押し返す線
目を細めるセリア。
「……どうやら、敵の指揮官にもまともな人が居るのね」
炎の向こう、ばらけかけた兵の動きが、再びまとまり始めている。
ただの混乱ではない。
あれは――意志だ。
「メイヤ」
「はいよ」
「海岸線から二百メートル付近に着弾点を。なるべく線状に」
「了解!」
メイヤが振り返り、声を張る。
「皆、聞いていたわね!
敵をその線より前に出さないよ!」
「了解!」
ギィシシシ……。
弦が軋み、次の瞬間――
びゅっ!!
放たれた弾が、夜気を裂く。
ドォンッ!! ドォンッ!!
連続する爆発が、海岸手前に一直線の壁を作り出す。土と砂が吹き上がり、破片が飛び散る。
「……いいわ」
セリアは小さく呟き、舵に手をかけた。
「このまま押す」
船体が、ゆっくりと前へ出る。
微速前進。
それは、確実に距離を詰める動き。
「リディア!」
「はっ!」
「上陸戦用意!」
「了解! 各員、準備に入れ!」
甲板の空気が変わる。
待機していた兵達が、一斉に動き出した。
その間にも――
ドォンッ!! ドォンッ!!
着弾は続く。
「メイヤ」
「ん?」
「そのまま、着弾線を少しずつ押し上げるわよ」
「……了解」
メイヤは短く頷き、再び指示を飛ばす。
「射角そのまま!
前進に合わせて着弾をずらすよ!」
火線が、じりじりと前へ進む。
見えない壁が、敵を押し返していく。
炎と爆音の中で――
戦場の主導権は、完全にこちらにあった。
セリアが一歩前に出る。
そして――
「上陸戦、用意!」
声が甲板に響く。
「用意! 用意! 用意!」
復唱が連なり、空気が一気に張り詰める。
「着岸する!」
短く、鋭い声。
「着岸と同時に揚陸扉を下ろす!全員、衝撃に備えよ!」
「了解!」
兵達が一斉に身構える。
盾を握る手に力が入り、足を踏み締める。
船体が、わずかに揺れた。
それでも前進は止まらない。
爆音の中を突き進み――
“その瞬間”へと、確実に近づいていた。
セリアが一歩前に出る。
そして――
「上陸戦、用意!」
声が甲板に響く。
「用意! 用意! 用意!」
復唱が連なり、空気が一気に張り詰める。
「着岸する!」
短く、鋭い声。
「着岸と同時に揚陸扉を下ろす!全員、衝撃に備えよ!」
「了解!」
兵達が一斉に身構える。
盾を握る手に力が入り、足を踏み締める。
船体が、わずかに揺れた。
それでも前進は止まらない。
爆音の中を突き進み――
“その瞬間”へと、確実に近づいていた。




