!」
本人は悪びれもしない。
「面白い物が出来たぞ!」
指を突きつける。
「見に来い!」
「……」
嫌な予感しかしない。
だが――
「……どれどれ?」
結局、気になる。開発棟の一角。
机が二つ。少し離して置かれている。
その上に――同じ形をした、奇妙な機械。
「……何これ?」
メイヤは首を傾げた。
「こっちを見ろ」
リュミエルが右側へ座る。
「この棒をな」
カチ、カチ。
すると――
左の机の機械。小さな電球が、押した回数分だけ、光った。
「……」
「どうだ!?」
リュミエルは、ドヤ顔だった。
「……ん?」
メイヤは、少し考える。
「それが、どうしたの?」
「…………は?」
今度は、リュミエルが固まる。
「いやいやいや!」
思わず身を乗り出す。
「驚けよ!!離れてるんだぞ!?こっちを押して、あっちが光るんだぞ!?」
「……」
メイヤは、ぽかんとしたまま。
次の瞬間。
「……あ」
脳内で。何かが、繋がった。
「……ちょっと待って」
表情が変わる。
「この距離どこまで離せる?」
「……は?」
今度は、リュミエルがきょとんとする。
「さぁ?」
肩をすくめる。
「まだ、そこまで調べてねぇ」
「……」
メイヤは、じっと機械を見る。
もし、距離が伸びるなら、領内の工場や港。
鉄道からエドラン領。
「早く調べて!!」
「お、おう!?」
リュミエルが一歩引く。
「な、何だよ急に……」
「いいから!!」
メイヤの目が、本気だった。
「最大距離!安定性!途中で切れないか!今すぐ!!」
「わ、分かったよ!」
リュミエルは慌てて頷く。
「結果が出たら教えに行く!」
「お願い!!」
リュミエルが去った後も、メイヤの視線は機械に釘付けだった。
「……これ」
小さく呟く。
「使い方次第で……」
物流だけじゃない。
「世界、変わるかも」
新たな技術は、時に本人よりも――“意味を理解した者”の方が、恐ろしい。




